飽食の世界で生まれ育った者は、料理のない世界が想像出来るだろうか? しかし、歴史において料理が消滅したケースは幾度となく存在する。 それは、ありとあらゆる食材が消滅した時だ。 その世界もそうだった。しかし歴史と違うことがあるとすれば、神がその状況を打破するため『芋』という万能食材を生み出してしまったことである。 その『芋』は土に埋めれば1週間で食べられ、生で食べても消化に難はなく、果物のような甘さがある。そして火を入れれば塩味を産み、主菜が要らなくなるほどに旨く、飽きが来ない。栄養バランスを考える必要すらない、まさに神が作りし食材であった。 そんな世界で『芋』と格闘する、一人の男が居た。男はこの世界に生まれ育った人間ではなく、こことは違う異世界――日本で生まれ育った料理人だった。 彼には、転生する条件として神から一つの使命が授けられていた。 それは、その世界で料理を広めることだ。 料理という概念の消滅したその世界には農耕や畜産の概念はなく、当然調味料すら存在しない。それでも男は料理のため、ろくな調理器具もない世界で芋を、野草を、野生動物を喰らい、少しずつ世界の解像度を高め、料理を広めていく。 美味しいと思える食材を見つけても、ここは食事イコール芋の世界。 当然、必要のないものを食べてもらうことは出来ないし、食に関する一次産業が破綻している世界で料理を広めるのは、食材の供給量からして困難だ。 それでも、男は諦めない。 森の主である巨大狼や家出をしてきた兄妹、風変わりな薬師を仲間に入れ、少しずつ料理という概念を世界に刻んでいく。 誰もが食べて美味しいと思えて、更に真似したくなるものを、男は果たして作れるのか。 異世界料理人VS誰が何しても旨い芋、バトルスタート! ---------------- 【作者が考える作品のセールスポイント】 1.料理という概念のない異世界 2.芋チート 3.味覚さえあれば問題なし! ----------------
読了目安時間:3時間51分
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