池原悦弥は、寂しい社会人生活を送っていた。 人付き合いは不得意、仕事へのモチベーションも低く、パッとしない見た目で、将来の夢も展望もなし。もちろん、恋人などできたことはない。 有名大学卒業という学歴だけをただひとつの誇りとして漫然と日々を流してゆく彼の生き方は、たいそう哀れなものに違いない。 それでも、毎日、懸命に生きている。 傍からみればくだらないことを気に病み、くだらないことに全力を注ぎながら。自分なりの幸福を掴むために。 穏やかな日常のなかに潜む多様な感情を事細かに、かつ赤裸々に掘り起こした意欲作。
読了目安時間:4時間23分
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