潜在的精神の発現――通称<想起(メノン)>。 160年前に突如として発生した、人類のみに見られる『異能』の力。 この<想起>を持つ者――想起者(メノシアン)はその特異な能力で、医療・軍事・産業など広範な分野の発展に寄与してきた。 世論は強大な力を持つ想起者という存在に忌避感を覚えながらも、想起者を取り締まる治安維持機関『異能対策局』の活躍により、緩やかな調和が訪れる。 しかし、3年前の惨劇が全てを狂わせた。 史上最悪の大規模異能テロ「ドミネイター・アグレッション」。 突如として10万人を超える市民が正気を失って暴徒と化し、日本中を大混乱に陥れた未曽有の事件。 異能対策局に勤める主人公・天園真人(あまぞのまなと)にとって、元・相棒——望月白宜(もちづきはくの)を奪った忌まわしき悲劇。 1万人を超える死傷者を生み出した惨劇は、想起者たちへの風当たりを厳しいものとした。 この事件を契機に、真人の心の中にはいつまでも一つの『問い』が留まり続ける。 「何故、彼女は死ななければならなかったのか」 真人は元・相棒にまつわる真相を知るため、惨劇を引き起こした張本人『白兎』の行方を追うことを決意する。 その過程で彼が巡り合う、道を踏み外してしまった者たちの悲劇、慟哭。 差別、蔑視、排斥。人の悪感情により生まれてしまう様々な異能事件が渦巻く社会。 真人は、頼りになるけれども毒舌な後輩である現・相棒――唯切愛示(ただきり あいじ)と共に数々の難事件を駆け巡り、3年前の真相に迫っていく。 ※イラストは有償依頼で作成していただきました。