「男の子を二人殺した」。文香は最期にそう呟き、病死した。高校からつきあい、大学を出て文香と結ばれた雅雄は、長年連れ添った妻が残した言葉の意味を考える。出会ったころ、二人には元也という親友がいた。元也の事故死を「殺した」と言ったのだろうか。もう一人は誰のことだろう。文香を見送った斎場で、雅雄は古い記憶を手繰り寄せる(「A few sentiments~1985」)。 あれから10年。文香は雅雄に求婚される。仕事にくたびれ切ってはいるけれど、やり残しがあるようにも感じてる。このまま雅雄と結ばれていいのだろうか。戸惑う文香は、年下の同僚である真司に相談する。刻々と結婚の段取りが進む中、ついに文香は一線を超えてしまう。(「A few sentiments~1995」) ※・別の場所で公開していた作品を改稿、改題しました。 ・普段は「掌編小説」名義でTwitterで140字小説を投稿しています(https://twitter.com/l3osQbTDUSKbInn)。 ・イラストは絵師のイトノコ(ミカスケ)さんからお借りしました(https://twitter.com/misokooekaki)。
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