未完成のままの世界で人は自由に過ごしていた。徳(カルマ)を積んだり落としたり、国王がいて国を納める法治国家において犯罪に手を染める者や、冒険者というフリーターになる者もいた。青き星からの来評者は制御システムに保護されている。その世界の一般人よりも寿命が長く「死」を決めることがその保障された自由の中に含まれてもいる。ある意味、不死身である。これは、そんな世界から現代世界の山奥で、次元の狭間に囚われた食堂とその従業員たちの話である。 故郷で起きた魔力の暴走による空間のひずみ、時空のひびに中途半端に引っかかっている食堂があり、「異世界食堂」という。異世界から現代世界へ食堂ごと転移せざるを得なかった、四人は現代世界で、ジビエ料理が流行していることに気づく。そこで営業を決意する。店の奥には通常の人には見えない魔法陣が二つある。その部分だけ、故郷とつながっている。銀行と、食材通達人(ハンター)たちの協会(ギルド)につながっていた。現代世界と故郷でもある異世界を行き来したかったが、この現代世界には魔力素(マーナ)が極端に少なく、魔法が使えない状態であった。 ところがある事件を境に、故郷と同じぐらいの魔力素の濃度になる。その原因を探ろうとしていると、ここには存在しないハズのモンスターの目撃情報が相次ぐ。四人はやじ馬に混ざって様子を見にいくと、そこにあったものは時空門(ゲート)であった。四人の中で一番魔力が高いアルが人工的に築いたものだ、という。その日から少しずつ、異変に見舞われていく。アルが呪歌(じゅか)の標的にされたり、戦士のパタが死にかけたり、シェフ自身も過去に受けた腕の傷あとからくる痙攣に悩ませたりする。食材とお金専用に使っていた店の奥の魔法陣前には、小型のモンスターが出現していた。魔獣遣い(テイマーメイジ)のピットが使った魔法により、火事となる。店を再建後にはピットの消えた記憶の謎も判明していく。 ※ほかのサイトに重複投稿しています。
読了目安時間:1時間47分
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