第三次世界により滅亡した世界。 元女子高教師護摩寺慎平は、妹の未玖とともに生存していた。 核攻撃を受けたのに何故生きているのか? 自宅が無事なのか? 本人たちにも分からない。 自分たちが最後の人類ではないかと怯えつつ眠りにつくと、夢に幼い頃亡くなった母が現れ二つのことを告げる。 一つ目は「貴方たち兄妹が新世界のアダムとイブになれ」、そしてもう一つは……。 慎平が起床すると、未玖も同じ夢を見ていたことがわかる。 母のお告げを信じ、慎平にキスと子作りをせがんでくる未玖。 禁忌に迷いながらも人類存続のためと腹を決める慎平だが、寸前で未玖の方ががヘタレを発揮。 食卓に置いてあった湯沸かしポットで慎平のキスをガードしてしまう。 キスをされた湯沸かしポットは突如、全裸の少女に変化。 慎平が少女の性器に口づけをしている卑猥な体勢での出会いになった。 少女の名はケトル、湯沸かしポットが擬人化した存在。 それだけに沸騰しやすい性格で、慎平はいきなり蹴られる。 擬人とは滅びた人類に代わり、新世界を支配する存在。 神話時代の終焉に、神々が己の被造物から人類を生み出したが如く、人類も自らの被造物に命を与え、世界の後継者に指名する時が訪れたのだ。 慎平と未玖は、母であり家庭の女神であるヘスティアの加護で滅亡から逃れ、さらには家庭用品に命を与えて擬人化させる能力を授かっていた。 ヘスティアと敵対する神々もおり、慎平たちは狙われている。 平和な暮らしを送るには人間と擬人が共存する都、ヘスティアポリスへ一年以内に行く必要がある。 それが母に夢で告げられた二つ目のことであった。 ヘスティアポリスへ旅立つ慎平と未玖、そしてケトル。 旅の困難を乗り越えるためさらなる擬人たちを生み出すが、彼女らは個性が強烈な上、家庭用品だった時の扱いをしっかり覚えおり、恨みや不満をぶつけてくる。 反面、慎平の子を産めばヘスティアポリスの支配部族となれるため、あの手この手で性的な誘惑をし、ライバルの蹴落しを仕掛けてくるのだ。 仲間を増やすたびに倍増していくトラブル。 さらには敵対する神々の力で生み出された“擬人”や“擬獣”が旅路に立ちふさがる。 果たして慎平たちは安楽の地ヘスティアポリスに辿り着けるのか? そして、新世界の支配民族となるのはどの“擬人”なのか?
読了目安時間:4分
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