世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。 カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。 落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。 そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。 器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。 失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。 過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。 これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。 しかし、高品質の製品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく―― ---------------- 【作者が考える作品のセールスポイント】 1.「魔法の使えない錬金術師」のヒロインが、中世から近代に移りゆくファンタジー世界で化粧品作りで成功していく。異世界ファンタジーの中にも女性に共感しやすい題材。 2.主人公を溺愛している幼馴染みと、彼に対して確かに恋心を持っているはずのヒロイン。けれど、頑なにお互いが「幼馴染みでそんな関係ではない」と言うすれ違いにまつわる謎。 3.追放から始まるが、決して復讐は目的にならず、優しく明るい世界としてヒロインの日常を綴っている。 ---------------- HJテーマ別長編小説コンテストに応募しております。 この作品は小説家になろう様・カクヨム様にも掲載しています。 ※この作品の表紙画像はAI生成作品を使用しております。
読了目安時間:6時間9分
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