NEXCL 国際勇者試験奮闘記

問3

問3  以下の場合を想定して記述せよ。  あなたがある財閥のCEOだと仮定しそのCEOは今のあなたと同様の立場(勇者)である。  あなたは普段通りに敵対組織と戦闘を行いました。  そして、街には被害などが発生しました。  ここから3つの選択肢を選ぶそこから予測される今後の敵の行動を推移せよ。  1 あなたは財閥系列の建築関連や保険関連の子会社に力を入れて復興に注力する。  2 敵対勢力に備えて軍備を増強する  3 協力者の募る  いずれかを選ぶそこから推移されるリスクやメリットなどを推移せよ。 「念の為に言っておくがこの試験の試験官であるわたしが何を求めているのか今までの問題の中に隠されている。その意図を正しく読み取り、よく考える事だ。時間は30分だ。始め!」  各々がそれぞれの選択肢を選んだ。  多くの者は今までの麗華の言動などから彼女が勇者を嫌っているのではないか?と考え勇者に武力を持たせるような回答はナンセンスだと考えて2の選択肢を避けた回答を行い、そこから予測できるリスクとメリットを書き出していく。  中でも多かったのは3の回答であり「仲間がいれば、協力体制が築きやすい」とか「自分が持っていない能力を補える」とか「部隊間での連携などが多彩になる」とかリスクは考えずメリットにばかり目がいった回答が多かった。 「時間切れだ。手を止めろ。恐らく、全員答えが気になるだろう。ならば、先に結論から言ってやる。この問題はどの選択肢を取っても決して間違ってはいない」  それには大半の勇者が意外そうな顔で麗華を見つめる。  麗華がアンチブレイバーニズムを掲げる主義者か何かと思っていた勇者にとっては麗華が遠回しとは言え「2でも間違っていない」と言っているのが意外だったからだ。  彼らの予想する麗華は勇者を徹底的にヘイトする存在、そのように考えていたからだ。 「この問題の本質はな。如何なる選択をしても“責任”を持てるのか?と言う事だ。」  一瞬、その言葉に全員が理解し切れておらず首を傾げた。 「分からんか?お前達が人生においてどれを選択したのかが重要なのではない。問題はその選択肢に対して“責任”を持ち如何なるメリットもデメリットも含めて責任を負う覚悟があるのか問うている。」  麗華は指示某を取り出し勇者の1人の回答をモニターに映す。  そこには1が選択されており「復興に関連するところに力を入れれば、人々の幸せを取り戻せる」と勇者にとって模範的な回答をしていた。 「中々、模範的な回答だが、ここにはデメリットが何も書かれていない。これを書いたのは21番だな。何故、このように回答をしたのか?答えろ」 「えぇ?だって復興に力を注げば家は元通りになるし復興が速ければ犯罪率も減らせますよね」 「ほう、そこまで考えたか。確かにその意見は正しいな」  麗華に褒められた21番こと肩パット勇者は照れくさそうに頭を抱える。  だが、そこに麗華は水を差すように言い放つ。 「だが、惜しいと言うだけだ。これでは自分がやっている行いが恰も全て善であり他人を顧みない、配慮しない人間と思われても仕方がないな」  その言葉で肩パット勇者は冷え切ったような震えた事で尋ねた。 「ど、どういう事ですか?」 「良いか?どんな行動にもメリットはデメリットも潜んでいる。お前の回答ではメリットばかりでデメリットによって発生するに他人に対する配慮がまるで為されていない。この問題にも書いたが“リスク”を記述せよとはその行動に対してどれだけ“自覚”があるのかを見ているのだ。強いて言うなら“己の罪に対してどの程度認知しているか?”と言う事だ」  その言葉に勇者達の顔色が険しくなった。  まるで自分達が罪人のように扱われているのが癪に障るからだ。  だが、麗華に強気に出ても意味がなく、口も上手く、更に正論過ぎて3枚近く上手を言っていたから誰も反論しなかった。 「この1の回答だが、実際にあった事件で説明しよう。ある街で勇者が敵と戦い街に被害が起きた。そこで勇者はCEOとして国からの復興の仕事を受注し建築や保険に力を入れた。それだけなら良い。だが、これに目をつけた敵は勇者が復興支援を出す前と後で株価が大きく変動する事を掴んだ。その株価の下がりと上がりを利用して戦闘前に株を買い、敵は無人機で街を攻撃させ勇者に迎撃させ、復興費で株価が上がったらそれを売却する事で敵対組織の資金力を無限に高める構図を造り上げ金に目が眩んだ敵は貪欲のままに「もっと金を、もっと戦闘を、もっと金を……」と貪欲のままに欲望を加速させ最後には歯止めが効かなくなり核攻撃により世界を滅亡した。これだけ言えば何が言いたいのか理解できたのではないか?」  どんなに言い訳しようとこれは勇者が自分の罪と言う名の正義感で自らの選択で選んだ行動に対する原因と結果と言う事だと理解するのにそう時間はかからなかった。  つまり、勇者達の“自覚”が足りなければその“罪”故に敵に良いように操られ、良いように利用され、勇者の匙加減1つで世界を滅ぼしてしまうと言う“自覚”“責任”“覚悟”を問う問題。それが第3問目の問題の意図だった。  だが、自分がまるで悪のように罪人のように言われたような口ぶりに反駁する勇者も多かった。 「ふざけるな!オレ達はそんな過ちはしない!」 「そんな勇者と一緒にするな!」 「オレはそんな勇者とは違う!」  だが、そんな身勝手な言動に麗華は教卓を強く叩き怒鳴った。 「この大馬鹿者どもが!」  それと共に一斉にチョークで攻撃した。 「出来ていないから説明しているんだろうが!この失敗をした勇者もお前達と同じ事を言って失敗したわ!自分だけが特別だと思い上がり自惚れるな!この恥さらしが!」  それには一部の勇者達もようやく、理解を示し始めた。  確かに今まで言われた事は自分達は何1つ出来ておらず勇者を名乗るならできて当たり前で寧ろ、こうして口頭で注意してくれるだけありがたいのではないか?と思い始めた。 だが、それが理解できない大多数の勇者達が遂に反旗を翻した。 「もう我慢ならない!みんな、こんな悪党の言葉に耳を貸す必要はない!オレ達はオレ達の正義を行うべきだ!」 「そうだ!正義は人の数だけあるんだ!それを侵害し認めないなんておかしい!」 「人類の希望と未来を守る為に稲葉麗華!貴様と言う悪をオレは……いや、オレ達は討つ!」  ほぼ全ての勇者が席を立ちあがり麗華に構えた。 「それは、宣戦布告と受け取るぞ」 「「「最初からそのつもりだ!」」」 「……そうか、愚かな選択をしたな」  麗華は憤るような、哀れむような表情を浮かべながら床を右足で強く蹴った。  すると、教室がガラリと変わりそこは大理石で出来たローマの闘技場のようなところに変わっており、勇者がそれぞれの世界に置いてきた機動兵器やこの空間に入った際に押収した異世界の最強の武器などが勇者達の手に戻っていた。 「ならば、お前達の自尊心もろ共、ここで打ち砕いてやる!」  麗華の背後にはまるで刀剣をモチーフにしたような人型機動兵器が現れ麗華はそのまま跳躍しコックピットに搭乗した。 「さぁ、講習(しょけい)を始めようか!」

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