みんな大好き、お絵かきの時間。色とりどりのクレヨンを片手に、みんなが画用紙に夢を描く中で──あの子は、赤と灰のクレヨンだけを持って画用紙をグチャグチャにしていた。 『……ねえ、何を描いているの? ……どうして、赤と灰色だけしか使わないの?』 『……どうして、それいがいのをつかわなきゃいけないの?』 ゾっとするほど赤と灰に塗れた画用紙。何枚も何枚も続くそれ。絵を描くのが好きでもなければ楽しくも無いというのに、それでもあの子は赤と灰を塗りたくっていく。 ──あの子が赤と灰のクレヨンだけを使って「お絵かき」する理由、あなたはわかりますか? ※【ミステリー短編小説コンテスト:日常の謎】投稿作品 ※【百鬼夜行の手帳】より抜粋
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