FEATHER
「S」
異世界ファンタジー
長編
20話
134,501字
2020年7月19日更新
この世は全てが別たれている。 光と影、白と黒、太陽と月。 相反するものが決して交わることがない。 それを如実に表すかのように終わらない戦争があった。 その発端は『Best Wish』という絵本に綴られている。 一本の剣と一本の大樹が秩序を保つべく存在していた。 剣には4体の天魔が、大樹には妖精が宿っていた。 彼らは別世界を通じて、仲を深め合っていた。 けれど、人によって剣は抜かれ、大樹は切り落とされた。 剣を手にして英雄となった者。大樹を切り落とすことで妖精王となった者。 彼らは戦い、争った。 勝利を手にしたのは、英雄だった。 すると今度は、英雄の国で内乱が起きた。 剣はいつしか、二本の刀剣になり。 黒陰国と白陽国という対立し続ける国を生んだ。 そんな世界で遺物とされる『FEATHER』という背に翼を生やした人型生命体。 歴史の影に埋もれた、英雄の末裔とされる謎多き彼らを人々は忌み嫌う。 そして、黒陰国首都《レイヴン》に設立された黒陰国学院に通う平民『魅剣羽亮《みつるぎ・うりゅう》』(16歳)もまた、フェザーを嫌っていた。 貴族にも劣らぬ剣技と魔法を扱える彼の目的は、ただ一つ。 孤児として引き取られた教会で、4歳離れた姉のような『シスター・リリィ』と、同い年でありながら兄弟のように慕っていた者との三人暮らしを壊した元凶。そのフェザーへの復讐。 2年という時が過ぎた現在。 突如として訪れる自らの死。 目覚めた時、彼の身体は憎きフェザーと化していた。
読了目安時間:4時間29分
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