各プレイヤーの行動や性格、プレイスタイルによって独自に能力が進化するシステム<エンブリオ>。人と間違うような、確かにその世界に息づくNPCたち<ティアン>。そんな夢のようなシステムを備えたダイブ型VRMMO<Infinite Dendrogram>は、瞬く間に一大ムーブメントとなって世界を席巻し、数多くのユーザーがこのゲームを楽しんでい──────なかった。 そう、<Infinite dendrogram>は創作の物語。残念ながらそんな夢のゲームなど存在せず、作者が創った空想のゲーム。 そのすべてはフィクションである。 ──そして、2020年の現代。 <Infinite dendrogram>に憧れる少年、志藤 玲次は華々しいこの物語の主人公椋鳥 玲二のファンであった。 だが、憧れるほど気づいてしまう。 自分と椋鳥 玲二の絶望的な距離を。 “不屈”レイ・スターリング。 主人公であり、その可能性で多数の人を救うヒーロー。 片や、それをただ眺めている非力な学生。 なれないものに憧れを抱くことしかできない。 少年は諦めた、主人公にはなれないと。 当然だ、当たり前だ。 あっけなく、少年の夢は儚く散った。 ……筈だった ────ある日、目覚めると広野にいた。 これは少年が<Infinite dendrogram>に迷いこみ、偽の主人公が送るメタ・ファンタジーである。 されば、汝は主人公とならん。 ※デンドロコンテスト用ですが終わっても続けるかも知れません。 その場合は主人公と主人公(偽)の絡みがあるかも
読了目安時間:2時間16分
この作品を読む