雪と世界と「もの」と俺と

読了目安時間:1分

反射光

 低温。  なのは、雪なのか。それとも別の何かなのか。  何か低温のものがここを冬にし、雪原にして、何かを保っているのか、そもそも雪が雪としてそこにあり、それそのものによってここが冬なのか、それともここは冬でもなんでもなくただ雪があるという事実があるだけにすぎないのか。  考えてもわかることではない。危険領域にいつしか俺は足を踏み入れるようになっていた。  考えてはいけないのはわかっている。  寒さによって感覚が麻痺してきているのか、思考によって受けるダメージがやや低減してきているのは事実であり、それによって思考の回りがよくなっているのも事実だ。  考えたところでわかるわけではないし、それなら考えなくても、とは思うのだが、いかんせんここは雪に閉ざされており暇なので思考してしまう。  最近は危険物も掘り出されてこないし。  いや。  俺が危険物を危険物だと認識できなくなってきているのかもしれないが。  掘り出されるものの一部の危険性が低減しているのか、俺の認識力が低減しているのか、どちらかわからない。  どちらでもいいのかも。  そんなことはない、決してない。どちらでもいいなどということがあっていいはずはない。雪は雪、危険物は危険物、そう決まっていて、ここは永遠にそのままで――  融けてきている。  それはそう。  ここはこのままではいられない。  それもそう。  何かが起ころうとしている、または、新たな膠着状態が生じようとしている。  それがどんなものなのかはわからないが。  ため息をつく。  白い。  何もかもが白い、いや、ここは、灰色だったはず。  なぜ白い?  光。  眩しい。  なぜ?  考えてもわからない、目が痛い。  彩度が上がっている。  明らかな異常。  何かが起ころうと。  何が?  わからないまま異変だけが進行していくのを止められずに俺はただ見ていた。

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