おかしなこと

 子育て一日目。名前を付けた。羅蔵(らぞう) 。こいつの名前。近くに落ちてた本、羅生門と蔵、から取った。我ながら安直な名前だ。  二日目。とりあえず飯を買いに行った。赤ん坊が食べるものって何だ? 牛乳? 粥? 分からなくて店員に聞いた。それらしいものが買えたから良かった。  三日目。服を買いに行った。さすがに素っ裸はマズイだろ。  四日目。あたしの名前を覚えた。「まーや、まーや」と舌っ足らずな感じだ。  五日目。気のせいか、羅蔵がデカくなった。子供の成長は早いな。  六日目。羅蔵の背中に付いてた何かが開いた。翼だった。黒い、鳥みたいな翼。触るとサラサラしていて、素直に綺麗だと思う。  七日目。特に変わったことはない。  八日目。勉強させてみた。こいつは頭がいい。悪いあたしが言うのも何だが、吸収力が良く、教え甲斐がある。  九日目。一緒に買い物に行った。あたしは評判が悪い。巷ではあっという間に噂が広がった。隠し子がいる、ということ。この時、羅蔵の肌は普通の人間と同じ肌色で、普通の人間でいう十二歳位の見た目をしていた。  ……感覚が麻痺してる。子供の成長がこんな早い筈がない。分かってるのに、むしろこの状況が楽しい。もっともっと何かが起きてほしいと思ってしまう程に。  そんなあたしの頭のほんの隅の方でやっぱりおかしいんじゃないかと思うこともあったようで、あたしの足は勝手に闇市へ向かっていた。  ――闇市。  そもそも闇市とは何なのか。闇市とは、あたしが若い頃にネットで見つけたコミュニティだ。【人生に潤いが欲しい方、人生を面白おかしくしたい方、人生に疲れた方は大歓迎!】それが闇市の売り文句だった。管理者は不明。性別、年齢、住所は勿論謎に包まれた人物だ。  だけどそんなことを気にする奴はいなかった。そもそもそんな誰もが怪しいと思う探せばどこにでもありそうなコミュニティの管理者。気にする方がどうかしてる。  闇市ではチャットが主だった活動で、強いて言うなら愚痴零し場だった。  書き込めば管理者がその愚痴に対して面白おかしく返答するといった内容のコミュニティ。このコミュニティの売り文句は前者二つには当てはまると思う。ポジティブに生きたい奴等が参加するような内容だと思う。  だけど最後【人生に疲れた】これに対しては納得いかない。矛盾してるだろ。それに当てはまるのがイベントだ。あたしが久々に参加したイベント。今回みたいにおかしな内容ばかりらしいが、優勝賞品が今回は飛びぬけておかしかったと思う。

コメント

もっと見る

コメント投稿

スタンプ投稿


読者のおすすめ作品

もっと見る

  • 魔女イッリの旅隠居録 〜この人類史に残る戦争を止めなければならない〜

    世界がどうあれ、三人は仲良し。挿絵多数!

    614,100

    4,260


    2021年4月20日更新

    ◆作品紹介 小さい頃から傭兵として生きてきた少女エリッカ。 筋力や反射神経が魔族並みになっている代わりに、人間らしさを失いつつある魔心病のフィルヴァニーナ。 魔心病を広めたとして魔女と呼ばれ、追われる身となり、旅をしながら隠れるように生きるイッリ。 魔族、機械、銃。そして人間が築き上げた社会。彼女達は、激動する世界に巻き込まれながらも、次第に世界へ影響力を持つようになっていきます。 彼女達は、悲しい過去を持ちつつも強く生きます。尊く、強く、そして可愛い三人の少女のハイファンタジー小説です。 お互いの過去が過去だけに、複雑な思いを抱きつつも、世界に関係なく、きっと彼女達はずっと友達であり、大切な人なのであろう。そんな物語です。 ◆挿絵イラストレーター 高架 pixiv:https://www.pixiv.net/users/2031328 twitter:https://twitter.com/kouka_oekaki ◆作者コメント 小さい頃からファンタジーが大好きで、よく色々な世界を想像していました。この世界の構想自体はかなり昔から作っています。 AIに携わる仕事を通して感じたことなどを作品に盛り込んでいます。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:16時間23分

    この作品を読む

  • マリー・ウィンゲートのおてんばライフ

    日常系恋愛ファンタジー……多分。

    65,100

    3,600


    2021年4月20日更新

    わたくしは、わたくしに生まれて良かったと思うわ。 わたくしで無いと、出会えなかった人、出会えなかった出来事が沢山あるのですもの。 生まれたときが、マイナスだからって何だというの。 生きているのでしょう? だったら、プラスに書き換えれば良いじゃない。 楽しみましょう。せっかく、ここにいるのだから。 あらすじ 『王妃候補のなり損ない、田舎に捨て置かれたご令嬢』の異名を持つマリー・ウィンゲート公爵令嬢。 片や『剣を振るわせれば、一振りで4~5人は斬り殺せる』という噂の剣豪指揮官エドマンド・マクファーレン辺境伯。 年の差は15歳。王妃様の命令で、報奨品としてエドマンドと婚約をすることになったマリー。 最初は、戸惑いつつも素朴で女性に対し不器用なエド様に惹かれ『いつか私が妻で良かったと思って頂けるように頑張るわ』という意気込みを見せるマリー。 そんなマリーをいつしか、切なく愛おしく想い包み込むように守りたいと思うエドマンド。 そんな中『お前、俺の女にならないか?』という大悪党があらわれる。 王妃様ですら、物事に素直に感謝できる心が愛しいと言われるマリーの、波乱万丈なおてんばライフ。 毎週火曜日 20時更新中。

    読了目安時間:4時間29分

    この作品を読む

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る

  • 死刑執行班・ユーラシア大陸支部

    人殺しが許された職業のお話です。

    7,400

    0


    2021年4月20日更新

    この世界で唯一、人殺しが許された職業。 死刑執行人。 世界に3つしかない死刑執行班。俺はそのユーラシア大陸支部に勤めている。 犯罪に対する法律に革命が起き、1人殺した瞬間に即死刑。そして、死刑囚は被害者と同じ殺され方で人生の幕を閉じなければならないという法律が新しく制定された。これはその死刑囚を殺し、世を平和にするために人を殺す職に就く1人の男の話。 掃除屋────それは、大陸を震撼させている犯罪組織の呼び名だ。突如として活動を始めた組織、そしてもう一つの謎のグループ。死刑執行班は、正しき者のみを地獄に送ることを命じられ、三つ巴の戦争を始める。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:7時間4分

    この作品を読む

  • 掛詞《カケコトバ》シリーズ

    青春は、引っ掛かりの連続だ。

    4,500

    0


    2021年4月20日更新

    かけことば【掛詞・懸詞】 修辞法の一つ。一つの言葉に二つ以上の意味を持たせたもの。 「逢(あ)ふことは雲居はるかになる神の音にききつつ」 高校2年生の少年・結城衛(ゆうき まもる)。 彼の住む町では、様々な呪いを宿した文字を体に刻まれる、『掛詞《カケコトバ》』という怪奇現象が密かに広がり始めていた。 ある日衛は、ひょんな事から『ノロイ』の掛詞を掛けられた少女・二ノ瀬準に行き会って……。 言葉が人を呪い、言葉が人を殺し、言葉が人を魅せる! 『言葉の真の意味を探る』、新感覚のオカルティック・ミステリー! ※当作品はカクヨムでも連載しています。内容は変わりません。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:57分

    この作品を読む