―― 文頭 ―― 混沌の時代。魔法と呼ばれる文化が貴重であり、それが時代と国をを左右する奇妙な世界。 特に、魔導師と呼ばれる、魔法の頂点に立つ技法を極めた者は、世界に点在する国家に大いなる恩恵と危機感を与えた。 そんな時代に存在した、世界の北方にある、クルセイド連合国という世界の北方に存在した島国の物語り。 クルセイド王国は、セインドール島に有り、クルセイド国を中心に、北にノーザンヒル国、東にイーストバーム国、西にウェストバーム国、南にサウスヒル国、更に其処から南にあるエピオニア国の六国からなる連合国だ。 それぞれに、豊かな農土を持っており、いくつもの戦を経て、今は漸くのバランスを保ちながら、一つにまとまりを見せている。 今でこそ、この連合国は静かなものとなったが、長い歴史の中、国を纏める首領たちには、いつも魔導に対する強い危機感があった。 七年前の出来事である。エピオニアより北東に位置し、強大な魔導の力を持ったリヴィアという国が、連合国から独立を目指すが、最終的には、魔導師の暴走により、内部崩壊をしてしまったのだ。 連合国は、総力をかけこれの鎮圧に向かうが、強力な術者の暴走を防ぐことは、困難を極め、数多の死傷者を出すことになる。 だが、この戦争も連合国の勇敢な者たちの活躍により、漸くにして鎮圧するこができる。 その激しい戦争終結後、それぞれの国で最も活躍した者達へ、国の名が称号として与えられた。この戦争が生み出した、英雄の証でもある。 その彼らが今一度、連合国の不穏な情勢のため、中央を制するクルセイド国王の前に集めらようとしている。 ジーオン=アルヴァ=ロールダム=スタークルセイド。 彼はクルセイドの称号を持つ。 七年前の戦争で、その中心的役割を果たした賢者である。還暦も過ぎ、伸びきった白髪と白髭をを蓄えた、老人ではあるが、背筋にも活力を感じ、歩く歩幅も年齢よりも遙かに若々しい人物だった。
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