それ行け!ノノちゃん。国枝の妹姫は異世界でトキメキます!

【ラストワールド】また逢えたなら、その時は

 扉の先、薄暗いここはいったい何処だろう。  這いだして分かった。ここは『イクサ』の街にある武器屋のカウンター! きっと間違いない。  光差す扉の方を見上げると、おじちゃんがミシュリル?の短刀を持って待っていてくれました。店の出口であたしを手招いています。  武器屋のおじちゃん、アナタはもしかして……、  おじちゃんは口に指を立てあたしを外へ連れ出してくれます。  そして、毛並みの良い白馬その鞍の上にあたしを乗せて、白馬の尻を強く打ちました。  遠く、遠くへ武器屋のおじちゃんが離れていきます。  おじちゃん、  おじちゃんが全て仕組んだ事なのかしら? そう思うとなんか、ちょっとだけ笑えてきます。  必死にしがみ付いた先に乱戦の国境、そしてその先に見えたの。 『イクサ』の兵士さんを守って戦う『ルキお姉さま』が! 「『ノノちゃん』。な、なんで」  白馬に乗ったまま泣きそうなお姉さまの肩を抱き答えました。 「ノノ、解ったんです。ノノの成すべきことが」 「『ノノちゃん』、本当に助からないのよ? 『ノノちゃん』が伝説の勇者でも、この戦い、『マルサ』の王子には絶対勝てない!」 「は~っ? オマエ帰ってきたのか? なぁ~んだ、バカやって逃がしたかと思ったよ。逃げてなかったというなら、それは素晴らしい事だ。ぼろぼろになるまで『マルサ』の民に打たれるといい。膨れ上がるほど叩かれ、その最期、我が手による裁きを受けるがいい」 「よく言うわ、兵を身代わりにするしか能がないくせに」 「黙れ! 『マルサ』の民全軍に告ぐ。あの小娘を討ち取れ! あの小娘こそ、この地へ災いをもたらした者ぞ!」  一斉に剣持つ兵、槍構える兵が迫る。その更に奥から恐ろしい数の騎馬兵が駆けてきます。 「お姉さま。これが『イクサ』に伝わる『始まりと終わりの杖』なんだよね」  お姉さまは諦めませんでした。如何にあたしを守るか? それを考えて動き、『イクサ』の兵隊さんへ指示を出していました。  そしてあたしの声におもむろに頷きました。 「これは概念を実現させる兵器なんだよ、きっと。持ち手である『国枝ノノ』の概念を成就させる兵器なの」 「『ノノちゃん』、いったい何を言って」 『マルサ』兵と斬り結ぶ『ルキお姉さま』を馬上から見下ろしあたしは声を響かせます。 「全てを守る盾。『イクサ』の民全てを守り祝福する盾よ! この地へ出でよ!」  戦場の中央に巨大なお鍋の蓋が現れ『マルサ』兵の武器という武器がそのお鍋に吸い込まれていく。 「な、何をした小娘! 何をしようと我が『加護』を砕けぬ限り、我ら『マルサ』の勝ちは揺るがぬぞ!」  あたしは武器屋のおっちゃんから貰ったミシュリルの短剣を掲げ言いました。 「そして、このミシュリルへ宿れ! 『マルサ』の民に掛けられた『呪い』それ自体をも打ち壊すチカラを!」 『ぴりからステッキ』が輝く。白馬の手綱を強く、強く引きました。必死につかまり『マルサ』の王子へ向かって突き進みます。 「邪魔するやつ、タベル」 「ウガアアアアアア!」 『MI・CHI・TSU・KU・RU!』  頭おかしな子が、イノくんが、愉快な子供たちがあたしの為に道を作ってくれました。  最初で最後のミシュリルを強く突き出す。くすぶるように煙巻くソレが王子に張られた幾万という見えない膜を打ち砕いていく。 「――僕に届いた? だと!」  そして王子の胸から大量の赤が吹き出した。凄まじい赤の噴出の終わり、果てるようにそこへ残っていたのは、  ――捻れた角生やす異形の化け物その亡骸でした。  ※※※  それから、色々な事がありました。 『マルサ』を治めていたのが悪魔の使いで、その繋がりをしていたもの全てが異形の悪魔で、各地、というか全世界が混乱に陥っています。  ノノは今その悪魔・化け物を退治する為『ルキお姉さま』と世界中を旅しています。その脇にはもとのスライムに戻った『フォーチュン』も居ます。  結局、国枝の家から持ち出した武器はまだ使っていないのだけど、お兄ちゃんが『ゲームの世界』から持ち帰った光る剣『エクスなんたら』という武器、あれは本物なのでしょうか? もし、もしまた出逢えることがあったら教えてください。 「お姉さま! 次は北の大国『シベア』の化け物退治ですね! ひ、冷えるといけませんから身を寄せていきましょう」 「……ピィ、」 「わ、解ってます! ふ、不純な気持ちもありませんて! だからほら、『フォーチュン』もおいで♡」  異世界の地と空は、今ではあたしの故郷となっています。  遠く、遠くに居るお兄ちゃん、お姉ちゃん、  ノノは少しも後悔していません。身の回りの事や、国の事、お姉さまとの事、全て全てが大変だけれど、 『ルキお姉さま』と一緒のこの今を、とても幸せに想い生きています。  だから、またいつか必ずお会いしましょう。  大好きなみんなへ。 『ぴりから』の加護受けし国『イクサ』の王『ノノ・サンダルフォン』より。  終わり。

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