「自分ノ触覚デ見サセテヨ、コノ世界ノ価値。写真ヤ言葉ダケデナク、コノ触覚デ」 黒いローブで身を隠す少女は、老人にそう頼む。 眼球代わりの、触覚を揺らしながら。 変異体。 それは、“突然変異症”によって、人間からかけ離れた姿となった元人間である。 変異体は、人間から姿を隠さなければならない。 それが出来なければ、待つのは施設への隔離、もしくは駆除だ。 変異体である少女に、人間の老人はこう答える。 「お嬢さんはこの世界の価値を見させくれるのか?」 ここは、地球とそっくりに創造された星。 地球と似た建物、地形、自然、人々が存在する星。 人間に見つからないように暮らす“変異体”が存在する星。 世界に対して独自の考えを持つ、人間と変異体が存在する星。 バックパックを背負う人間の老人と、変異体の少女が旅をする星。 「化け物バックパッカー」シリーズをまとめた短編集です。時系列はあるものの、「バックパッカーの老人、化け物と出会う」を見た後は、どこから読んでも問題ありません。 「カクヨム」「小説家でなろう」「アルファポリス」「マグネット」と重複投稿しています。 次回は9月19日(月)を予定しています。 (以前は11日の公開予定でしたが、事情で遅れての公開になってしまいました……) ★←このマークが付いている作品は、残酷・暴力などの人を選ぶ表現が含まれています。
読了目安時間:14時間8分
この作品を読む