【小説をnote( https://note.com/varistarorch )で書き直しています。良かったら見に来てください。】 経験し、想像してみてください。例えば五分間。あなたは眼球以外の体の動きを止め、天井や壁、もしくは何も無い部屋の一角をただ見つめ続けてください。苦痛が待っているはずです。しかしその苦痛は本当の地獄ではありません。なぜならあなたのその苦痛は五分後に解かれ元に戻るとわかっている五分だからです。 想像してみてください。例えばその五分が、最期まで続く人生を。 ある国のクイナと言われる丘には小さな町があります。その町には石畳やレンガでできた道や家が並んでいます。これは、変わらない町の中で、変わってゆく人々の物語です。 カラキランコロン。玄関のドアに付けられた鐘の音が響きました。 「はーい!」 今日もまた、夢の家にミロクおばあさんがやって来たのです。朝食の支度をしていた夢は、とても嬉しそうに玄関の方へと駆けて行きました。夢にとってこの鐘の音が、クイナの町の住人達との幸せなふれあいの始まりです。そしてそれは、明日も明後日もいつまでも、ずっと、続くのだと夢もおばあさんも思っています。 そんなある日、夢はおばあさんと一緒に病院へ行く事になりました。そしてその日を境に夢とおばあさんの大切な日日が始まるのです。誰が悪いわけでもなく何が悪いわけでもなく、多くの人の人生には悲しみというものが訪れます。夢はこの日からおばあさんとクイナの町の住人達とその悲しみの中に入って行きます。決して美談では終わらない救急救命処置、声を失う人工呼吸器、医療の誤診、介護サービス従業員による傷害、そして別れ。そんな悲しみを乗り越えながら主人公の夢は一つの人生を生きて行きます。 ALSは筋萎縮性側索硬化症という難病です。全身の筋肉が弱り、最後には目蓋も閉じる事ができなくなります。ただ、この難病が及ぼす影響もそこまでです。つまり心は健康な時のままなのです。これは難病になった母と共に生きた自分が「そうありたかった」そんな世界の物語です。 主題歌を作りました! 「最初で最後の再開 / 初音ミク」 https://youtu.be/-9bATvNPj7o ※11月4日現在小説を十章目まで書き直しました。
読了目安時間:10時間32分
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