完結済。読切。 昭和浪漫ただよう耽美な純文学ミステリー。 ぼくが子供の頃に出会った、恐ろしくも切なく妖艶な河童の正体とは。 色狂いが高じて信州の寒村に引っ込んだ大成金の父は、離れ屋敷で酒池肉林の乱行の果てに、梅毒治療のために処方されたヒ素の中毒で死んだらしい。 そんな父への憎しみが消えない高慢で気位の高い母は、幼女のような心を持つ姉娘ばかりを猫可愛がりし、父の顔によく似た末っ子の世松(ときまつ)は疎んじて、ことあるごとに土蔵に押し込む。 その晩もささいなことで叱られ土蔵に閉じ込められた世松は、土蔵の高窓から、父が死んでから人のいないはずの離れ屋敷に、浮世離れした異形の美貌の青年の姿を発見する。 その美青年の正体を、信頼する奉公人の朔太郎に聞いてもシラをきられ、これは触れてはいけない秘密なのだと察する早熟な世松だったが、小学校の春休みが終わる頃、思いがけない惨劇によって、いやおうなく残酷な真実を知らされていく。 ※河童は出ません。。 写真素材「ぱくたそ」https://www.pakutaso.com/ ※利用規約に則って使用させていただいています ※転載は禁止されています
読了目安時間:1時間2分
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