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旅に出よう、僕の心を滅ぼして

読了目安時間:5分

私が思う葛藤を練り込んだ短編小説です。是非、コメントで意見を言ってくれると助かります。

旅に出よう、僕の心を滅ぼして

 僕の生活は「決められたこと」という言葉で全て片付けることができる。決められた時間に起きて、決められた時間の電車に乗って、学校へ行き、決められた時間割で勉強して決められた時間の中で休んで決められた時間で帰る。家についても決められた勉強をして寝る。その繰り返し。  一見すると大人が僕のことを手伝ってくれてるかのようにも見えるが僕からしたら鳥籠の中でしか羽を動かせないカナリアのような気がした。羽を休める足場までしか羽ばたくことができないカナリアみたいに。向こうが決めたプランにハイハイ乗っかってる、ある意味洗脳されてるんじゃないかって思う時も多々あった。  そんな僕だからこそ、たまには「決められたこと」から外れたことをしてみたいって思う時がある。悪いことをしたらスカッとするんじゃないか? って思ってクラスの悪いやつを見習ってしてやろうと考える時もある。そういうのを考えてる時は面白いんだけどいざやってみようと思ったら怖くて動けなくなる。  悪いことを見習った奴がどうして悪い子って言われるかを理解する羽目になってしまう。決められたことから外れたことをしてしまうと自分はどうなるかを思い知らされる。  今は決められたことで僕を束縛してるのに周りの大人は「大人になっていくんだ」って言って僕たちを社会の渦の中にほっぽり出していく。自立をしろ! と言われて大人が決めたプランを押し付ける。そんなことを考えてるといつも思うんだ。 「宿題やるか……」  って。決められたことをしないと自分が決めることをやらせてくれないかもしれない。それができない人生になるかもしれないって思うと遅刻をしたり宿題をしないでヘラヘラ笑ってるやつを見ててカッコいいって思ってた自分の心に水がかかるんだ。油は決してかからない。「決められたこと」が僕に水をかけるんだ。余計なことは考えるなって。  こんな「決められたこと」から抜け出したい僕がいるのに現実はそれを許さないかのように僕に葛藤を押し付けてくる。物事を考える時に置いて必ずやってくる葛藤だ。「決められたこと」をするか、それを放棄するか。  一回だけでも放棄をしてみたいと思う毎日だけどそれを行って何が残るんだろうと言われれば僕は何にも答えられないと思う。いいことが起きるとも限らないんだから。変化を求めるには何かの犠牲が必要なんだから。  そう思いながら居眠りをして明日に備える僕。結局、こんな鳥籠から抜け出すことはできないんだなと思うとなんだか寂しかった。布団にくるまって寝るだけなのに……僕は泣いた。  親の声で目を覚ます。遅刻ってほど寝坊はしてないがちょっとピンチの状態。回らない頭の中、制服を着て鞄を持って僕は家を出た。いつも乗ってる電車に乗ることはできるだろうか? と思って急いで駅に向かう。ピロロロロロと電車のドアが閉まる奇妙な音楽が終わる直前に僕はなんとか電車の中に滑り込んだ。  一瞬だけ人の視線が僕に注目したがサッと目をそらして席に座る。今日も結局決められたことに従うのか……と思いながら電車の揺れに体を預ける。ゆっくりと揺れる電車に身を任せているとなんだか眠たくなって……僕の目は自然と閉じていった。  どれくらい寝ていただろう。気がつけば電車の中の人は誰もいなかった。ハッとして辺りを見渡した時に誰もいなくて揺れる電車の中だけを僕だけがいた時、なんとも言えない不安が一気に襲い掛かる。そして僕は察したのだ居眠りをして最寄駅を乗り過ごした、と。しかも周りに人がいない状況だから終点近くの駅に着いてしまうようである。心の深いところからゾワゾワと這い上がってくる焦りに冷や汗をかきながらも僕は「ちょっと待てよ……」と考えた。  このまま焦っても仕方がない。どうせ学校はもう遅刻だ。今から頑張って学校に行ったとしても遅刻ということには変わり内ではないか。教師が僕の努力を称えるとは思えなかった。そう考えていると電車の窓から見える景色の奥に蒼い海が見えた。  海、蒼い海だ。海を認識した時に電車はある駅で止まった。僕は衝動的に降りる。人が僕一人いない無人駅に突っ立っている僕を電車は置いていった。とりあえず、乗り越しして駅を出る。窮屈な街からは感じられない美味しい潮風を感じた。  今の時間帯ならもう学校は始まって1時間目も中盤あたりか……。そう考えているとあることに気がつく。自分の意識から離れたところで「決められたこと」を放棄することができたんじゃないか? これは悪いことじゃないか? そんな悪いことをしてるのに今の自分の心境はどうだ? 怖いか? 違うだろ、満足してるだろ!  僕は駅ではなく、海に向かって歩き出した。学校なんてどうでもいい、親なんてどうでもいい。僕は海を目指す。路地裏のような暗い道を通って、傾斜がある坂道を登って海を目指す。思った以上に簡単だった、「決められたこと」から抜け出すなんて。  深く考えてる時点で僕はもう負けてるんだ。それこそが大人が仕組んだ「決められたこと」なんだ。余計な考えを持って行動に移さないように僕らに葛藤を与えてるんだ。でも残念だったな! 運命の神は僕にきっかけをくれた。あの居眠りがなければ僕は全てを投げ出してここまでくることはない。  変化を求めるならそのことを思わなければいい。心なんて余計なものがあるから前に進めないんだ。余計なことは何も考えないで一歩を踏めばこうやって変化を実現させることができるんだ。そう思うと僕の口角はスゥッと上がっていく。  いいぞ、潮風の味も濃くなってきた。坂道ももう終わりだ! これを登り切れば海が僕を迎え入れてくれる。広い海が僕を待っててくれてる! 親からも学校からも抜け出すことができた僕を……、海が抱きしめてくれるんだ!!  だから待ってて、今すぐ行くから! もうちょっとなんだ、後何歩か進むだけで海と僕は対面できるんだ! まずは君の中に飛び込むことにするよ、そして何もしない、僕は君の中で漂うことにする。余計な心は滅ぼして、学校家なんてクソくらえだ。  全てを受け入れてくれる海よ、僕を慰めてくれる海よ、変化を求めることを教えてくれた海よ、僕はついに坂道を登りきった。日光を跳ね返して輝く君が見えるよ。だから僕は走り出す。アスファルトはもうサラサラした砂浜になり、今まで影だった地面は一気に太陽の色がつく。鞄を投げ飛ばして靴も遠くに飛ばして僕は海へと向かった。  今までの日常なんてもう見たくない。僕はこうやって変わるんだ、いや変われるんだ! だから海へ、綺麗な海へ、どこまでも広い海へ、僕の青春の誕生を……祝ってくれる海へ……!!

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