IT企業で働く2年目社員、毛受秋良(めんじょうあきら)は、陰で「破壊神」のあだ名をつけられるほどに物を壊すことで有名だった。 お茶を淹れようとしたら電気ポットが壊れ、お客さんにお茶を出したら茶托が割れ、プロジェクトに参加して仕事をしたらデータが破損し。腫れ物に触るような扱いを受けつつ、残業して遅れを取り返す毎日だった。 連日連夜の残業を続けていたある日、秋良は客先データベースのマスターデータを壊してしまう。 いつもの「何もしてないのに壊れました」も通用せず、上司から厳しい叱責を受ける秋良。立たされて怒鳴られて、残業の疲れと寝不足もあってふっと意識が途切れた次の瞬間、秋良は見知らぬ草原の中に倒れていた。 顔には栗色の髪がかかっている。自分の顔を不思議そうに覗き込んでいるのは猫耳の生えた獣人の少年、角の生えた初老の男性、耳が羽になったメイド。彼らは「エレオノーラ様」と、知らない名前で自分を呼ぶ。 何が何だか分からない秋良の脳裏に、神を名乗る声が聞こえた。曰く、秋良はオイルスホット公爵家の令嬢エレオノーラ・ファン・オイルスホットとして転生していた。 しかもエレオノーラは先日に家を追い出され、王都から遠く離れた辺境に移送されている最中だというのだ。 近侍である獣人の少年ベンヤミン、執事のバルテル、メイドのリンダに話を聞くと、原因はエレオノーラの瞳の色。「濡羽色の瞳を持つ魔女だ」と迫害された故らしい。 話に割り込んできた神によるとこの瞳は「破壊の魔眼」であり、あらゆるものを一瞬で破壊するのだとか!? 地球にいた頃にものが勝手に壊れた現象もこの魔眼のせいだ、と勝手に決めつけたエレオノーラは行動を開始する。 自分や世界に害を及ぼすものだけを破壊するため。その能力を以て自分を魔女と罵った父親に一矢報いるため。 怠惰な領主も、凶悪なドラゴンも、魔王の城さえも一にらみでたちまち崩れ去る魔眼を駆使し、本物の「破壊神」を目指し始めたエレオノーラの快進撃が幕を開ける! ※この作品はカクヨム様、小説家になろう様、エブリスタ様にも重複して投稿しています。 https://kakuyomu.jp/works/16816452221010720371 https://ncode.syosetu.com/n6830hq/ https://estar.jp/novels/25977752
読了目安時間:3時間27分
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