平和だった世界は終わりを告げた。 残された人間は地下などに身を潜め、【D】と呼ばれる不死の存在に怯える日々を送っている。 Dはいわゆるゾンビなどとは違う。おぞましい存在とは程遠い美しく儚い外見を持っており、何故か皆似通っていた。 崩壊後の世界でDによって視力を喪失し、代わりに機械の単眼(モノアイ)を持つ男・ミチルは、エキゾチックな雰囲気の色男・アサトと二人で、Dから身を隠すように狭い地下コンテナに暮らしている。 しかし冷凍され眠りに就いていたDの生首が目を覚ましたのがきっかけで、これまで過ごしていた日々に変化が訪れようとしていた。 久々に食料調達に出向いた地上で、二人はDと思われる何者かに出くわす事態に。 その際アサトがDに投げかけたのは「デルフィニウム」についての質問だった。どうやらアサトはデルフィニウムという名前のDを探しているらしいのだが……。 ──時は遡り、両親のいない高校生のアサトは、日常生活のサポートをしてくれる機械人形と一緒に暮らしていた。アサトはある理由によりDについて調べようとするが、何故か知りたい情報は一向に出てこない。 しかし人々が真実から目を背けている間に、世界は急速に終わりを告げることとなる。 地下で隠れるように暮らしていたアサトの前に、ある時ふと現れたDが、意外な提案を持ちかけてきた。 不死の存在であるDが、アサトに一体何を望むのか…… 「BOYSFANコン」テーマ:「バディもの」参加作品。 ※生首表現等が苦手な方はご注意ください。 ※直接的な性描写は抑えています。 【登場人物】 ミチル…主人公。機械の単眼(モノアイ)を持つ。貧弱な体にコンプレックスを抱いている。拙い文章を趣味で書いている。 アサト…ミチルの相棒。エキゾチックな容姿を持つ色男。好戦的かつ好色。30歳前後。
読了目安時間:54分
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