私立緑工業高校女子eSports部

読了目安時間:18分

韓国から来た少女

翌日。少し早めに登校すると、みんなを集めて職員室に向かった。 「しつれいしまーす。」 「あら?早いのね。」 富永先生は職員室入口近くの席でコーヒーを飲んでいた。 「まあ、PC移動させるには少し早めにと思ったんですけど、どれくらい早く集まるか打ち合わせしてなかったですから、みんなちょっと早く来すぎちゃいました。」 「そっか。じゃあ私の車の中にまだ積んだままだから、みんなで部室に運んじゃおっか? ・・そうだ。左手コントローラも届いたから、誰か荷物が少ない人持ってね。」 指さしたそこには大きな段ボール箱があった。琴絵が持ってみると大きさの割には結構軽かった。車のカギと、壁に掛けてあった部室のカギを取って先生を先頭に移動を始める。 「あ。し、失礼しましたー!」 その後授業が始まる前にと、部室と駐車場を全員で2往復して荷物を運び込む。 「これで全部ね。・・・ところでこのPCは誰の?」 麻衣子が見慣れないPCを見て問いかける。確かに昨日買ったPCやみんなの家から持ち出したPCとは違うものが一台。 「あ、それあたしのよ。」 富永先生が答える。 「あれ?先生もプレイするんですか?」 顧問といったらみんなのコーチをするか、名ばかりで部室には出てこないイメージだ。 「まあたまにはね。それに今は部員が少なくて対戦相手にも困るでしょ。」 部室のカギを締め、それぞれの教室に戻る。 「先生もやっぱゲームやるんだ。」 「ん?ゲームCG科の先生でしょ。普通にやるでしょ。」 麻衣子がつぶやいているところに、隣で歩いていた琴絵が答える。 「いや~授業中の先生の話を聞いてるとゲームをプレイすることはあんまり薦めてないんだよね。ゲームを作るのとプレイするのはまったく別の技術だから、ゲームで遊んでる暇があったらゲームを作るための技術を身につけなさい~~みたいな。」 「ふむ。まあ正論だよな。」 「それにゲームの話題やゲーム業界時代のエピソードとか振ってもあまり話題に乗ってくれないというか。ゲーム業界でいろいろあってゲームが嫌いになったのかな~とか思ってたよ」 「まあ、確かに好き嫌いはあるよな。あたしらだってゲーセンで格闘ゲームとかやってると変な目で見られてる意識あるじゃん?女性のゲーム開発者って少ないって話だし、なんか嫌な部分もあるんじゃない?」 「そっかな?」 「まあBlackllightってのも調べたら日本じゃ正式にサービスされてないみたいじゃん。日本人がほぼ居ないから気楽にプレイ出来るってのもあるんじゃない?」 「ああ、それはあるかもね。確かに先生がプレイしてるゲームを生徒にばらしたら、みんなやってきてめんどくさいかも。」 「だろ~。ま、プライベートで遊んでるかもしれないから内緒にしとこうぜ。」 「そだね。じゃあ放課後にね~」 「いや、昼飯にいくぞ。」 そして放課後。とりあえずセッティング済ませた持ち込み組は、PCの組立やパーツ交換を手伝っていた。 そこに先生登場。 「みんなPCの準備できた?」 「まだですよ。一から組み立てるマイコはOSのインストールもあるから夕方までかかりそうですね。」 「だよね~。じゃあ手の空いてる人はSteamIDのアカウント作成からしてもらおうかな?」 「SteamIDって?」 一番ゲームには疎そうな沙織が聞き返す。 「ゲームのダウンロードサイトのアカウントだよ。販売してるゲームも多いけど基本無料のゲームも多いのでID取ればゲームが遊べる。ほら。」 友紀が答えながらSteamのサイトを表示する。 「もしかしたら部活でゲームを購入して、歴代の部員で使いまわすかもしれないから新規のID作ってね。」 「IDの名称はどうするんですか?」 さっそく登録画面になっている友紀がすかさず聞いてくる。 「そうねぇ。まあ部活用のIDは連番でいいかな?ニックネームは後で変更できるし。」 「ニックネームの方は何でもいいの?」 「まあ、あんたたち未成年だからね。本名に近いものじゃなければ。ゲーム中にお互いを呼ぶ名前に近い方がいいかな?」 「コールサインですね。」 にやりと友紀が答える。 「そうだ。部活の紹介用ウェブサイト作るみたいだから、順番に写真撮ろうか?」 「え?」 「ああ・・・もちろん嫌ならいいわよ。」 「え、まあ学校がやることだし嫌ってことはないですけど、本名とかまでは載せないんですよね?」 「そりゃまあね~。」 そしてちょっとした沈黙の後、続けて意外なことを言い出した。 「あ。でもアイドルデビューしたときは本名も出るかも・・・」 「はぁ?!!!」 部の全員がそれぞれ違った表情を浮かべて富永の方を振り返る。 友紀はジト目、麻衣子は驚き、琴絵はあきれ顔、沙織はキラキラとした期待の目だ。 「あれ?アイドルデビューイヤ?まあ選ばれるとは限らないし強制じゃないから本人か親の反対があれば当然・・」 「嫌とかそういうことじゃなくて!!」 「いいじゃん。アイドル。流行ってるし。リアルラブライブって感じ?学校に協力しなさいよ。」 ニコニコと気軽な感じに答える。 「アイドルデビューと言ったって、サウンドエンジニア科の先生が楽曲作って、それを声優科の生徒を中心に歌わせて、CD作るってだけよ。」 「そんな計画が・・・。」 沙織を除きあきれた表情で先生の話を聞いている。 「でも実際のところ声優科の生徒で優秀な子を選んで、普通の恋愛がどうだのって歌詞の曲を歌わせるのは学校としては正直どうなのよ?って話もあってね。部活のテーマソング的なのはどうかってことになりつつあります。ハイ。」 「え~~~~・・・」 きょろきょろと見まわし、一部を除きみんなのテンションが下がり気味なのを見ると、追い打ちをかけるようにこう切り出す。 「そういえばウチの体育館、外側の出入りのすぐまえに使ってない門あるよね。」 「・・・・まさか。学校でライブでもする気ですか!?」 「ピンポーン!まあCD作るのだってタブン1年後ぐらい。校内イベントだってやる予定はまだ全然立ってないけどね。」 そこまで言って流石にちょっとテンション下げすぎたか?とか思った。 実際のところこの部でアイドル活動をやる可能性は今の部員のルックスを考えると高そうなのでちょっと心構えをもっておいてもらってもいいかと思ったが、学校としては部活系のアイドル活動は何度かステージに立ってみていい思い出になればいい~~程度のものだ。 ただ声優科の生徒もいるので成功しなくてもいいってのも無責任に感じる。もう少し学校側の思惑について説明しておくべきかも・・・。 「ま、あんたたちが選ばれるとは限らないし、まあ学内でアイドル的な活動をさせようってのもあくまで学校でアイドル的活動して、それで芽が出ないならアイドルを目指さない方がいい、むしろあきらめさせるべきってのが校長の考え方だからね。」 「へ?校長が・・?」 「そ。アイドルなんてどうせデビューできたとしても20代の間だけだかね。むしろアイドルを餌に若い女の子に接近して性的搾取しようとしている輩が多いのが問題だと思ってるみたい。」 「まあ確かに。声優科の子ってアイドル的な部分に憧れてる部分が多いですわよね。」 それまでキラキラとした目で聞いていた沙織が真剣な表情になる。 「この学校で1番になったり話題にならないようなら、残念ながらそこまでじゃないかな? 夢をあきらめないというのは大切なことだけど、ゲームやアニメ学科のような技術を蓄積するタイプの夢と違って、少なくとも時間とともに魅力が落ちていくアイドル的な活動に関しては高校3年間頑張って有名になれなければあきらめた方が本人の為だと思うのよね。」 沈黙と少し重い空気が流れる。 でもまあここは工業高校だ。一般科目の授業数が少ない分、ほとんどの生徒が大学進学より卒業と当時に就職することになるだろう。今から将来のことを考えてみるのも悪くないはずだ。 「で、写真撮るの?」 とりあえず今の段階で深く考えてもしょうがないことではある。考えるより気軽にチャレンジしてほしい・・。 にこやかに先生が問いかける。 「まあ、今の話聞いちゃったら声優科の私たちは取るしかないんじゃないでしょうかね?」 「まあな~。」 沙織が琴絵の方をちらっと見てため息をつく。 「いいですよ。私は。」 友紀がそう答えると麻衣子も続く。 「そうね。声優科のメンバーだけ顔出して、私たちがシークレットでウェブサイトで表示されるのもどんなブスなんだって勝手に想像されかねないしね。」 そういってPCの組み立て作業などがない人から順番に先生のiPhoneで写真を撮ることにした。 何枚かホームページの素材になりそうなカットをと、あらかじめ構想があったようで、さくさくと撮影は済んだ。 「とりあえずこんな感じかな。」 「それ、ウェブサイトにするんだよね?サイトは学校で作ってくれるの?」 「ん。うちの旦那がね。どうせ暇だし。」 そういった瞬間に先生のiPhoneの着メロが鳴る。洋ドラでよくある・・というか24のCTUの内線音・・アレだ。 「う・・・ちょっといい?」 そういうと電話に出る。 「なによ。写真は自動的にアップロードされてるでしょ?・・なにもっと送れ。キワド・・・ふざけんな。」 言い終わるか終わらないかのうちに、力いっぱい通話終了ボタンを押して電話を切る。 「・・・ウチの旦那が一番危ないかもしれないわね。」 その後、全員のゲームでのニックネームなどを決めてテキストで送信。夕方になってPCのOSインストールが終わる頃に、もうWEBサイトができたようでURLが通知されてきた。 それはまさにアイドルのファンサイトといったデザインになっていた・・・。 「・・・eSportsの部活の紹介サイトなんだよね。これ・・・。」 先生のiPhoneの画面をのぞき込んでいた全員だったが、無言で帰る準備を始めた。 翌日。 登校時にいつものあおなみ線の駅のホームで琴絵と麻衣子が待ち合わせ。 「おう。今朝方先生から部活のグループに送られてきたURL。スマホ持ってないから知らないだろ?」 そういいながらスマートフォンの画面を麻衣子に見せる。 「あれ?昨日と全然違ってるじゃない・・。」 確かに昨日のアイドル的なサイトではなく、黒を基調としたサイトに大幅に変更されていた。 「きっと先生、旦那に作り直させたんだぜ。まあ前のだってそれほど悪くはないとは思ったけど、ちょっと恥ずかしいよな~。中身と違うというか。」 気楽な感じで琴絵は話していたが、CG科の麻衣子は一晩でまったく違うサイトを作るのにどれだけ時間がかかるかと考えていた。 (先生、意外と鬼畜だなぁ・・・) その時、すぐ隣の場所・・・同じサイトを眺めている一人の生徒が居た。 「あれ?サイトが変わってる。」 井上華菜里。先日漫画研究部を辞めて階段ですれ違った少女だ。 彼女は部活を辞めた後、なにか自分が参加できそうな新しい部活がないか毎日学校のホームページをチェックしていた。 eSports部のサイトも昨日見たのだが、出来たばかりのハズのサイトが大幅に変更されている。デザインも結構プロっぽい。 「もしかしたらすごいデザインができる人が居るのかな?」 彼女は漫画家を目指してはいたが、それほど自身に才能があるとは思っていなかった。日本の方がはるかに多くの才能があるとも思っていた。 だからこそ学科はプロブラミングの学科にし、スマートフォンアプリなどを作れるようになって、自分で漫画的な何かを発信できるようになれればと漠然と思っていた。 それに韓国からの帰国子女だが最初からコミック科を専攻していたら、せっかくの韓国語のスキルが生かせない。そういったスキルを活かすなら世界で売れるスマートフォンアプリだろう~~と父親からの勧めもあったからだ。 サイトのプロフィール欄をみる。 「CG科・・・もしサイトを作ったならこの子かな?あれ・・・この子って。」 見覚えのある顔だ。確かよくこの駅で見かけるような気がする。 辺りを見回す。 「ほれほれ~見てみ~~!」 「やめてぇ~~」 同じ麻衣子のプロフィールページを開きサイトを見せながら追いかける琴絵。 目と耳を閉じるようにしてふざけて走ってしまう。 「あ。」 普通なら避けるところだろう。だがその時は画面の中の子がここにいたことで思わず避けるのが遅れてしまった。 麻衣子と華菜里はぶつかってその場に倒れ込んでしまう。 「いたた・・・ごめんなさい。けがはなかった?」 こくんとうなずいて華菜里はスマートフォンの画面を麻衣子に見せる。 「へ?これ私・・。」 お互い戸惑いながら何といったらいいか迷ってしまう。 少しの沈黙の後、もうすぐ電車が到着するアナウンスなどがありホームが騒がしくなってくる。 「えっと・・・私もこの部活の仲間に・・・入れてください!!」 華菜里のその言葉は最初は小声だったが、騒がしくなってくる周囲の騒音で最後の方は大きな声になっていた。 「う~ん。突然の告白だなぁ・・。」 その様子を眺めていた琴絵がとりあえずぼけてみる。 「違う!」 「違います!」 二人で大声で反論するが、にやにやとした表情のまま到着した電車に琴絵はさっさと乗り込んでしまう。 「ちょ・・早く乗らなきゃ!遅刻しちゃう!!」 ということで放課後。 授業の間の休み時間などに琴江は華菜里の居る教室に足しげく通い、すでに入部届けに名前を書かせていた。 ・・・どうやって説得したんだろう・・。 「ジャジャーンということで部活設立に必要な5人目!井上華菜里ちゃんだ!!」 派手な紹介をする琴江に、正直反応に困ったというような表情のカナリ。 そこに先生と沙織が来て部員がそろった・・というところで自己紹介を始める。 「えっと。井上華菜里です。中学までは家庭の事情で韓国に住んでました。なのでいろいろおかしなところもあるかもしれないですけど・・・日本の常識的な部分で知らないことも多と思うので、遠慮せずに突っ込んでください。」 ベコリと頭を下げる。 「ふ~ん。韓国育ちっての言ってもいいの?」 富永先生がすかさず質問した。 まあ先生としては韓国人ということでいじめを心配していたというのもあるんだろう。専門教科の先生は元々はアニメやゲームの業界人で教育の経験がほとんどない。ハーフの彼女の素性は知っていたが、とりあえずその件は伏せておくつもりだったようだ。 「ええ。まあ言葉とか知識とかこれからも日本に住んで国籍も日本で選択するつもりですけど、素性隠しててバレた時、友達とかの反応が変わるのが怖いですしね。」 「ふ~ん・・・そっか。」 「・・・もしかして私のせいですか?高校のクラスの自己紹介とか今までの中学とか言うじゃないですか?アニメとかでもよく・・。 そういう感じじゃなかったですもん。」 少し心配そうに先生に聞き返す。 「え?いや、そういうわけじゃないけどね。・・・ほら、うちの学校は割と面接重視でキャラが立ってる子を選んだみたいだから、自己紹介ではそういう自分の"キャラ"を説明させる感じに誘導を~とはクラス担任では話したけど。」 「キャラですか・・・」 ジトッとしたいつもの感じの目で先生の方を見ていた友紀は、ぐるりとメンバーを見渡す。 「おふぅ・・・確かにありがちな感じですね。えっと・・ツインテール百合にクールビューティ、それに私のアホ毛キャラに巻き込まれ型平凡な主人公。それに外国人ですか・・。確かに。」 「平凡ですか・・というか私主人公なの?」 「いや・・・これって・・・チームトルテ?スクールガールストライカー・・?!」 ハッっと気が付いたといった表情の琴江。 「スクールガール?・・ああ、TVCMやってるのみたことあるよ。なにそれ?」 「いや、私たちのが先に生まれてるから!」 「あたりまえだろ~。まっそれだけベタなメンバーがそろったというわけだ。」 「おい、とりあえず百合設定やめろ・・。ツインテールロリ。」 「な・・あなたこそアホ毛毎日セットしてくるのやめたらどうですの?」 「確かあのゲームのキャラはアホ毛はなかったと思うぞ。別に大食いでもないし。」 収拾のつかない感じの言い合いに発展しつつある。 なんだこりゃ。 「あの・・・・で。・・・よろしくお願いします・・ね?」 困惑する華菜里をみて、ため息をつく富永先生。 「まあ・・確かにベタよねぇ。」 「いや、先生みたいなキャラも居ますって。」 「ふぇ?」 突然自分にも振られて変な声を出す。 (・・・やっぱ一番先生がベタじゃん・・。) そう思う部員たちだった。 「さて、いよいよ今日からゲームのプレイ開始ね!」 富永先生が話材を変えようとする・・・いや、まあこっちが本題なんだけどさ。 「ここで割と重要なお知らせがあります。プレイする予定だったBlacklight: Retributionなんだけどね~・・」 机に腰かけながら話を始める。 少し深刻そうなので、これまでのおバカな会話は中断して先生の方を注目する。 「え?どうかしたの?」 「オブジェクトモードの要でもあるシージ戦が次期アップデートに廃止になるそうなんです・・。」 う~ん。 とりあえずまだ遊んでも居ないゲームのモードが削除されるということなんだろうけど、同じゲームじゃないの? 「そうそう。そのシージってなんなの?こないだPS4でもコトチンともプレイしたけど、そんなモードなかったよ?というかオブジェクトモードって?」 「うん。まずそのへんからの説明かな? 基本的には部活でゲームをやる以上、やっぱり家でただ遊ぶのとは違う部活らしさが欲しいわけよ。先生としては。~~まあ、その辺はわかるよね?」 一同うなずく。 確かにオンラインで対戦するだけならメンバーさえそろえば放課後自宅に帰ってボイスチャットしながらプレイすればしたらいいしね。だからバカみたいにゲームに時間を使って異常に上手い人はいくらでもいる。ただゲームバカになれるかというと、正直そこまではなれない。プロになりたいとかよりどうせプレイするなら運動部と同じくチームで戦うのをやってみたいし、ちょっと青春っぽい事してみたいだけなんだ。 「FPSゲームでオブジェクトルールというのは主にチームで目標に向かって一丸となって戦うタイプ。上手い人が一人いて活躍したからって絶対勝てるわけじゃないというか~~。」 「え~・・コンクエストとかドミネーションとかですの?あの陣地を占拠してポイントを稼ぐとか言う・・」 FPSタイプのゲームにはあまり詳しくない沙織が聞き返す。 「コンクエストとかも広義ではオブジェクトルールね。でも今みたいな少人数だと一度くみ上げた防衛網が崩せないことが多い。もっと部員が増えて64人とかになったら考えてもいいだろうけど、まずはもっと少人数でも戦局が動きやすいゲームでと考えてるわ」 「それがブラックライトのシージなんです?」 「まあそうね。4脚戦車に誰かが乗り込んで移動させ、それを破壊して止めたり、特定ポイントでゲートを開けたり、ゲートを開ける瞬間無防備になるのでロボットで護衛したりとかね。そんな感じで戦車を目標まで運ぶ。国内のゲームだとAVAの護衛とかが近いかな?あれをオブジェクトルールというには問題が多いと思うけど。」 「へー面白そう。他にはそういうゲームないの?」 「BreachとかMoH:WFとかかな?あとDirtyBombとかBrinkとか・・基本古いパッケージばかりなのでサーバー設置や対戦相手の問題もある。F2PとなるとDirtyBombぐらいだけど・・・」 「ふ~ん。じゃあそれにする?これもなにか反対する理由あるの?先生には・・」 「まあ運営がネクソンでずっとおま国・・・えっと、日本からプレイできない事ね。今は大丈夫だったけど以前はそんな状態だったのでいつ日本からプレイできなくなるかわからないんだよね。それにまだβ段階なので、バランスもコロコロ変わって混乱はすると思う。」 「そういやカウンターストライクだっけ?eSportsのFPSといったら普通はアレじゃないの。先生は反対なんだ。」 少し間を置くと、眉をひそめていやそうな顔で答える。 「いや・・基本的に子供たちがテロリストの格好してAK-47持って戦場で殺し合いをするというのが正直キモイ。つまりAK-47が実装されてるゲームは基本プレイするのは反対ね。私は。」 「そうなの?別にゲームと実際の戦争は違うとかいいそうなのに。」 ホビーショップでサバイバルゲーム用のMAGPUL MASADAを抱えていた姿を思い出した。 「少年兵って知ってる?世界の紛争地域で子供が兵士として戦うことを強制されてる状態の事。ニュースで話題になってるISISでもあるみたいだし、武装勢力と呼ばれる連中は殆どやってるでしょうね。ナイジェリアでも女子生徒が学校ごと拉致された事件とかもあったでしょ?」 「う・・」 日本でもニュースになったので知っていたが、忘れていたことだ。いや、誘拐された生徒がどうなったかとか考えたくないと思っていた。 それと同時に"考えたくないと思っていた自分"に気が付いてしまった。 「まあ先生はウォーシミュとかの開発とかにもかかわったことあるから戦争とかその発端とかの歴史も少しかじったし、その影響もあってサバゲとかもやるけどね。日本は平和で安全な国だけど、やっぱり世界のどこかでは武装勢力が子供を拉致して、少年には安価なAKを持たせ、少女はレイプして子供を産ませ、その子供にも同様のことをする。今でも起こってる事よ 。」 「・・・・ま、とりあえずAK-47やそれに似てる武器は使うなってことよ。私みたいな一部の大人が気持ち悪いと感じるから。Dirtybombにもそれっぽい武器はあったけど、重要で強い武器ってわけじゃなかったはずだし、それさえ使わなければOK。まあ当面はDirtyBombでSteamのセールとかのときに部活に良さそうなゲームを何本か買ってあげるわ。どうせ安いしね。」 少し沈んだ気持ちになったが、その雰囲気を察してか、明るい感じで話を続ける。 「さて。じゃあ井上さんだっけ?部活用のPCとかは持ってこれるんだよね?」 「あ、はい。学校のタブレットPCがありますし、以前お父さんとIP電話したりゲームする為のパソコンありますから、そっちを持ってくるつもりです。」 「じゃあ、持ってくるまでは私のPCを使いなさいな。まずは自分のPCにDirtybombをインストールして、キーコンフィグなど設定を調整しながら各自普通のゲームルームでプレイしてゲームに慣れなさい。気になったところは見て順次アドバイスするから。」 「は~い。」 全員で返事しながら思った。顧問の先生ってそんなにガチに指導してくれるものなの? てっきり先生はゲームプレイには放置気味で、一緒に遊ぶぐらいだと思ってたのに・・。 とりあえず自分のPCを起動してSteamの検索窓にDirtybombと入れるのだった。

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