御母様 お元気にされているでしょうか。 南海の空はどこまでも青く、美しい白い浜が続いています。 弟や妹たちにも見せてあげたい光景です。 私を産み、これまで育てていただき有難うございます。 明日、私は逝きます。 皆々様のいる祖国を守って散ることができるのは本当に幸せです。 御母様におかれましては、悲しまれることなく、よくやったとただ一声かけて頂ければ嬉しく思います。 どうか、幼き弟や妹たちをよろしくお願いいたします。 そちらはまだ寒さが厳しい頃でしょう。御体にはどうぞお気を付けください。皆様の健康をお祈り致します。 昭和二十年二月十八日 『夏の五題小説マラソン その一』
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