想いが魔法になる世界で、『魔法』を操る『魔法使い』の少女アスティは霧の悪魔『ミスティック』を退治する職に就く。しかし、アスティを待っていたのは、魔法少女の物語で描かれるような、華やかな戦いなどではなかった…… 死の匂いが充満する舞台の上で少女は踊る。その身に宿した想いを散らして…… -------------------------- 第1話は統合版と分割版があります +++++++++++++++++ 西暦1918年、人類が争い合う中で一つの隕石が地球に飛来した。直径1メートルにも満たないそれはユーラシア大陸北部の無人地域に落ちて、小さなクレーターを作った。 しかし、戦争中の人類にとって無人地域に落ちた小さな石ころの存在など気に留められるはずもなく、その時はただの小さな隕石の一つとして処理された。 しかし、それから十年後。戦火も収まり、人類が戦争による荒廃から立ち直り始めた頃、寒冷地に立ち込める霧の中からそれは現れた。 『ミスティック』 霧に扮したその化け物を人はそう呼んだ。 ミスティックには従来の兵器が通用せず、体の部位を破損しても霧のように散って再集合した。 対抗手段を持たない人類は瞬く間に生存権を奪われていった。 だが、このままでは滅びを待つことになるかと思われた人類のに一つの希望が差し込んだ。 『魔法』まさしくそれはそう呼ぶにふさわしい力だった。 人の想いを源に生み出される不思議な力は、ミスティックの再生を許さず、彼らにとどめを刺すことを可能にした。 魔法を操る者『魔法使い』の活躍により、人類は生存権の六割を奪われたところでミスティックの侵攻を食い止めた。 それから、研究、訓練、そして想いを積み重ねた人類はついにミスティックへの反攻の意志を抱いた。 ミスティックの発生から百年後の西暦2028年。 人類によるレコンキスタが今始まる……。
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