1938年。世界中が狂気の渦に呑まれつつある、初冬の英国。一人の少女が大都会──ロンドンにやって来た。 13年前。東オーストラリアのとある田舎町に、貧困と育児放棄が原因で、親戚が営む孤児院に使用人として引き取られた少女、アンジェリークこと、アンジュである。 彼女は天性の音楽好きだったが、歌と南半球の豊かな自然を拠り所にしながら、孤独に生きていた。そんな時、予期せぬ出会いから始まり、初めての友情、恋、辛い別れを経験した後に、外の世界で歌い手になる夢を追う為、赤道をはるばる越えて来たのだ。 未知の国での様々な出会い、ショービジネスの厳しい現実、新たな運命的な恋に落ちる中、戦争という暗黒の時流に巻き込まれ、やがて、自らの心の闇という壁に向き合う事になってゆくが…… 「この残酷な世界で、この人と“愛”の欠片を育てて、歌い続ける。これが私の戦いです。」 愛を知らず、夢を失った一人の少女が、様々な出来事や歌うことを通して自己を模索し、大人に成長していく過程の苦難と挫折、喪失と再生を、恋愛を主軸に描いたヒューマンヒストリカルロマンス。 ※史実を元にしたフィクションです。 ※身分や職業、生い立ちに対して差別的な表現が出ますが、当時の価値観に基づいた描写なので、偏見や思想の助長を意図しておりません。 ※R15程度の性描写、PG12程度の残酷描写が、主人公脇問わず、中盤以降から登場しますのでご注意下さい。 ※以前、他サイトにて別名で投稿していた作品を再編成し、掲載したものになります。現在は終盤まで仕上がっていますので、順次移行します。 ※予告無しで加筆修正する可能性があるので、予めご了承下さい。ストーリーが変わる場合はお知らせします。
読了目安時間:3時間29分
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