機械屋彼女と物書き彼氏

読了目安時間:2分

2章 2

上から珠理さん

 その日、珠理は1日機嫌が悪かった。  まず、龍生に尚樹の面倒は見切れないので、他の人に教育係を担当してもらうよう頼んでいた。 「ユウキは手が空いてますよ。私、他にも教えないといけないし、今の時点で2台、機械を掛け持ちしてみてるようなもんなんですよ?」  龍生は軽くあしらい、 「お前なら2台でも3台でも機械見れるよ。尚樹には掃除からでも教えてもらえたら良いから」 「はあぁー」  珠理は直樹を少し睨んだような顔で見ている。  従業員が全員出社したところで、龍生が皆に尚樹の事を紹介した。 「取り敢えず1ヶ月の間、手伝いをここにいる尚樹に頼みました。こきつかってくれ。教育担当は珠理に頼んでるから」 「よろしくお願いします」  珠理以外の皆は、笑顔で迎えてくれた。  さっそく、珠理が低い声で尚樹を呼んだ。 「哀浦さん。ここ、掃除してください。終わったら呼んで」  そういうなり、どこかに行ってしまった。  龍生も事務所に行ってしまい、掃除道具が見当たらなかったので、近くにいる、珠理にユウキと呼ばれていた人に声をかけた。 「すいません」 「はいはい」 「掃除を頼まれたんですけど、箒とかが見当たらなくて…」 「ああ、箒ならあそこの機械の奥にありますよ」 「ありがとうございます」 「大変すね、あの女に教えてもらわないといけないなんて」 「はは、…」  尚樹が答えられずに苦笑いしていると、珠理がどこからか飛んできた。 「ユウキ、話する暇あったら仕事して」 「はいはい」  ユウキは機械の方に行ってしまった。 「哀浦さんも、喋らずに仕事してもらえます?」 「すいません」 「掃除にそんなに時間かけないでくださいよ。やることはいっぱいあるんだから」  珠理の言い方に、尚樹は若干むっとしたが、気にしないよう努めた。 「掃除終わったら、あの機械にいるんで声かけて下さい」  言い終わる前に機械に向かって歩いていた。  俺、何かしたかな?気に障ること…  結局その日は1日、珠理は尚樹にきつくあたってきた。教えようという気持ちはあんまり感じられなかった。  ようやく17時になり、退社の時間になったので、着替えるために尚樹は事務所の中にある更衣室に入った。  着替えていると、何やら話し声が聞こえてきた。  どうやら、珠理と龍生が話しているらしい。 「龍さん、あの人どうして雇ったんです?」 「ちょっと事情があってな」 「どうせ、龍さん優しいから頼み込まれて断れなかったんじゃないですか?」 「そういうんじゃないよ」 「本当かな?あの人、金に困ってるんじゃないですか。それで龍さんに泣きついたとか。仕事も出来ないし、会社にも迷惑ですよ」 「厳しいな」 「優しいのも大概にしてくださいよ。」  尚樹は更衣室から出るタイミングをうしなってしまったのと、珠理にあまりにも嫌われてしまっているのとで、しばらく立ったままぼうっとしてしまった。

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