『二度の追放』を喰らったが 落ち込み、めげてばかりもいられない。 スフェール王国貧乏騎士爵アルノー家の3男坊、ランクFの新人冒険者エルヴェ・アルノー、16歳。 家督を相続する一番上の兄貴から、食い扶持減らしの厄介払いと言うか、 名目上は武者修行だが、 実際には『追放』に近い旅立を強いられた。 その後……身体が頑丈で、そこそこ力があるのを買われ、冒険者ギルドランキング上位クラン、 『シーニュ』に誘われる形で仮所属となり、研修を兼ねて『荷物持ち』をしていた。 指示された事は無理な事も全て一生懸命やり、こなした。 進んで料理、洗濯、掃除などの家事は勿論、もろもろの雑用もやった。 勘だけは鋭いから、出現する魔物の気配も事前に察知し、逐一報告もした。 でもそれが、『シーニュ』の偵察、索敵を担当するシーフには気に喰わなかったようだ。 新人の癖に出過ぎた真似をすると陰口を叩かれ、他のメンバーのミスも全てエルヴェのせいにされ、ある事ない事をでっちあげられ、誹謗中傷されてしまう。 いわれのない事を非難され、抗議したが…… 新人の癖に生意気だと一蹴。 聞き入れて貰えなかった。 結果、これまた散々安い賃金でこきつかわれた挙句、 魔物の群れに対し、捨て駒のような盾役、原野、迷宮の置き去りなど、 エルヴェの命など、なんとも思わない悪行三昧。 対して、天性の勘の鋭さ、『勘働き』で何とか命をつないだエルヴェ。 だが挙句の果てに『シーニュ』のクランリーダーの銀髪女魔法使い、ミランダ・ベルグニウーより、容赦ない罵倒、罵声と共に一方的にごみのようにリリースされ、『無所属』になってしまう。 いつの日にか、ざまあしてやると、リベンジに燃えるエルヴェだったが、ほんの気晴らしに、有望な新人が指名される、冒険者クラン新人選択希望会議……ドラフト会議にエントリーした。 このドラフト会議で何と!何と! 衝撃の大事件が起こる!! 厳しい環境で密かに培われた、底知れぬエルヴェの才能が、偉大な英雄に見込まれたのだ。 耐えに耐えて来たエルヴェの運命が、遂に大きく変わり動き出した!!
読了目安時間:11時間44分
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