今年24歳になる沢村なつみにはどうしても今すぐに結婚したい理由があった。 ――それは幼なじみの御曹司たち三兄弟の執着から逃れるため。 日本を代表する大企業を経営する三条本家に全員腹違いで生まれた彼らは、それぞれ違った個性の美貌の持ち主でありながら、庶民であるなつみに執着しプロポーズしていた。 旧華族令嬢の母を持ち、柔らかな焦げ茶の髪と瞳でなつみより二歳年上の長男。 元トップモデルの母を持ち、天然の金髪と緑の瞳でなつみと同い年の次男。 女医の母を持ち、サラサラとした黒髪と黒い瞳でなつみの四歳年下の三男。 彼らは幼い頃からなつみしか見ていなかった。 「三人とはずっと幼なじみのままでいたい。だってみんな大切だもの。誰か一人を選ぶなんてできないよ」 そう求婚を断り続けて来たなつみに、三男の成人祝いの場で彼らは笑顔でこう告げる。 「三人の中から一人を選べないのなら、無理に選ばなくて良いよ。俺たち三人と同時に愛し合えば良い」 こうして始まってしまった、彼らからの愛に溺れる日々。 しかし、いつまでもこんな不誠実な関係を続けるわけにはいかない。 自分は自分の身の丈にあった男と結婚し、平凡でささやかだが幸せな家庭を築くのだ。 そう決心し、婚カツを始めたなつみだが、出会いのための合コンの場に彼らが現れて――?! 「ダメじゃん。ナツ。俺たちが居ないところで、しかも、俺たち以外の男とアルコールを飲むなんて」 その声は、嫌と言うほど聞き覚えのあるものだった。 ※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、ベリーズカフェにも投稿しています
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