私の行く先々で事件が起こる件について

遊戯室

3章 遊戯室  「さーて、いい事した後だし、何かして遊ぼうかなー ・・・まてよ? そういえば」 ピッ アリサは携帯でママに電話する。 「あれ? でない? まだシャワーかな? まあ留守電に入れておこう」 ピーーーー 留守番電話の発信音が鳴った。 「もしもし? アリサだけど ユッキーは探してはいけないよいいね絶対よ?」 ピッ ユッキーが想像以上に危険な存在と分かったので それをシャワー後に探そうと言っていたママに 危険だと知らせる母親思いのアリサ。 しかし、この説明があまりないメッセージで 素直に信じてくれるであろうか? 少し心配である。 「ちょっと不安だけど一旦あそぼっと」 先程あれだけの激闘を制した後だと言うのに 左程疲れていない様だ。これも若さ故であろう。 辺りを見回し、あるものを発見する。 「あっ! あれかっこいい」  アリサは、ビリヤードの台を発見。 早速台に近づき、挑戦しようとキューを構える ・・が届かない・・高さが足りないのだ。 低身長のせいで挑戦権すら絶たれてしまう。 でも、もしここでアリサがビリャードを プレイ出来てしまったなら、アリサはこれにのめり込み この数時間で、プロ級の腕を取得してしまい スーパーハスラーアリサにタイトルが変わってしまう為 これはこれで良かったのかもしれない。 アリサは集中力や学習能力が凄まじい娘なのだ。 しかし、この事件で遊園地でジェットコースターにも この身長のせいで乗る事が出来なかったのを思い出す。 「何をするにも身長か・・ふん、つまらない世の中ね」 すると声を掛けられる。 「残念ね。ちょっとお嬢ちゃんには届かないかもね。 小さいから無理しちゃだめよ。成長してからね」 警備員の格好をした女性だった。 「くそー、後5センチいや・・3センチでいいのに・・」 負け惜しみを言うアリサ。 「私は、三輪(みわ)真理(まり)まり 警備員よ。 並び替えると見廻りになるのよ。覚えやすいでしょ?」 胸に名札が付いているが それを指差しながら誇らしげに語る真理。 ショートカットで黒髪の可愛らしい女性だ。 金のピアスを着けている。 「はいっ! 4文字と短いし、お姉さんの解説もあって イメージも固まりましたので、一瞬で覚えました! まるで警備員になる為に生まれて来た様な名前ですね。  私はアリサです! でも小さいは余計だと思います!」 身長のせいで、ビリヤードが出来なかった事を すっかり忘れ元気一杯に返すアリサ。  「アリサちゃんていうの? おぼえたからね?」 どこからともなく聞こえる不思議な声。 しかし、誰にも聞こえない。 「ふふふ、アリサちゃんって言うのね? 凄く元気ねぇ。  その元気、オラにも可能な限り分けて欲しいな・・」 ふと視線を落とし、ため息をつく真理。 「まりちゃん、何かあったの? 急にドラゴンキューブの孫 悟ウハエが 元気珠使う時に、地球上の皆に言いそうな事言って・・  あ、元気珠で思い出したけど、悟ウハエの元気珠って 一見、相手の許可を取っている様で 全くそんな事は無くって 無許可で一方的に元気を吸い取って来るよね。 「分けてくれっ」 とは口ばかりで、返事は待たずに両腕を天に(かざ)して 元気を吸い取るモードになるからね、あの人。 だから、突然町の人々が急にやる気を無くす現象が 各地で起こる訳よね。  例えば、これから好きな子に 告白するぞって若者がいてその瞬間 悟ウハエに元気を持っていかれたら、その気力が消え 一つのカップルが生まれなくなり やがてそのカップル結婚したとしたら 生まれてくる筈の命も無くなる事になるわ。すうー  他にも、夢を実現する為に 新しいアイデアを閃こうとした瞬間に元気を取られれば そのアイデアも消え、平凡な日常を過ごす事になる。 まあ、世界の危機を救う為だししょうがないけれど。  元気な人からならまだ良いとしても。 病気で寝ている人とか、怪我人もいるかもしれないし  元々元気の少ないお爺ちゃんお婆ちゃんとかの 元気も取っちゃうんだよね? 中にはすっころんで  丁度残り体力の人だっているかもしれない。 世界中で同時に同じ事が起こっているかもしれない。  そんな人達の元気も強制的に取って、最悪死んだら  悟ウハエは無差別大量殺人犯だよね? すうー」 唐突にアリサが語りだした。 「え? ア、アリサちゃん?  あなた突然一体何を言ってるの? しかし、悟ウハエって言いにくいわね!  でもアリサちゃん思い出して? 元気珠は確か 悟ウハエが全世界の人に怪王様の力で語りかけて 事前に許可を取っている筈よ?  そして、元気提供オッケーなら両手を天にかざす。 その人達だけから元気を分けて貰う筈だから 無差別殺人にはならないと思うわよ ていうか、あなた一息でどれだけ喋るのよ・・ モンスター? 小さいモンスターなの?」 アリサは小さい体に似合わず肺が強い。 私も、アリサが息継ぎしたポイントまで 喋る事が出来るか挑戦してみたが、後一歩及ばずだった。 語り部失格である・・若さには勝てないという事だろう。 「あっ! そういえばそんな設定あったかも・・・」 しばし考え、何かを思いつく。 「ううん、やっぱり無差別殺人よ? まりちゃんこそ よく考えてみて? 悟ウハエは日本語で語りかけてる。 だから、日本語を理解していない多くの海外の方々の中で 爆睡しちゃって両手を上げたままの状態の 寝相で固まっていれば、その人は元気を取られる訳よ。 他にも、海外でも選挙ってあるよね?  当選発表が行われていた時に、当選した候補者が万歳して 喜んだ瞬間に元気を吸い取るモードだとしたら 候補者の元気は無断で取られる事になる。 他にも、団体競技で波ってあるよね?  人が一列に並び、順番に両手を挙げ波を形作るあれよ。 それをやった人達も手を上げたポイントで 元気は吸い取られていくのよ。 これが若い人ならまだしも高齢の方がその状態だったら やはり命を落とす危険性はあるわよ? 世界は広いのよ。 そういう状態の人が0とは言い切れないと思うのよね」  アリサは間違っていたと思いつつも、咄嗟に 視野を世界に広げ尤もらしい言い訳をしてしまう。 そう、アリサは論破される事が 何よりも嫌いなのだ。だから言い訳も得意だし 論点をずらし相手を言い負かす手法を幾つも持っている。 「な、成程ね、そう言われればそうよね・・」 アリサの迫力に納得してしまった真理。  「後モンスターじゃないよ? まりちゃんよく見てよ? こんな天使みたいなモンスターはこの世にいないわ。 それに小さいは余計よ? 傷つくからやめてね。 ちょっと元気珠発動における 地球人の気力低下が及ぼす日常生活に起こり得る 被害をシミュレートしていたまでよ。気にしないで。 それで、どうしてそんなに落ち込んでるの?」 下から真理の顔を覗き込むように聞く。 「私ね、今月いっぱいでクビになっちゃうのよね。 以前、ここで食中毒があって・・  それ以来お客さんが少なくなってね・・ 新聞でも取り上げられたのよ。きっとそのせいよ。 テレビでは放送されなかったのに 浅利新聞だけは このホテルの事件を記事にしたのよ。 私に落ち度はないと思うし だって仕事は真面目にやっているし まあ、毎日遅刻しちゃうけどね。てへへっ」 ・・最後の一言で台無しである。 やっとまともな人が出てきたと思ったら 毎日遅刻していて、自分に落ち度が無いと言う 肝の据わった女性だった。 「え? 毎日って? それはやばいと思うわよ。 まりちゃんにも落ち度があるんじゃない?  まりちゃん何か事情があるの?」 隙あらば首を突っ込むアリサ。 「うーん、そう言えば、最近仕事終わって家に帰ると 急に眠くなっちゃうのよねー。仕事終わるのが 3交代制だから朝の時もあれば夜の時もあるのよ。 でも家に着いたらすぐに寝落ちして、2時間位寝て 中途半端な時間で起きちゃうのよ。 それからずっと眠くならないで起きたままなの。 仕方ないしずっとファミコンやって時間潰すのよ。 それで、いざ出勤時間になると眠っちゃって・・ 時計見たら・・・ぎゃーって感じよ・・ 目覚ましもあんまり効果ないわね。 だから、今日も1時間くらい遅刻したのよ。 オーナーもものすごい顔で怒っていたわ。 怒ると怖いのよあの人。ふぁ~ 眠いわ」 大欠伸をする真理。 「あのオーナーでしょ? あいつは優しい顔でも 怖いよ? 私達がここに来た時に 丁度出迎えてくれたけどその時 一見笑っていた様に見えたけれど 目は笑ってなかった。 笑顔も ママと喧嘩した時に見せた心配そうな顔も どの表情も恐ろしかったよ?  しかも、巻き○そみたいな姿で汚かったし 巻き○そみたいな臭いもした。しかも インパクトありすぎて寝ようとしたら あの顔が目を閉じた時に浮かび上がってきたんだよ。 それで、眠れなくなって飛び起きて お外にお出かけしたのよ。本当はちょっと お休みしたかったのに・・思い出すだけで腹が立つわ」 「そう? 私はそこまで思わないけど。 子供には強烈なのかしらね?」 「そうなのかな? 大人になってもあいつの顔は 慣れそうにないわね。それでまりちゃんは 寝られないからファミマコンピュウターかあ いいなあー私は10時には寝ないといけないから 夜更かしは出来ないの。一人暮らしの特権って奴かな?」 「そうね。彼氏ほしいけど一人も気楽でいいわ。 好きなゲームを好きな時にだもん。 中々抜け出せなくなるわよ」 「うんうんコントローラーの取り合いになるもんね。 彼氏とかいたら。私も、ファミコン友達の家で ちょっとやった事あるけどあれって セーブ機能がないから大変でしょ?  クリアするまで眠れなかったもん」 「そうなのよ。あるにはあるんだけど面倒なの 例えばね、RPGでもふっかつのじゅもんとかいって パスワードみたいな物をセーブしてくれる おじさんが教えてくれるの 記録をロードする時、タイトル画面で それを一文字たりとも間違わずに入力しないとだめなの。 初めは短いけど、後半になると50文字位になって大変よ。 「ふーん面倒そうね。 今は携帯でぱぱっと撮影出来るからいいけど 発売当時の子供たちはノートとかに メモっていたんだよねー よっぽど面白いゲームじゃないとやる気になれないわね。 ところでまりちゃんは 普段は仕事に行くどれ位前に寝るの?」 「うーん、6時間前位ね。でも、最近は 帰ってすぐに眠くなるのよね。 7月に入ってからこうなり始めたのよね。 前はこんなんじゃなかったのにな 何かの病気じゃないかしら? ちょっと心配で・・」 「うーん・・」 アリサは左手の人差し指を、眉間に当てて考える。 アリサはこうすると集中出来る様だ。そして思いついた。 「目の病気の危険性があるかもしれないよ。  休みの日に眼科に行って、診て貰った方が良いと思う」 「え? アリサちゃん何か分かるの? ううん、なんとなく身に覚えあるなあ まあいいわ信じてみる。アドバイスありがとう」 「どういたしまして。早期治療がカギだからね? そういえば、ホテルの食中毒 さっき会った元ホテル関係者も言ってたけど 確か新聞記者が被害者で、実体験を記事にしたらしいよ」 「そういう事か。それは書かれても仕方ないわよね・・ まあ、残り少ないけど警備員としての仕事は しっかり最後までやるつもりよ。 さて、別の所も見回ってくるわ。今日の夕食も 会場をしっかり見回るからね。また会いましょう」 「じゃあね。まりちゃん!」 真理は遊戯室を後にする。

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