「やっぱり恋人にかっこいいって思われたいなって」 小型犬のようにころころ表情が変わり、ひょろりと背が高く、筋肉がつきにくい体質の男性・巣鴨雄大は、かっこいいというよりは――甚だ彼にとって遺憾だろうがかわいらしいに分類されがちな男性である。すまして立っていたならばかっこいいかもしれないが、ころころと変わる表情は子どもらしさすらある。 ましてや、彼の恋人である本条晶は柔らかさとは無縁な筋肉に加えて、百八十を超える長身であり、乾かすのが面倒臭いからと短く切りそろえた髪型をしている。後ろから――正面から見ても男性に見間違えられるような人物である。 そんな恋人にかっこいいと思って貰うために、彼は最近出来た年上の友人・妋崎に相談を持ちかける。 「少なくとも相手の基準が分からないとだめでしょ」 「ですね。晶ちゃんのかっこいいに当てはまるかっこいいところを磨きます!」 「……いや、たぶん君の場合、かわいいところを磨いた方が絶対ハマると思うんですけどね……」 これはかっこいいを模索する青年のある日の一日である。 ※「私とわたしの日々是好日」(https://novelup.plus/story/100672697)の外伝小説です。個人サイトにも掲載しています。 illustration by @inadananten
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