――何かを忘れたように淡々と陽が昇り、月が出る。 七つの都市と七万の人口を抱える街、新都ラピスは今日も平穏だった。そこは、共同体を保つために人間が「生産」され「役割」の名の下に歯車として働く、人と社会の使役関係が逆転した世界。ラピスの最高権力機関・統一機関に所属するリュンヌは、読書家で人との関わりを苦手とするところ以外、ごく一般的な研修生として暮らしていた。19歳の秋、幹部候補生に抜擢される研修生が発表される日の朝に、異言語を話す少年ティアがやってきたときから、彼女の日常は、そしてラピスという世界は、徐々に変化していく。 形を変えゆく世界のなかで、自身を変革してゆく人々の群像劇。 ------ リュンヌ・バレンシア(ルナ)…… 本作の主人公。統一機関の研修生。事なかれ主義で厭世的、消極的でごく少数の人間としか関わりを持とうとしないが物語の中で次第に変化していく。本を読むのが好きで、抜群の記憶力がある。長い三つ編みと月を象ったイヤリングが特徴。 ソレイユ・バレンシア(ソル)…… 統一機関の研修生。ルナの相方で幼馴染。ルナとは対照的に非常に社交的で、人間関係を大切にする。利他的で、時折、身の危険を顧みない行動を取る。明るいオレンジの髪と太陽を象ったイヤリングが特徴。 ------ 全十章。 「小説家になろう」「NOVELDAYS」にも投稿しています。 他2サイトに投稿したものは完結済です。そちらを改稿し、順次投稿していく予定です。
読了目安時間:14時間20分
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