【短編版】秋田へようこそ、探偵エルフさん!【日常の謎】

読了目安時間:3分

<番外編・夏> NOT一国一城 秋田・三城の謎を追え!【後編】

 窓を開けて、換気した。秋の風に変わりつつある今日この頃である。  お、少し冷静になってきた。  さて、調査再開だ。  江戸の秋田県は各藩に分かれる。 ・久保田藩<現在の秋田県の大半を占める> ・岩城(いわき)亀田(かめだ)藩<由利本荘市岩城亀田亀田町> ・矢島(やしま)藩<由利本荘市矢島町> ・本荘(ほんじょう)藩<由利本荘市尾崎> ・仁賀保(にかほ)藩<にかほ市> ・南部藩<鹿角(かづの)方面を一部含む> ※南部(なんぶ)藩は岩手県中部~青森県東部。  この藩たち、知らなかった。あ、地元の歴史に疎いということか。  嬉しくなった直後に、渋い顔に私はなった。  レナは棒だけになっても、エア棒飴をくわえて笑う。 「知らなかったのは、仕方ないさ。ちょうど良い機会になったね。たぶん、久保田藩の成立を調べれば、色々わかると思うんだ」 「んだなー」  私は開き直った。そして、レナの調査に付き合う。  関ヶ原の戦い後、全国は各藩になった。  その過程で、親藩(しんぱん)譜代(ふだい)大名、外様(とざま)大名と、配置換えが多くあった。  反乱を起きにくくするための、江戸幕府の工作だ。  さて久保田藩が出来て、領主が秋田(あきた)氏→佐竹(さたけ)氏に替わる。  新領主様、万歳となるわけない。この久保田藩の土地は、農民が大多数であった。旧領主に忠誠深く、農民一揆(いっき)が大発生した。  一国一城令で各地域の各城を再編する最中、一揆が起きている。それで、軍事拠点として城が必要なのだ。  結局、久保田藩の広大な領地には、3つの城を置き、さらに陣屋(じんや)(がまえ)(やかた)を備えた。  久保田(くぼた)城 本城<秋田市>……佐竹宗家  大館(おおだて)城 支城<大館市>……佐竹西家  横手(よこて)城 支城<横手市>  各(やかた):城を持つより石高が少ない場合の政庁兼住居。  院内(いんない)  檜山(ひやま)  湯沢(ゆざわ)……佐竹南家  十二所(じゅうにしょ)  角館(かくのだて)……佐竹北家→現21代目当主が、秋田県知事の佐竹(さたけ)敬久(のりひさ)氏。  佐竹知事(我らの殿)もそうだが、角館は秋田が誇る四季折々の観光名所である。私は思わず叫んでいた。  一方、レナは淡々と話す。この辺が都会っ子の性だ。 「あ、桜の名所、角館の武家屋敷!」 「対一揆のための軍事拠点だったみたいだな。それも江戸の泰平期が続くと、交通要衝(ようしょう)と変わって行く。大館城を例にすれば、津軽(弘前)藩への途上の城下町になるわけだ。北・中央・南の文化は、このように交流して出来て行った」 「なるほど、軍事拠点は交通要衝へ変わっだ訳な」  交通要衝、と秋田県民の私が晴れ晴れした顔で言うと、レナは意地悪な顔で笑った。 「東京から最も行きにくい県と言われていないかね、秋田県?」 「んなごどねぇ! ……ん、あれ、交通の便……は良ぐねぇがなぁ」  レナの意地悪な発言に、反射的に怒ったけど、私はよくよく交通の便を考えてみた。  まず空の便 ・秋田空港 ・大館(おおだて)能代(のしろ)空港←大館にも能代にもない、北秋田(きたあきた)市にある。  空港の立地上、青森空港にお世話になることも多々ある。  私の顔が白くなっていく。  レナは「鉄道はどう?」と聞く。まさに泣きっ面に蜂である。  東北新幹線 ・秋田市止まり ・もしくは、新青森駅  かいしんのいちげき。  ソナタ()は吐血した。  レナは「道路はどう?」と、逆に申し訳なさそうな顔をして聞いた。  秋田道 ・高速道路というより、有料自動車道だった気がする。  この交通網じゃあ、秋田県は、陸の孤島じゃないか!  ソナタ()は気絶した。  レナは復活の呪文を唱えた。 「だけど、そのおかげで、秋田はミステリアスだ。日常の謎がたくさん転がっている。興味深い。最も秋田美人なソナタ君は可愛い(めんこい)ぞ」 「うんうん、ありがとな。ん……レナの中で流行っているの?」 「何がだ?」 「私への告白だよ!」  秋田県の北、ヤナギ家の下。  私とレナは身体を小動物のように震わせ、顔を真っ赤にして目と目を見つめ合った。  目を先に逸らすと負けのような気がしたのだ。 <捜査ファイル~秋田・夏編~ おわり>

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