――目が覚めたら何故か8歳の子供になっていた...? 嘘だろぉぉぉ! 待って鏡、鏡! 俺は急いで部屋の鏡を見ると......そこに映るのは漆黒の髪、赤と金のオッドアイ。 正しく顔は一級品の少年だった... あっ詰んだわ... そう、この少年は俺が前世でやっていたゲーム、『勇者と聖女』の悪役公爵! 男主人公に何度も殺しに掛かり選択次第では殺されることもある...! お、待てよ? せっかく顔もよし、才能もよし、剣もよし、家柄もよし、ほぼパーフェクトの人生に生まれたんだからシナリオ通り男主人公をボッコボコにしたら...? あの時は公爵の方が少し弱かっただけだから鍛えればいける......!? 俺が鏡を覗いているとガチャリと執事らしき人が入ってきた。 「アレクシス様、あれ程言ったのに何故ピアスを外しているんですか?」 は...?ピアス?なんだそりゃ? 俺は知らんぞ? さらに執事は何やら手に持っていた箱からひし形のカットされた仄かに光る宝石のピアスを俺に差し出してきた。 「アレクシス様がこの魔法制御の魔法陣が組み込まれたピアスをしなければ何時暴走が起こるか...」 ああ、ゲームのアレクシス・ディアルガは魔力が生まれつき多く時には暴走させてたくさんの人が死んだ前例もあるんだった。 「うん、解った付けるね」 俺が答えたら執事は驚いたように目を開く。 「アレクシス様、いつもの口調とだいぶ違いますな」 そうか、ゲームのアレクシスは一人称が『我』だったな... 俺も前のアレクシスのように話せる訓練しなきゃ...... もう俺はアレクシス・ディアルガなんだ。 「なんでもないぞ、執事よ。少し頭でも打ったようだ」 俺は...いや、我は極力前のアレクシスの様に話す。 我はピアスを執事から受け取り耳につけた。 『ガシャリ』 ひし形のピアスにドンドン我の魔力が割れるように入り少し目眩がした。 でも待ってるが良い、男主人公ぞ。 この悪党公爵、アレクシス・ディアルガが相手をしてやるぞい。
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