NEXCL 国際勇者試験奮闘記

問1

 問1  以下の状況に置かれたとして各々の選択肢に◯をつけなさい。  あなたの前にある仲介者がいました。  その仲介者はあなたにある人生計画を2つ持ち出しました。  1、小さなボランティアをする機会  2、平和指導者になる機会  この場合、あなたはどちらを選びますか? 「この問題は非常に初歩的な問題だ。10分以内に回答する様に」  この試験は事前の試験対策などは無い。  強いて言うなら各々の生き様そのものが試験対策でありこの問題、1つ1つに人間としての本性が現れる。  だからこそ、ただの◯×問題ではあるが慎重に選ぶべきなので回答時間が長く設けられている。  そんな配慮など考えもせず、1問目開始直後からたった2秒で◯をつける者がほぼ全員だった。  中にはこの問題に何の意味があるのか?と考える少しは思慮深い人間もいたが2分しない内に全員が回答を終えた。  麗華は無表情だったが怪訝な顔を取りながら10分待った。 「時間だ。では、正解といこう。正解は……」  すると、モニターに結果が映し出されていた。  そこには答えは1と書かれており正答率は0%と表示されていた。  それに対して複数の勇者が反論した。 「はぁ!ふざけるな!どう見ても2が正解だろうが!」 「お前頭がおかしいんじゃないか!」 「こんな回答絶対におかしい」  と言った瞬間、麗華は何処からとも無く取り出したチョークを3本取り出し3人の勇者の頭蓋骨に直撃した。  その衝撃で3人は後方に吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。 「誰が口答えしろと言った!お前達が気にいる事が試験の答えだと思うな!そんな甘えた考えだから、ここに呼ばれたと自覚しろ!」  麗華の一喝に勇者達を震え上がる。  麗華は何事もなかったようにモニターに対して指示棒を突き立てそれと共に画面が切り替わる。 「では、さっきの問題の意図を伝える。これはお前達の常識を問う問題だ。」  だが、勇者には言っている意味が分からず首を傾げた。  今の回答と常識に一体何の関係があるのか知る由もないからだ。 「こちらから質問しよう。お前達が会社の役員だとしてだ。同期に入社した新人社員を見てその2人がさっきの1と2をやったとして一体、どちらを部下にしてどちらをより信用する?少し考えればわかるのではないか?」  そう聞かれれば答えは2であるかも知れないと思う勇者も少なからず現れた。  小さなボランティア1つ満足にできないのに世界の命運を左右する平和指導者になって果たしてその者が信用されるのか?と言う問題だ。  信用されるはずがない。  小さな事も出来ないのに大きな事ができる訳がない。  これは社会人として当たり前過ぎる事だ。 「お前達の問題点はまず、そこだ。大きな事ばかりに目を向けて、小さな事を蔑ろにする。そのような慢心を抱く者はいつか、大きな過ちを犯す。そのような行動を取る者が世界の平和を訴えたところで誰も信用されないのはおろか、必ず失敗する。何故なら、大きな事は小さな事の積み重ねだ。小さなところにすら目が配れないのに何故、世界平和などと言う大それた事ができる。これが慢心でなくてなんと言うのだ」  それで納得する勇者も少なからずいたが頑なに麗華の意見を認めない勇者の中にはいた。 「だが、俺はみんなから!国際社会から信用を得ている!その問題の答えが絶対の真理のように言わないで貰いたい」  すると、麗華は鬼のような形相に変わりながらまた、チョークを取り出し勇者の頭部に命中させ後方に吹き飛ばした。 「国際社会に認められている?みんなが認めている?だから、どうした?数に物を言わせれば倫理を無視できるとでも言うのか?もし、今のお前が本気で社会から信用を得ていると考えているならそんなのはただの周りの者に甘やかされているだけだ。そのような気持ちで甘えながらぬるま湯に浸かるなら勇者なんぞ、やめてしまえ」  麗華は怜悧で鋭い眼光で壁に叩きつけられた勇者を睨みつけ辛辣な言葉を浴びせる。  実際、彼らは非常に悪辣な存在だ。  善人のふりをしているが実際は世界の事など何一つ考えておらず、人の命にも関心はなく、ただ自分のエゴと地位、自己満足の為に正義に酔いしれ、溺心して普通の事すら満足に行えず無闇やたらに勇者と正義の名で世界を混沌に導く存在だ。  それを周りの人間も同調するのだから、尚を事タチが悪い。 「お前達の主張はこの講習を終わったらいくらでも聴いてやる。今はさっさと立て。これから第2問目を行う。」  そう、この講習はまだ、始まったばかりなのだ。

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