13年前、平安時代から現代にタイムスリップしてきた安倍童子。 『霊に干渉出来る事』以外は普通の高校生活を送っていた。 世界中の『異端』を管理する組織から派遣されたエージェントと出会うまでは。 「陰陽師にしてこの世界を滅ぼさんとする魔王――安倍晴明。それがあなたの正体です」 しかもそのエージェントは、かつては異世界で最強冒険ギルドに属していたという聖剣使いの少女だった。 聖剣使いの少女から自分の正体と、やがてこの世界も滅ぼす危険人物として指名を受けた訳だが。 「陰陽道って、安倍晴明って何だ?」 安倍童子は、知らなかった。 本来の歴史で会得するはずだった陰陽道も。 名乗る筈だった安倍晴明という名前も。 そんな折、日本で一番高い山が富士山ではなく、標高4444mの別の山に全人類の認識ごとすり替わっている事が判明。 関わっているのは、異世界のとある冒険ギルドを追放された『付与術師』だった。 それを入口に世界中の底知れぬ怪異、異世界のチート魔術、果ては世界の存亡をかけた戦いに童子も巻き込まれる事となる。 「俺が、安倍晴明だ」 童子は、本当に世界を滅ぼす安倍晴明になってしまうのか。 「だったら、私が抹殺します。君を」 異世界を既に安倍晴明に滅ぼされた聖剣使いの少女は、童子と敵対するのか。 現代の怪異と、異世界の魔術が交差する結末に、世界はどうなるのか。 過去の偉人達が作り上げてきた伝統ある歴史を。 現在の人間達が必死に生きているあの青い空を。 未来の可能性が無限にさんざめく虹の先を。 未知の異世界で確かに積み重ねていく笑顔を。 生まれた世界も時代も違う二人は、守っていけるのか。 応答せよ。