真崎幸人(まさき ゆきと)は人よりだいぶタイミングの悪い入社5年目のサラリーマンだ。 朝一の会議の準備をしようと早めに家を出れば、乗っていた電車が遅れて会社に遅刻しそうになるし、コピー機を使えば高確率で紙詰まりに見舞われる。そんなことは日常茶飯事だ。 幸人はそんな自分のタイミングの悪さが嫌で嫌で仕方がない。それなのに、どんなに気をつけていても不幸は向こうからやってくる。 「またか……」 今日も今日とてちょっとした不運に見舞われていると、後輩の日向慶(ひむかい けい)がやってきて「今日はどうしたんですか?」と声をかけてくれる。 明るくてみんなにかわいがられている陽キャな後輩が自分にも分け隔てなく話しかけてくれるのに気後れしつつも、幸人は嫌な顔一つせずに愚痴につきあってくれる慶と次第に打ち解けていく。 一方、日向慶は有名大学を卒業した入社三年目。二年目に起こった出来事が原因で部署移動になり、移動先の開発部で幸人と出会った。 慶は自分に立ち直るきっかけをくれた幸人に恩を返したくて、密かに目で追うようになった。 ――先輩の役に立ちたい―― 毎日こっそりと幸人を目で追っていた慶は、ある時ふと思った――真崎先輩、いつもタイミング悪すぎやしないかと。 これは、毎度毎度タイミングが悪くてちょっとした不運に見舞われる先輩と、そんな不憫な先輩の役に立ちたい後輩の、無自覚な片思いから両思いになるまでのお話。後輩×先輩。 セルフレイティングは念のため。 ※R18版をムーンライトノベルズ様に掲載しています。
読了目安時間:2時間59分
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