東条 瑠夏(とうじょう るか)はごく普通の女子高生であった。他人と違う点と言えば、艶やかな長く真っ直ぐな黒髪が自慢だということと、見目麗しい美少女であるということ。あとは陸上部の元エースだったということくらいだ。 そんな瑠夏はある日、福引きで当たったチケットを利用して動物園に遊びに来ていた。 柵の向こうのジャイアントパンダの親子を微笑ましく見物していたのだが、その親子が瑠夏の近くに寄ってきた途端、辺りは眩い光に包まれた―――― 目を開けたらそこは原生林もかくやといった深い森の中だった。 あれだけ賑わっていた来場客も瑠夏の他には誰も居らず、居たのは先程まで柵越しに眺めていたパンダの親子だけ―――― 「ぱんだぁあああああああッッ!!」 「いやぁああああああああッッ!!」 これは、突如見知らぬ世界に転移した一人と二頭の、笑いあり涙ありの心温まる冒険物語である。 ※表紙イラストは都鳥様(@miyako1843723 )に頂きました!(無断転載や無断での使用は固くお断りします)
読了目安時間:3時間25分
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