【短編版】秋田へようこそ、探偵エルフさん!【日常の謎】

読了目安時間:3分

< 注意書き > この作品では ・創作キャラクターによる 秋田県に対する偏見が見られます。 ・作中に事実とは異なる点があるかもしれません。 ・日常ミステリーのため、殺人などの程度の重い事件は発生しません。 すべて秋田を楽しんでくださいの気持ちです。 おもてなし精神です。 以上の注意書きをご理解いただき、捜査にご協力くださいませ。 1エピソードの構成は【事件編】【推理編】【解決編】の3話構成です。 ※違うこともあります。 皆さん、秋田へようこそ!

<夏編1> 酷暑あきたネバトロうどんの謎を追え!【事件編】

 都会のアスファルトジャングルな夏を知らない私にとって、秋田の蒸し暑い夏は酷いものだと思う。  もちろん、四季ある日本の雪国にも夏はある。  そもそも日照率が低く白肌な秋田県民にとって、ジリジリと焼き付ける真夏の光線は、あいつ半端無いって、である。  後ろ向きから日光めっちゃ刺すもん。  そんなの出来ないじゃん、普通。そんなの出来る? 出来るんだったら、言っておいてよ。  今回は酷暑の食欲ないときの秋田の元気食なお話。  さてさて、日常ミステリーな事件が始まるよ。 ††††††††††††††††††  ヤナギ家(うち)にも同じ秋田の空の下、夏の日差しが降り注ぐ。  秋田県民と同じくらい日照率に恵まれないイギリスの血を引く、青い瞳、金髪ツーテールな白肌エルフさん、レナはサスペンス刑事ドラマの死体みたいに、床の上に転がっていた。 「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)じゃないのか、秋田は避暑地じゃないのか……。うーむ。ババヘラアイスも溶ける暑さだ。これは凄いぞ、ソナタ君」 「盆地は風が山でブロックされで、空気が下に滞るんだなぁ。熱が逃げねえで、かつ涼しい(しゃっこい)空気も入って来ねえがらさ」  レナが溶けた猫のように、床から首から上だけ、私に向けた。  ホームズの良き理解者のワトスン並みに、真面目な考察を述べると、溶けた猫は唸った。 「ならば、服を脱ぐ権利が私にはあると思わないかな、ソナタ君」 「拒否! 断固拒否! うちは女の子だけ住んでいる訳じゃねぇんだ」  流石に夏用の探偵服も脱いで、『暑さに抗議します!』と黒字で書かれた、白いTシャツに、青いショートパンツだった。  靴下も履くのを拒否。  そもそもレナは、下着で過ごす気だったので、無理やり私が履かせた。父が悶々として仕事にならないと困る。 「ふーむ。では、作戦変更だ。日本人は湿度の高い夏に対応できる。しかし、エルフでイギリス人の私が対応できるだろうか、いやデキナイ」 「あれ、ホームズさんは、日本に来て50年以上なるって言っていましたよね?」  急に方言口調を止めた。レナは私を怒らせたと思ったらしく、額から汗を流して、目を白黒させる。  人間換算だと、レナの年齢は60代だ。ただし、ヒトの1/4の成長らしい。つまりほぼ私と同い歳となる。 「所得倍増計画、政治的無関心、石油(オイル)ショック……」 「何だか、1970年代を感じる言葉が出て来たな。ん……あれ、ホームズさん……」  私はもっと早く気づくべきだった。レナの顔は真っ赤であった。しゃがんで、思わず触れた手がひどく熱かったのだ。  レナは秋田の暑さで倒れた。  父は『あまり心配すんな、すぐ元気になるべ』と、私の頭を撫でて作業部屋へ戻っていた。  私は罪悪感で胸が苦しかった。  もっと早く気づいていれば、レナは苦しまずに済んだかもしれない。  麦茶の氷がカランと音を立てた。レナは水しか飲めていない。食事が(のど)を通らないくらい重症なのだ。  私は重たい口を開き、布団で横になるレナに言う。 「病院さ、行ぐが?」 「私は拒否する……解剖(かいぼう)されかけたことがある……病院怖い……」  なるほど。レナを病院に連れて行くのは、トラウマに触れるのか。  エルフの耳を奇異に思い、解剖しようとした悪い医者が昔いたようだ。  このままだとまずい気がしていたが、私には何も出来なかった。 ††††††††††††††††††  次の日。  朝から湿度の高い酷暑であった。  レナの青い目が薄開きで、尖った耳がだらんと下がり生気がない。  氷嚢で、額と脇を冷やすが、それがどれだけの効果があるのか。  熱で幻覚を見ているのか、レナらしくない弱々しい少女の声だ。 「お姉ちゃん。なぜ、私たちはヒトより成長が遅いの。みんな、お友達は未来に行っちゃった。過去にいるのは、私たちだけだよ」  まぶたを閉じて、レナは寝ている。でも、酷い過去の夢を見ているのだろう。金色のまつげの間から、涙の粒が流れた。  私はその弱々しい手をそっと握る。 「ホームズ(おめぇ)さんは、変わりたくても変われねえ娘なんだな。いつか変われると思ってだ私と同じだ。……ごめん、私が馬鹿っけだった……」  握っていない方の手で、レナの手をそっと包む。  流石の私も心が痛んだ。謝っても謝り切れない。  幸いなことにレナは、スースーと寝息を立てていた。  どうか深い眠りで、彼女に悪い夢を与えないでください。

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