「――魑魅魍魎が棲みつく化け物屋敷がある」 それは、京都府宇治市に存在する噂。 藤原四季が京都へ引っ越してまもなく、両親は飛行機とともに消息不明になってしまった。途方に暮れていたところ、不思議な雰囲気を持つ学校の養護教諭・龍崎青葉に導かれ、四季はあけぼの屋敷へ足を踏み入れてしまう。 しかし、その店の住所はまさかの異界「三途」 さらにバケモノ屋敷のオーナーはかの有名な陰陽師・安倍晴明で、養護教諭の龍崎青葉の正体は東を司る四神の青龍!? 晴明から自分自身が陰陽師の末裔であると知らされた四季は、あけぼの屋敷でのアルバイトを勧められる。 噂の通り存在した化け物屋敷。 一階は東を司る四神・青龍が経営する不思議な喫茶店兼探偵事務所。彼岸花の咲き乱れる庭や御池、上階は妖や神達、摩訶不思議な住人達の住処となっていた。 そして、この世の不思議を知ってしまった四季の周りで突然起こる神隠し事件。 そんな折、探偵事務所・古都織に人魚の妖から兄を探してほしいという依頼が舞い込んだ。晴明に頼まれ、青龍とともにアルバイトのお試しで調査することになった四季。 事件を調べていくうちに四季のクラスメイトのひらりが巻き込まれていることが発覚! 容疑者は人魚の妖・弦。弦は恋人を人間に殺され、現世に強い恨みを持っていた。 水族館が原因で死んだ恋人の復讐のため、弦は人間で水族館を作ろうと目論んでいた。そこへ、弦の妹・弓が弦を連れ戻しにやってくるが、弦は、弓は既に死んでいると言い……!? 弓の正体は、弓を喰らった化鯨という最恐の妖だった。青龍が四季を守りながら弦や化鯨と戦うが、状況は劣勢。とうとう四季は化鯨に喰われてしまった! 共に化鯨に呑み込まれた晴明は、 「助かる方法はただ一つ。僕を取り込んで本物の陰陽師の力を得ること」 そのとき、四季がくだした決断は……。
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