ただ君だけを、守りたいと願う

読了目安時間:8分

エピソード:21 / 23

10章 記憶とは。今とは。

頃は夜。 イーラが寝ている傍で、ヴェルとシャンディがオレンドが会話している。 「ってことがあったの!イーラちゃん、きっと、文才あるわよー。」 起こさぬよう小声で会話をしている。 「ふむ」 「おうおう!脚本を書いてくれてるのか。そりゃいいね!最近は俺の頭もすっからかんになってきたし!」 「元からすっからかんの間違いでしょ」 「はっはっは!そうかもなあ!えんぷてぃーえんぷてぃー」 オレンドが座ったまま腹を抱えて喜ぶ横で、 イーラは穏やかに寝息を立てている。 くぅー。くぅー。 「こんなに騒いでるのに、良く寝てるわねぇ…。」 「うむ」 再びイーラの書いている脚本の話に戻る。 「それで、ヴェルさんは、イーラちゃんが脚本を書いていたのを知っていたのかしら?」 「知っておった。私が演劇の練習に勤めている間、いそいそと何かをしておった。」 「へえー!」 この場で一人知らなかったオレンドは、楽し気に大げさに相づちを打つ。 「夜になると、決まって私のところへきて、昨晩の続きを話せとせがむのだ」 「真面目なのね。」 夜寝る前に話を聞き、翌日時間の空いた時に脚本に起こす。 「イーラも、彼女なりに劇団の力になりたい、そう思っておるのだろう。」 「おぉ!なんといじらしい!」 オレンドが椅子からガタッと立ち上がって、手を大きく広げる。 「それなら、座長たる私が頑張って書いた脚本を、演目に採用してあげようじゃないか!」 明らかな大声にシャンディが慌てて止めに入る。 「ちょっと、流石に声が大きい。起こしちゃったら可哀想でしょ?」 「…。ぅーん…。」 くぅー。くぅー。 どうやら、深く眠っているようだ。 「おぉ。そうだった、そうだった。ソーリーソーリー」 「すごく面白そうね。ちゃんと手直しはすればいい題材な気がするし」 「そうさ!フレンドと一緒に、素晴らしい作品に仕上げるなんて、ぐっとな体験じゃないか」 オレンドとシャンディは嬉しそうイーラの寝床の方へ体を向け、顔を覗き込む。 ゆっくりと、息を吸って、はいて、としている。 「ふむ。感謝する」 「おおよー」 オレンドはヴェルの方へ振り返り親指を立てる。 「して、オレンドよ」 話題の変化を察して、オレンドは自席へ引っ込む。 「ほいほい?」 「そなたは半魔だと言ったな」 「ん?そうさあ!」 オレンドの顔に曇りはない。 「そなたの魔力がなぜ全くないか、理解しておるか?」 「んー!…さあなあ。アーイドントノー」 なんとなく、おちゃらけた態度。 ふむ ヴェルは頷くと、普段より深く腕を組む。 その様子の変化にシャンディが気づく。 オレンドが失った何か。そう、記憶。 「…オレンドが失った魔力を取り戻せるのかしら」 「そうだ…おそらく、記憶も戻るだろう」 ヴェルはサラっととんでもないこと言う。 それは二人が諦めたこと。 「え…!?そうなのね…!じゃ、じゃあ!」 「まて、シャンディよ。オレンド、そなたはどう思う。」 突然の話にオレンドは困ったように頭をかく。 「あー…あんまり真面目なの得意じゃねえんだけどな…。もし記憶が戻った俺は、本当に今の俺なのかなぁ、って思うわけよ。」 それは、劇団に拾われてから、今日までの時間を否定するもの。 「ふむ」 確かにそうだ。 記憶がなかったからこそ、オレンドの世界にはシャンディしかいなかった。 過去のオレンドは魔族の長の一人であり、人と争ってきた身だ。 「でも、俺がどう生きてきたのか、ヴェルたちが話す俺が、俺なら。何があったのか、知りたい気もするんだよなぁ…」 「確かにそうね…あなたの記憶が戻ったら、今のオレンドじゃ、なくなるのかもしれないのね…」 二人の様子を見てヴェルは腕を組みなおす。 「ふむ。私の目からみたらだが。そなたは今も昔もオレンドである」 「そっかあー…。」 間。 オレンドはその言葉を、茫然とかみしめ、ゆっくりと飲み込む。 静寂の中にイーラの穏やかな寝言と寝息により静寂が途切れた。 くぅー。ヴェルー くぅー。お話ー。 くぅー… 「ふむ。イーラからそなたに流れようとしている魔素がある。オレンドよ、そなたの魔素だ。気づいておらぬのだろう」 「ん?まぁ、俺は見えないからなぁ」 オレンドは肩をすくめる。 「そうであろう。おそらく、長らくイーラの中にあり、もう役目を果たしたのであろう」 「俺が、何かしたかもしれないってこと、かい?」 イーラの中にあって、役目を果たした。 つまり、何かの目的でオレンドが自分の魔素をイーラに渡し、そして自分の記憶と魔素を失った。 「そうだ」 …再び訪れる静寂。 「…ふむ」 ヴェルの頷く声がいつもの数倍の大きさ聞こえる。 次に口を開いたのはシャンディ。 「…私は…」 シャンディはゆっくりと息を吸うと、 ぎゅっと膝を握り、自分の思いを絞りだす。 「…私は、あなたにとって私より大切な人がいたとしても、かまいません」 膝を握る手と握られた膝の感覚がぞれぞれ別々の自分のように感じる。 「シャンディ…」 「あなたはきっとこの劇団以外の世界を知らないから。それって切ないことだと思うの。あなたは昔のことを話す時、いつもちょっと寂しそうな顔をするの」 対するオレンドはなるべくいつものように。いつものようにふるまう。心配をかけないように。 「あはは、そりゃ、記憶がなけりゃ誰だってそんな顔するだろ」 「どんな時でも笑顔で楽しそうに笑うあなただから」 演目の出来が悪くて散々なブーイングをされた時も。 呼び込みで丸一日お客さんが入らなかった時も。 元座長の引退が決まり、若くしてそれを継ぐと決まった時。 当然それを面白く思わない団員に邪険にされた時。 「あなたはいつだって笑顔だったわ。あなたの笑顔に私たちが、どれだけ勇気づけられたことか。そのあなたが、ふと、過去の話をするときだけ辛そうな顔をするのを、ずっと見てきたわ。」 「そりゃ、うーん、そんな顔しちまってたか。」 「だから、たとえ私より好きな人がそこにいても、構いません。ヴェルさん、オレンドの記憶を戻すことができますか?」 不安を隠す様にオレンドは両手を握り合わせる。 ヴェルはその不安を吐露するよう、オレンドへ会話の線を繋ぐ。 「ふむ。オレンドよ。」 「…思い出したい、と、心は言ってんだ。けど、怖え、怖えと頭が思ってたんだ。なんだろうな。俺、自分がいい奴だなんてちっとも思ってなくて…なんか、すんげー悪い奴だった気がしてんだ。だから、半魔でもできる、みんなが笑顔になれる何かをやりたいと思って。拾ってもらったのが演劇団でほんっとに良かったと思ってんだ」 「オレンド…」 オレンドはその想いをゆっくりと綴っていく。 「だからさ、どんなにひどく言われたって、どんなに惨めに扱われたって、全く辛くなかった。俺は、なーんにもなかったから …でもずっと刺さるんだ。俺は誰で、どこからきて、なぜ今ここにいるんだろう。って。 いちから知ってる人はいいさ。気づいた時には、何にも無え頭んなか、と、ぽっかり穴のあいた心。隠してきたつもりだったけどなぁ。」 「ふむ」 どうするか…。 劇団に拾われた時を思い出す。目を開ければ見知らぬ地。 「…ねぇ、あなた…大丈夫?」 まだ幼い人間の女の子が自分の顔を興味深そうに覗きこんでいる。 「あ、よかったー…。目が覚めたのね!」 その女の子こそがシャンディだった。 それから、シャンディに手を引かれて演劇旅団の当時の座長のところへ連れられた。 当時の座長には人間と魔族の間に生まれた子供で、 付近の集落かどこかで忌子として育てられて、とんだ仕打ちにあった子供とでも思われたようで…おいおい泣き出して、 急に劇団員になれと言われて…流されるように過ごしてきた。 シャンディはどんどん成長し、今では劇団の主演女優。 オレンドは姿こそ変わらないが、座長の跡を継ぎ、そして婚約をした。 総じて、オレンドの記憶にある初めてから今日まで、至る所で一緒にいたのはシャンディだった。 それだけでも、十分に幸せだった。 そして… それより前の記憶を取り戻すということは、今ある自分、ではない何かを受け入れるも同じこと。 ふぅー…。とオレンドは一呼吸を置いて… 「ちょっとまってくれ」 シャンディ…とオレンドは小声でささやき、そのまま隣にいる彼女と唇を重ねる。 「あ、ちょ…んっ」 不意打ちのキスに初めこそ驚いたが、口先に触れる感触は渇き、わずかに震えていた。 そのままオレンドの背に手をまわし、背中をさする。その震えが収まるまで。 重なりを解いた頃には、震えは収まり オレンドはすっかり元気を取り戻していた。 「…うーしっ!大丈夫だ!かむかーむ。ヴェールー!俺に記憶を、くれくれーい!」 ヴェルはその言葉にニヤリと口角を上げ イーラの方へ手を向ける。 「うむ。良き心がけだ。少々辛いが、オレンドは大丈夫であろう。」 ――行き場を失った魔素よ、主人の元へ変えるのだ―― ヴェルが唱えた途端。 その手から何かほの白い流れが流れてくるのをオレンドが認識した次の瞬間。 「グッ!!ぁ…ぁああ!!!」 これまでに感じたことのない痛みを自分の頭が訴える。 これ以上入る隙もない水がめに、無理矢理水を叩きいれるような鈍い痛みと、 爪先に黒曜石の尖端を突き刺すような鋭利な痛みが同時に襲い掛かってくる。 「オレンド!」 シャンディが自分の肩を支えたが、その手が当たる感覚がはるか先に感じる。 視界が黒くぼやけ、自分が見たことのあるような、内容が光景が眼前に広がる。 そこは人の数十倍もあろうかという巨樹を中心に広がる柳の森。 「ふむ。まだかかってくるか」 「ゆるさねぇ!お前が魔王なんだろ!ゆるさねぇ!! 「ふむ。好きにするが良い。そなたが飽きるまで付き合ってやろう」 ――――ぐぅ…はあ…ガハ! そこは人の手が届かぬ絶壁の先にある巨大の城の廊下。 「ねえ、オレンドって好きな人いるの!?」 「なんでそんなこと気になるのかなぁ!まさかロクシー!俺のことが…」 「はあ?何言ってんの。私はヴォルカス様一筋!あぁ…ヴォルカス様ぁ、なんであなたはそんなに博識なのでしょう…」 ――――ゲホゲホ、あぁっぁっぁあああ! そこはきっと当時の自室。姉と慕う誰かが扉の近くに表情なく佇んでいる。 「オレンド、あなたにだけ伝えます」 「なーに!?サラ!俺の失恋記念日でもお祝いしてくれるのかなぁ!?はっはっは!」 「…いえ。私は、次の新月の夜にロクシーを殺します」 ――――ああああああぁぁぁああああぁぁぁっぁああああ!!! そこは魔王の自室。月のない空を前に王の愛する最愛の女性が冷たい石床に伏せている。 「オレンド、私のお腹を裂いて。この娘だけ、イーラだけでも守って。」

コメント

コメント投稿

スタンプ投稿


このエピソードには、
まだコメントがありません。

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る

  • ラメイラの天使

    剣と魔法の世界の物語

    1,300

    0


    2023年9月30日更新

    評議会から辺境の地の探索を依頼された騎士レオンたち一行。 はたして、そこに待ち受けていたものとは。 小国ラメイラの歴史が今、紐とかれる。

    読了目安時間:1時間44分

    この作品を読む

  • 働いていた武器屋の主人から突然店を畳むと言われ無職になってしまったケビン。 新たな勤め先が見つからず途方に暮れていたケビンだったが「自分で装備品の収集をして店を開けば良いんじゃね?」と思い立ち、魔物が生息していて危険ではあるが、色んな装備品が手に入る「迷宮」に挑み始めた。 戦いとは無縁な生活を送っていたケビンだったが、迷宮を探索し始めて三ヶ月が過ぎる頃にはだいぶ身体能力は上がり『魔物を倒すと強くなれる』ことを改めて実感する。 そして、迷宮の最下層に出現する迷宮主を倒したケビンの目の前に突然ゴリラが現れた。 自分は魔族だと主張するゴリラが「魔族領にある家まで連れてって欲しい」とケビンに頼み「報酬としてうちの武器庫から好きなだけ装備品を持って帰って良い」と提案してきた。 自分の店を持つ夢が叶うと確信したケビンは、快くゴリラの申し出を引き受けてしまうのであった。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:11時間32分

    この作品を読む

  • 時の加護者のアカネの気苦労Ⅲ~闇を招く手

    私、こんぎつねが考える異世界創世記です。

    400

    0


    2023年9月30日更新

    エジプトを皮切りにアフリカ、イギリス、アメリカで起きる連続テロ事件。それに関わる一人の少年と月夜に現れる白い女。 アメリカ国家安全保障局は他国の諜報機関と連携をとり、この少年と白い女の確保を急ぐ。 それと同時に、異世界アーリーでは「秩序の加護者」の願いが暴走し思わぬ事態に陥っていた。 何も知らぬアカネが異世界へ足を踏み入れると、フェルナン大門にシャーレとクローズの像が復活していた。それはまるで破壊された事などなかったように.. 「法魔の加護者」が覚醒したことで魔法に関わる者たちが異世界アーリーに登場し始める。 ここに多くの種族が混在する異世界が完成する。

    読了目安時間:1時間48分

    この作品を読む

  • 女の子でも冒険したい!

    女の子が非日常的な学校生活をする物語です

    5,400

    5


    2023年9月30日更新

    イギリスの学校の高等部に進学した佐伯優香はTRPG部に入部する。だが、そこではTRPGではなく本物の冒険が行われていた。

    読了目安時間:57分

    この作品を読む

読者のおすすめ作品

もっと見る

  •         【 R·O·S·E 】

           一章だけでも是非一度!!

    224,005

    1,520


    2023年8月28日更新

    ★ジャンル日間一位★ ★総合日間四位★ ★第3回HJ小説大賞後期 一次通過★ ───◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆─── 異物の異郷【ミスティルテイン】剣聖学園。 毎年、何百人もの入学生を迎える世界の中心にして世界最高の剣聖学園へ入学した女性【リディア・ローズ】の異郷での六年間が開幕。 不安定な安寧、不特定な混沌が蠢く世界の中心で、墓標に朽ちた【極剣】と新たな【極剣】を携え、復讐の華を咲かせる。 許しなど必要ない。自分にも誰にも、世界にも。 最低な選択でもいい。それで未来を一滴たりとも残さず奪えるのなら。 九年前に平凡な未来を奪われた少女が今度は未来を奪う。 なんて事ない平凡を失った、少女達の復讐劇。 ───◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆─── 一章【ローゼングレイヴ】だけでも是非一度!! ▼ 女主人公のダークファンタジー ▼ ▼ 学園が舞台で設定も細かく丁寧 ▼ ▼ 壮大かつ無慈悲な世界をお楽しみください ▼ ※最新話の約、3ヶ月から5ヶ月後 に章規模で更新※ ※ひとつの章、8万から10万文字程度※ 【R·O·S·E】の特設ページなるものを設置しました! R·O·S·E本編をより深く楽しめるようにタイミングをみて追加していこうと思っています。 活動報告なども設置しましたので、よかったら覗いて見てください。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:14時間44分

    この作品を読む

  • 男子高校の生物部員はコスプレイヤーの夢を見るのか?はい、見ます!

    レイヤー女子と、生物部男子の邂逅は!

    18,600

    100


    2023年9月15日更新

    生物部である男子高校生たちは、同人誌やコスプレデビューを目指し、先達や異性との出会いの中、リア充なオタクライフを満喫する。 って、スムーズに青春出来ると思ってました。 女子は女子で色々あるのです。青春だもの。 笑えて、コスプレのノウハウもわかって、さらに泣ける展開もあるかもしれない、バカップルラブコメディ。

    読了目安時間:8時間14分

    この作品を読む

  • 蟲の勇者は地底に眠る

    仲間と協力して──『幻影魔蟲』に挑め!!

    262,230

    495


    2023年9月30日更新

    ボーイミーツガール‪✕‬《人外》✕‬王道ファンタジ ー!! この世界は昆虫の進化した存在、殻人族が地上と地底に分かれて暮らしており、別々の生活形態を築いていた。 あるとき、少女は災厄に襲われる悪夢を見る。トラウマだけを植え付けて災厄──幻影魔蟲コーカスは身を夢幻の中に隠した。 一方同じ頃、地底で少年は土竜に追いかけ回されていた。父親に命を助けられ、少年──アトラスは世界をこの目で見たいと志を持つ。 地底で父親に戦う術を習い、アトラスは学校へ通うべく地底を飛び出した。 学校で出会う仲間、ギンヤとキマリ。 そして悪夢の中の少女、ヒメカ。 アトラスはヒメカとともに悪夢へ立ち向かうこととなるが、果たしてコーカスは何を求め現世に復活したのか──。 アトラスはコーカスの真意を暴くことができるのか────。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:12時間52分

    この作品を読む

  • お隣さんVtuberが消えた夏の蒲田ジムノペドゥ

    蒲田ほど楽しかった街は無いかも

    13,600

    100


    2023年9月22日更新

    ---------------- 【作者が考える作品のセールスポイント】 1.学校嫌いだったおじさんによる学校嫌いのための陰キャラブコメ 2.最終的にすべてうまくいくのはゆるふわチームビルディングでした 3.誰もヒロインのことを思い出せない夏が始まった! ---------------- 消えたいと願った人を誰も認識できなくなる怪奇事件が蒲田では起こっていました。 昨今、自分はここに居ていいんだと心から思えるコミュニティを持つことは難しい。蒲田に怪しげな店を構えるおじいさんはそういいます。 ヒロインの伊勢藍もその一人。消えたいと強く願い、学校では誰も彼女を認識できなくなりました。 そんな彼女は駆け出しのVtuberです。ネットでは少しずつ人気になり始めていて、毎日元気に配信しています。 そんな彼女を、学校に戻って来いと言っていいのか、今のままが幸せなのか、主人公は悩みます。 現実から消えたいと願った伊勢藍を追って、主人公はプロジェクト『蒲田ジムノペドゥ』を決行します! ◆現実にある街を使うので補足◆ 東京都大田区蒲田という魔境で繰り広げられる高校生ラブコメです。 蒲田に住んでいました。蒲田が大好きなので舞台にしちゃいました。迷惑をかけたくないので少しだけ補足させてください。 舞台となる蒲田という街は、横浜、川崎、羽田、品川、秋葉原、上野、どこへでも一本で行ける最強立地ですが、下町の情緒も死んでいない変な場所です。ゴミの分類がほぼ無くて全部燃えます。 道行く人も他の都内に比べると、絶対に混沌としています。昼はおばちゃん、夜は怒鳴り声、若者もいっぱい。でもファッションは奇抜じゃなく、いまいちあか抜けない。そこがまたいいんですよね。 そんな街で主人公の俺くんは、現実世界から消えたくてネットの世界で生きたいと思っている子といい感じになります。 架空の高校で、現実とネット、自分の居場所ってなんだろう、作り手や表現者ってなんだろう。そんなことを考えながら楽しくラブコメをします。 高校、お店、催しなど、随所に架空のものを用意しています。実在するあれやこれやとは関係ございません。 挿絵:高架

    読了目安時間:3時間29分

    この作品を読む