幼い頃から自閉症を患い家事や生活の一部なにより他者とのコミュニケーションを両親と共同で製作した自作女性型AI『シェロ』に頼り切り 引籠って二流ゲーマー生活をしていた『今川 羊志』はある日部屋に突然現れた所々血で染まった法服を纏った骸骨の様な僧侶に心臓を貫かれ意識 を失ってしまう。 死を悟った羊志だったが次に目を覚ましたのは死後の世界などではなく見知らぬ大豪邸の一室にあるベッドの上だった。 「なにダーリンもう朝?」「....ギャル」 生存していたことに安心しきっていた羊志は最も信頼していた清楚系AIシェロが見た目や口調が様変わりしたギャル系AIになっていることに 驚愕し何が起こっているのか分からぬ事態に安心感は吹っ飛び疑問と混乱そして恐怖が彼を襲った。 そしてその時を待っていたかの様に羊志の居た部屋の扉を開け何故か欲情気味に自分の血を求めた美少女メイドが現れ半ばB級ホラーの様な事態は 色々な情報と感情で混沌としていた羊志の心胆を更に寒からしめた。 羊志が僅かに傷を付けた己の指から血を啜る少女に名を訪ね彼女が『太原 冬深』と名乗ったのを聞き終えるのと同時に僅かな頭痛に襲われ突如として頭の中に自身と共通点が多く感じられる人生を歩んだ同姓同名の人物の記憶が流れ込んできた。 流入した記憶からこの世界が並行世界の様な物であり自分が桶狭間の戦いで噛ませ犬として登場し散ったはずが何故か天下統一をしてしまっている戦国大名〝今川義元〟の子孫でありそしてその今川家が現代日本において絶対的な黒幕として君臨していること更には自分がその黒幕の後継者候補の 1人であることを知る。 頭の中で整理されていく情報から自分が置かれた現状や未来にそこはかとない危機感と恐怖を抱いた羊志は五体満足で生き残り安心安全な引籠り 二流ゲーマー生活を取り戻すことを夢見るも己に宿った今川家相伝の能力であり魔眼と並び〝異天の恩寵〟に分類される魔血の中でも他者を自分に 忠実な奴隷の様に隷属させてしまう『隷血』が望まずとも彼を闘争の舞台へと引き上げてしまう。 あらゆる動物の異性のみ隷血可能という中途半端だが強い能力を武器に羊志は命懸けの闘争を駆ける。
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