【前編:マリッジリングの罠】 結婚式を控えた翔(かける)と亜樹。 マリッジリングを選ぶ為、ドキドキしながら足を運んだお店で、店主から勧められたのは、とても不思議な機能付き――人生のやり直しが出来るという、俄かには信じ難いものだった。 半信半疑ながらも、それをマリッジリングとして選んだ二人。 この指輪が彼らの手に渡ったのは、ただの偶然か、或いは必然だったのか。 生涯使うことなどないかにも思えたその機能を巡って、やがて交錯していく二人の愛情。 果たしてその行く末は―― 【後編:パラレル世界に架かる虹】 波塩博士(翔)には、忘れられない女性がいる。一目見た時から惹かれていた。 まだ学生だった若き日の彼が、その女性――亜樹を初めてデートに誘ったのは、ある年の七夕のことだった。 結婚式を間近にして、幸せの絶頂にいた彼らだったが、ある日 水難事故で亜樹は亡くなってしまった。 ――あの時、海へ行く彼女を引き止めていられたなら、こんなことにはならなかったのに…… もう一度、彼女に会いたい…… 深い後悔の念と恋慕の想いは、やがて彼にタイムマシンの研究を始めさせた。 長いながい歳月を経て、いよいよ完成したマシンに乗り込み、彼女に会いにいこうとする博士。その手には、一組のマリッジリングの入った小箱が大切そうに収められていた―― 『マリッジリングの罠』の続編として、或いは、タイトルにもある「パラレル世界」の如く全く別のもう一つのお話として。 二つの物語の交わりを楽しんでいただけましたら、うれしく思います。
読了目安時間:38分
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