※この作品はセルフレイティングで性的表現並びに残酷表現、暴力表現ありとしております。特にこのパートは見方によっては非常にセンシティブな内容が含まれています。
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ヨシカワの身に何が起こっているのか、まるで理解が出来ていないクリフは困惑を続けていた。酷い拷問を受け続けるあられもない彼女の姿を、理由もなく“美しい”とさえ感じてしまう自分自身に腹を立ててもいた。クリフは悲痛な顔で首を横に振り続けながら、何故か画面に映る彼女の姿を“どぶ泥で満たされた腐沼に咲く一輪の可憐な花”のイメージに重ねていた。
呆然と画面に見入るクリフを前に、しばらく無言を続けた末にヒマそうな素振りを見せ始めたベルンバッハが、まるで世間話でも始める様な口調で話し始める。
「パーティーの席で指を突っ込んだ時は本当に吃驚したよ。最初は彼女のあの身体、モルガン卿の趣味によって改造されたものだとばかり思っていたんだが」
画面から女の切ない喘ぎが響き続ける中、無反応を続けるクリフにベルンバッハは話を続けた。
「これは彼女を責める中で薬まで使って無理やり聞き出したんだが……、彼女のあの異様な中の具合、あれは士官学校時代に受けた激しいイジメの結果によるものなんだそうだよ。同期の士官候補生に乱暴されそうになった時、実弾入りの拳銃を捻り込まれたうえに中をかき回されたそうなんだ。その銃口にあった照準とか何か角張った部分が内部をメチャクチャに切り裂いたらしくてね。もちろん犯人としてはただの脅しのつもりであって、行為の前にしてそんな不都合なケガを負わせるのは本意ではなかったのだろうが……。言ってる意味、わかるかね?」
掲げた両手の人差し指と中指を鋏のように動かすベルンバッハのジェスチャーに、クリフは無言のまま口元を押さえた。
「その不測の事態、大量に出血したお陰でお仲間からは乱暴されずに済んだらしいが、大事になるのを避けたかった彼女は軍医ではなく経験の浅い女性の衛生兵に処置を頼んだそうなんだ。多分その衛生兵がヘタクソだったんだろうね。お陰で縫い合わせた部分にいくつもの大きな段差が出来たうえに、全体的に引き攣って奇妙に捻じくれたまま傷が塞がった。それがあの大量のミミズ達と所々の窄まりの正体だ。縫合もアレだ、民間の病院でよく使われる“時間が経てば自然に溶ける糸”ではなく、非吸収性のモノフィラメントが使用された様だ。内部全体に分布しているコリコリのツブツブの正体は、残されたナイロン糸とその縫合痕に盛り上がった肉芽だね」
乱暴という言葉を、無理やり裸を見るとか乳房へ直に触れる事だと考えていたクリフには、ベルンバッハの話している内容は終始理解出来なかった。しかしその話しぶりから内臓のどこかを傷つけられたという事をかろうじて把握し、それは乱暴とやらよりも酷いではないか、と激しい怒りを感じていた。
「しかし、信じられるかね? 彼女自身は自分の胎内が特別である事に気付いていないんだ。まったく、あのカラダで今までいったいどれだけの数の男達を狂わせてきた事か!」
言葉を失い絶句する様子のクリフに気を良くしたベルンバッハは更に上機嫌になって話を続ける。
「まぁ凄いものだった。私も私のSP達も女性を相手にするのは自信があったんだがしてやられたよ、彼女があんな隠し弾をもっているなんてね。私も彼らも形無しだ、彼女のカラダに慣れるまでに相当の時間を要した。いやしかし、どうにか攻め落としはしたが、アレは神話や伝承に語られる淫魔に等しい存在の女だよ。関わった黒人SP達が『アレを永久に欲しい』と言い出し始め、この私までもが同じ考えに至る始末だ。この歳であんなうら若き女性に恋心をおぼえるなんて年甲斐も無く本当に恥ずかしい。それに、ああ……、彼女を手駒にして自由に使う事が出来たら、きっとどんなに難しい交渉でさえも上手にまとめる事が出来ると思うんだ。仮に相手がどんな聖人だろうと、例え悪魔だろうと彼女に屈服する事になるだろう。……そうだ、もし君が倫理に欠ける人間なら、君もアレを試してみるといい。主従が逆転すること請け合いだ。笑えるだろう?」
静かに涙を流すクリフの横顔に、ベルンバッハは満足そうに微笑みかけた。
◇ ◇ ◇
もはや貞淑さなどかなぐり捨てた様子の四つん這いの彼女は、画面外に何かを見つけると自らそれに顔を寄せていった。彼女の頭は画面から見切れていたが、その喉を大きく膨らませては切なげな呻きを何度も漏らしていた。そのうち彼女は頭を激しく前後に振り始める。その動きは男の黒い手が彼女の頭に添えられると更に激しさを増していった。
唐突に動きを止めた彼女が声を詰まらせる様に呻くと、今度はそんな彼女の頭をもどかしげな男の両手が掴んで強引に前後へ揺すり始めた。彼女は先ほどまでとは違う、何か苦しそうな呻きを上げながら嘔吐いているかの様に身体を大きくうねらせる。その嘔吐きは彼女の下腹をまるで別の生き物の様に蠕動させ、そのしなやかな腹筋はデタラメに強張ってグネり始めた。その様子に、何故か彼女の尻へ自分の腰を打ち付ける責めをしていた男が歓喜の雄叫びを上げる。
そんな画面の手前には、何かを深く奥まで挿し込まれて大きく膨らんだ彼女の喉元がアップで映し出されていた。その喉はまるで中に挿れられた何かを強く扱いているかの様に妖しく蠢きながら、ゴキュリ、ゴキュリと異様に大きな嚥下音を響かせていた。そのうち彼女の頭を掴む黒い手の甲が筋張って固まると、どこからか野太い呻き声の後に大きく息を吐く音が続いた。やがて彼女の口から画面外の何かがゆっくり引き抜かれると共に、その喉の膨らみが徐々に小さくなってゆく。
くぐもった声を出しながらコクコクと喉を鳴らして何かを飲み込んでいる彼女の後ろでは、彼女の尻を抱えていた男が先ほどまで責めていた男と同様の獣の声を上げた。まるで余韻を愉しんでいるかのように彼女の腰を引き付ける彼を、画面外から現れた別の太った黒人男がもう我慢しきれない様子で押し退ける。すると何かが抜けるブヂュル! という濡れた音と共に、どこからか吹き出した大量の粘液が彼女の内腿を伝ってトロトロと膝まで流れ落ちた。次の男はそんな奇妙な粘液など気にしない切羽詰まった様子で、彼女の尻の向こうの暗がりで何かを始めた。
その行為に彼女は全身を硬直させながら声にならない叫びを上げた。
彼女は妙齢の女性が決して口にしてはいけない類の言葉を連呼しながらその顔を再び画面内に戻した。激しく咳き込む彼女の口と鼻穴から白濁した粘液が吹き出す。彼女は咳が治まると鼻下から顎先まで垂れたそれを指で掬い取り、突き出した舌でこれ見よがしに舐め取っては喉を鳴らして飲み込んでゆく。そうしているうちに、吐き出したものや両脚の間からこぼれたものと同様の粘液が画面外のあちこちから彼女の顔へ引っ掛けられていった。前髪を無造作に掴み上げられた彼女は、まるで陸に上がった魚の様に口をぱくぱくとさせながら飛び跳ねる粘液をその口の中に受け止めてゆく。その後、彼女は粘液でドロドロになった顔をカメラの真ん前に突き出された。
「全部飲み込め!」
野太い声でそう命令された彼女は大口を開け、口内に溜まった白いマーブル模様の粘液を舌で充分にかき混ぜてから唇を閉じた。
彼女の喉がコクリと鳴る。
顎を掴まれ無理やり開かされた彼女の口内で分厚い舌が左右に大きく回される。画面へ大映しにされたその口の中には少しの粘液も残っていなかった。その結果に満足して鼻を鳴らした黒人が彼女の顎から外した手で頬を打つと、掴み上げていた彼女の前髪を強引に振り回し、まるでゴミでも捨てるかの様に彼女をソファへ向けて投げ飛ばした。彼女の身体はその勢いで何度かバウンドしたが、それが収まらないうちに次の黒人男が彼女の身体の上へ伸し掛かっていった。
◇ ◇ ◇
(さっきから度々画面に現れるあの白い粘液は何かに溶かしたコカイン? マリファナ? いずれにせよ法律によって禁止されている幻覚薬物をああやって無理やり飲まされているのだ。そうでなければ複数の男に肌を触れさせるなんて、そんな恥ずかしい事を彼女が了承するはずがない!)
全てを甚だしく誤解したままのクリフがベルンバッハをキッと睨みつける。
「もういいっ、もう結構だ!! 貴様との話し合いも取引も交渉も、付き合いも何も全て終わりだ! いますぐこの屋敷から出ていけッ!」
部屋のドアを強く指差すクリフに対し、ベルンバッハは渋そうな作り笑顔で両腕を広げた。
「さっきも言ったが、これまでの彼女の努力や献身をドブに捨てるのかね? 契約を結ぶ条件はあと1つだけだと言っているのに?」
彼はクリフへ近付いてデスクに両手を突くと前のめりになってそっと囁いた。
「敢えてもう一度言わせて貰おう。彼女を私に寄越せ。こんな目に遭っていた事が周囲にバレたら、彼女だってもうモルガンには居られまい。私の元に来るのが彼女のためにもなるのだ」
クリフの目尻が怒りでピクリと引き攣る。
「これを! 彼女のこの姿をモルガン関係者に見せると言うのか!? それは脅迫か?」
デスクから身を引いたベルンバッハは、クリフの質問に心底呆れた様子を見せたあと立てた人差し指を何度か横に振った。
「君が申し出を断ると言うのならこの動画をポルノサイトに投稿する。全世界へ向けて無制限に発信するつもりだ。もしそうなれば世界中の人間が彼女の性器とあの痴態を目にする事になる。……と言うか、いま気付いたのかね? 脅迫されている事に」
愕然とするクリフをよそに、画面の中に横たわる彼女へ向けて周り中から白濁した粘液が放たれる。それは悶え続ける彼女の身体へ当たってたぱぱと音を立てた後、溶けたロウソクの様にゆっくりと流れ落ちていった。
◇ ◇ ◇
何を映しているかわからないほど画面が揺れ、ようやくそれが収まると暗がりの中に大きな双丘が映し出された。その白く大きな2つの膨らみの間には縦に大きく切り裂かれた――縁が少しだけ黒ずんだ、まるで唇を思わせる形状の傷があった。その傷口には画面手前上方から何か黒くて長くてとても太い物が何度も素早く出し入れされており、彼女はその責めに嗚咽の様な呻きを漏らしていた。画面下方から伸びてきた彼女自身の白く細い指は、まるでこの拷問の痛みや苦しみを和らげようとしているかの様に傷口へと添えられ、その下端にある複雑な形状の部分をずっと擦り続けていた。
やがて男の呻き声と共に殊更強く押し込まれた拷問具が生き物のようにドクドクと脈打った。その拷問具は最後の仕上げと言わんばかりにグリグリと傷口をこね回した後、しばらくして中からぬるりと引きずり出される。不思議な事に、拷問具が抜かれて醜くめくれ上がった彼女の傷口からは一滴の血も流れ出ず、その代わりに真っ白に濁った膿の様な粘液がコプリと音を立てて吹き出した。画面に映る彼女の傷口は強い収縮と弛緩を幾度となく繰り返し、その度に匂い立つような膿をとめどなく吐き出し続ける。しかしそんな彼女には膿を出し切る時間さえ与えられなかった。すぐに似たような形の別の拷問具が傷口の中へ深々と捻じ込まれ、彼女が上げる悲鳴などお構いなしに再び激しい出し入れが始まる。それによって彼女の奥から掻き出された膿が、傷口の下に添えられた彼女の手の甲を伝ってトロトロと流れ落ちていた。
これら一連の様子を彼女の胸――“乳房の間に開けられた傷への拷問”と捉えたクリフは、思わず上半身を深く折って口元を手で押さえた。クリフの頭の中には膿が放つ耐え難い腐臭のイメージが広がり、彼女の受けた傷と同じ場所――みぞおちの上辺りから堪らえようの無い吐き気がこみ上げていたのだ。
◇ ◇ ◇
クリフは激しく嘔吐き続けた。
しかし吐き気を催す様なシーンなど見せた覚えの無いベルンバッハは、そんな彼を冷ややかな目でもって見下ろしていた。
「モルガン卿、動画を見る君の様子を見ていくつかわかった事がある」
それどころではない様子のクリフを前に、ベルンバッハが喋り続ける。
「君、幼少期からその不自由な身体らしいね。学校へ通った事が一度も無いという記録も読ませてもらった」
クリフの事をよく知らない大人達が彼を攻撃する時に使う常套句だった。口元の涎を袖で拭ったクリフは顔を上げると歯を食いしばってベルンバッハを睨む。
「独自に雇った識者に教えを請うた。知恵を鍛え知識を溜め込んだ。そこらの大人に劣らんほどにな。書類上の学歴など私の能力を測る上で何の役にも立ちやしない」
「うん、無論そうだろう。そうでなければモルガングループの総帥などという役が務まろうはずもない」
「なら貴様は学歴など引き合いにして何が言いたいのだ?」
「同年代の悪友が居なければ過分な性知識を得る事も出来ん様だね、と言いたい。モルガンの教育係は君が性知識を得る事を嫌った? これはハニートラップ対策かな?」
その言葉に、クリフの脳裏に執事のエドワルドの姿が浮かんだ。確かに一般教養に類する教育の内容はエドに全てを任せていた。性知識の習得を良かれと思わない彼の意図もクリフにはわかっている。下半身が不自由で臍の辺りから下は感覚すらおぼつかないクリフである。クリフには健常な身体にあっては当然の命の営みに伴う歓びにこの先も触れる機会が無いのだ。決して得られる事の無い余計な欲に心を焦がれぬ様に気を使ったエドの心情も当然だし、これまでクリフ自身が性に対する興味が薄かったのだ。そんなクリフが動画に映る彼女の身に何が起こったのか理解を得ないのは当然の事だった。
無言を続けるクリフに、デスクの向こうのベルンバッハがノートPCの裏からモニター部を軽く小突く。彼は暗に「続きを見ろ」と訴えていた。
◇ ◇ ◇
画面の中では仰向けになった彼女がひっくり返したカエルみたいに不格好に両脚を広げ、その上から覆い被さる白人の男をまるで無抵抗のままに受け入れていた。ニヤつく黒人達が2人をじっと見下ろす中で、白人の彼は彼女の肉体を独り占めにしていた。両手で鷲掴みにした豊満な乳房をこね上げる様に揉み回しながら身体を前後へ大きくスライドさせている彼の姿は、まるで彼女の上で平泳ぎでもしているかの様に見えた。
その責めに彼女は頭を激しく左右に振り乱しながら耐えていた。彼が乳房を握り潰しながら前に進む度にひぃひぃと切ない啼き声を上げ、その両手は彼の背中から脇腹の辺りを力無く掻き毟っていた。
「明らかに抵抗しているだろう! それに結婚をしていない、ましてや付き合ってもいない男女が裸のままあんな深いハグをするなんて! そんなはしたない事、彼女が望んでいるわけが無い!」
顔を上げて反論し始めたクリフにベルンバッハの語気が荒くなる。
「映像を見ろと言ってるんだ! 私と会話しながらでも画面を見る事は出来るだろう! 君には! これが! 本当に! 彼女が望んでいない様に見えているのかね?」
(彼女の胸にあんな忌まわしい傷を付けておいて!)
クリフはそう強く思いながら、きっぱり違うと言い切るために画面へ目を向けた。
◇ ◇ ◇
画面は真っ白で毛の長い柔らかそうな絨毯の上に仰向けになった彼女と、その上に重なる先ほどの白人の彼の姿を足元の方から斜めに捉えていた。
彼女は周りの黒人達によって頭の上にその両腕を押さえ付けられていた。「これが強制でないなら何なのだ!」と声を上げそうになったクリフの前で画面の彼女の腕の拘束が解かれる。しかし自由になったはずの彼女の両腕は上に伸し掛かる白人の男を殴りつけるでも突き飛ばすでもなく、のたくるように腰を動かし続ける彼の背中へと優しく回された。それに応じて身体を密着させた彼の胸板によって彼女の豊かな胸は押し潰され、重なり合う2人の身体の間からはみ出した乳房はパンパンに張り詰めたまま揺れ続けていた。
2人が見つめ合ったままねっとりとした情熱的なキスを交わす。そのあと彼が彼女の耳元で何事かを囁くと、彼女は泣きそうな表情を浮かべながら何度も何度も彼へ頷き返した。すると2人の呼吸はまるで愛し合っている恋人同士であるかの様に合い始め、彼女の呻きは次第にリズミカルに昂ぶってゆく。彼の呼吸が激しくなり、身体を打ち付ける音がバンバンと速く大きく響き始めると、彼女の悲鳴は次第に途切れがちになっていった。
その最後の瞬間、カエルの様に開かれていた彼女の両脚が彼の身体に絡みついてその腰裏で結ばれると、彼は軽く仰け反りながら両足を突っ張った。身体を力強く打ち込みながら何度も低い声で呻き続ける彼の姿とは対象的に、身体の芯までこじ開けられた彼女は美しい笛の音にも似た引き攣る様な声を長く上げながら果てていった。
張り詰めていた糸が切れた様子の2人はしばらくのあいだ重なり合ったままぐったりと横たわっていた。ようやく動き出した彼が身体を起こすと彼女の身体がビクンと跳ね、その両脚の間の辺りで何か長い物がズルリと動いたのがちらりと画面に映った。絨毯の上に残された彼女は仰向けのガニ股姿のまま、まるで拷問の余韻に浸っているかの様に腰を揺らしながら全身を痙攣させている。そんな無様に開ききった身体を何の恥じらいも無く周りの男達の目に晒し続ける彼女を背景に、すっくと立ち上がった彼は一息つくと額の汗を腕で拭う。そしてカメラへ振り返っては爽やかな笑顔を見せた。
その笑顔の持ち主とは、いまクリフの目の前に居るラウレンツ・ベルンバッハその人だった。
画面の中の彼はニカっと笑ったあと画面外から差し伸べられたシャンパングラスを受け取ると喉を鳴らしながら一気に中身を飲み込んだ。一息ついた後、まだ撮られていると気付いてはにかんだ彼は照れくさそうにレンズへ向けて手を翳す。ピントの合わない彼の手によってあらぬ方向へ向けられた画面は、いったいいつからそこに居たのか、褐色の肌をした貧相な体つきの雇われ下男達が壁際に立ち並ぶ様子を撮し出した。そこで全裸にされていた哀れな彼らは激しい呼吸を繰り返し、あるいは息を詰まらせ、血走った目を見開いては床上の一点だけを見つめていた。
画面がその一点へ向けられる。そこには既に太った黒人に組み敷かれている彼女の姿があった。彼女の両脚を肩に抱えた彼はベルンバッハの様な前後運動ではなく、その恵まれた体格と体重で彼女を何度も上から押し潰していた。男が深く身体を重ねる度に彼女から重苦しい悲鳴が上がる。
画面が再び下男達に向けられる。主人により後ろ手に組んだまま直立を続ける事を命ぜられていた彼らは、彼女の悲鳴がオクターブ高くなる度に苦しげに呻いて前のめっていた。その度に彼らの顔に向けて画面下方から何らかの粘液が放たれる。アバラの浮いた胸先を掠めて顎先にへばり付いたそれは、しばらくぶらぶらと揺れたあと長い糸を引いて下へ落ちてゆく。画面に彼らの足元が映されると、そこにはさっきまで無かった“黄ばんだ白いゼリー状の膿”が大量に飛び散っていた。
やがて彼女を責めていた太った黒人男が唸りを上げ、その力と体重を込めて杭打ち機の様に身体を打ち込んでゆく。彼は最後に上げたひときわ大きな呻きと共に、しばらくの間ぐったりと彼女に密着し全体重を預けていた。特大の黒い肉塊に覆われた彼女の身体で見える部分は頭の一部と広げられた両脚ぐらいだった。
黒人男がようやく身体を起こして彼女から離れる。彼女は股を開げたところに全体重を掛けて押し潰され、そのお陰でだらしなく開いた脚は緩んで閉じきらない様子だった。呼吸すら辿々しくなっていた彼女は指先からつま先に至るまでその全身をヒクヒクと痙攣させ、2人分の汗にまみれた身体からは薄い蒸気が立ち昇っている。
画面外のベルンバッハの話し声が微かに聞こえる中、たゆたう様に身体を動かしていた彼女が床に肘を突いて上半身を起こす。画面にはそんな彼女が壁際に列を成す素っ裸の下男達に気付いて唖然と固まる姿が捉えられていた。
今は画面外のベルンバッハから下男達へ声が掛けられる。
『それじゃ我々は……、そうだね、2時間ほど休憩を取る。その間に汚れた彼女の身体を君達全員で綺麗にしてやってくれたまえ。だが彼女が何か秘密を漏らし始めたらすぐに報告に来る様に』
なぜ全員で、なのか。その命令の意図を測りかねた様子の下男達は互いに顔を見合わせたまま固まっていた。そのうち勘の働いた下男の1人がハッと顔を上げ、列を抜け出すとあらぬ方向へと駆けてゆく。他の下男達が様子を見守る中、彼はソファの上に放置されていた“猿ぐつわ”を手に取って天井へ掲げると、満面の笑顔で皆の方へ振り返った。そこでようやく主の発した言葉の真意と“猿ぐつわ”の彼の笑みの意味に気付いた下男達は、皆一様に電撃にでも打たれた様なショックを受けた。直後、全身の肌を激しく粟立たせた彼らはその血走った目を一斉に彼女へと向ける。
話は単純だった。主人が目の前の女を下男達に下賜したのだ。2時間後に女の身体が綺麗になってさえいれば、そのあいだ女が喋らない限り何をしてもいい、と暗に示していたのである。
このあと自分の身に何が起きるかを察した彼女は諦めにも似た表情で顔を引き攣らせた。そして唇を噛み締めると悲壮な笑みを浮かべ、立ち並ぶ下男達へ向けてまるで運命を受け入れたかの様に広げた両腕を差し出す。そこには“せめて優しくして欲しい”、そんな切実な願いが込められている様に見えた。
次の瞬間、“猿ぐつわ”を手にした下男を先頭に、鬼気迫る形相の男達が喉の奥から唸りを上げながら我先にと彼女へ襲い掛かっていった。カメラの画角外にも何人か居たのか、その数は総勢10名を軽く超えていた。慈悲など一欠片も見せない彼らの勢いに短い悲鳴を上げた彼女だったが、すぐにその身体を押さえ付けられ、猿ぐつわを噛まされ、揉みくちゃにされて彼らの作る渦の中へ飲み込まれていった。下男達は彼女の首筋、あらわにされた腋下、乳房、脇腹など弱くて柔らかい部分へこぞって吸い付いてゆく。
ようやく閉じかけていた彼女の両脚には何本もの褐色の腕が絡みついていき、すぐに力ずくで左右へ大きく広げられた。その両脚の付け根には幾つもの下男達の頭が我先にと割り入っていき、彼らが動く度に中空に突き出された彼女の白い脚がカクカクと不規則に揺れた。折り重なり合って蠢く下男達の向こうでいったいどんな責めが行われているのか、足指の痙攣を何度か繰り返した彼女は、やがて気が狂ってしまったかの様な金切り声をずっと上げ続けた。
しばらくすると画面に映る彼女の身体は天井に向けて伸ばされた片方の腕だけになっていたが、そこかしこから何かをむしゃぶる様な音が響き始め、混沌だった渦が規則正しい動きを始めると共に力を失っていき、最期には白髪交じりの下男の誰かに噛みつかれて渦の中へと沈んでいった。
それはまるで生きながらにして地上へ堕ちた美しい蝶を、無数の蟻達が寄ってたかって貪り喰ってゆく光景だった。
画面が薄暗がりに蠢く下男達の浅黒い肌で満たされてゆく。そしてその中央で激しく動く男は雄叫びを上げて硬直するたびに次の男、次の男へと目まぐるしく入れ替わっていった。この拷問に加わった20余名に及ぶ下男達が彼女の上を1周するのには5分と掛からなかった。
やがて男達が2周3周する頃になると、音声には彼らの激しい息遣いや肉がぶつかり合う音、それに時折り上がる情けないオス犬の様な呻き声に加えて、深夜のジャングルを徘徊する得体の知れない獣の様な唸り声が響く様になる。
カメラが褐色の渦へ近付いてゆく。下男の肉壁をかき分けて進んだ先に見えたのは、2人の下男達によって上下から組み付かれてサンドイッチになったヨシカワの姿だった。自分が跨っている下男の頭を両腕で抱え込んだ彼女は、恍惚とした笑みを浮かべながら男の顔を正面から見つめていた。そして瞳を潤ませ何事かを囁いてゆく。そんな彼女の言葉に、真顔になって息を詰めた下側の下男が緩やかに仰け反り、上側の下男は次第に身体を硬直させ始めた。彼女の尻がのたくる様な動きを一気に早め、ドチュドチュという激しい音が響く中、上下の男達がガクガクと身体を震わせて力を失うと、彼女は喉の奥から愉悦に満ちた嬌声を長く上げた。それは仔犬の様なか細い啼き声であり、オットセイの様な野太い吠え声でもあった。
今まで野獣の唸り声だと思っていたもの、それがヨシカワの発していたものだと気付いたクリフは思わず両手で口元を覆う。
貪っていた男達が身体から離れてゆくと、彼女は自由になった尻をゆっくりと左右に揺すった。明らかに拒絶とは異なるこの行為に、急かされた次の男達がすぐさま彼女へ伸し掛かってゆく。重い肉のぶつかり合う音が再び響き始めると、画面の手前で尻を見せて立っていた男に頭を撫でられた彼女は、乳房の先端に吸い付いた男をぶら下げたまま彼の股間へ顔を寄せていった。急速に筋張ってゆく男の尻の向こうで、彼女の頭が激しく前後に揺さぶられ始める。
クリフは涙した。この時、大切にしていた敬愛する女性が徹底的に汚され、自ら狂気に身を委ねている姿を目にした彼の双眸からは滔々と涙が流れ落ちた。
とても拷問だとは思えない――今のクリフにはまったく理解出来ない映像がこの後も延々と続いてゆく。
◇ ◇ ◇
ノートPCのスピーカーからはずっと喧騒の音が続いていたが、無操作が続いたせいでしばらく前から画面は消えていた。鼻を鳴らしたベルンバッハは、暗くなった画面をしゃくり上げながら見つめ続けるクリフへニタリとした笑顔を向ける。
「ほうら、彼女が彼らを受け入れている姿が見えただろう? あれこそが完全なる征服だよ。私達の手に掛かればどんな女でも最後にはああなるんだ」
部屋を満たしていたあの時の雰囲気を思い出したベルンバッハがうっとりとした表情で語る。
「そう、あの女の心と身体はもう私のもの。私が命令すればいつだってどこだって下着を脱いで生尻を差し出すよう調教を済ませてあるんだ。ああ、彼女を個人秘書にしてオフィスで飼う日が今から待ち遠しい」
――デスクの下に潜む四つん這いの彼女が高く掲げた白く大きな尻へ、浅く座った椅子ごと深くデスクへ身を入れて突き入れる自分の姿。入室してきた何も知らない女性補佐官が、椅子の軋む音と繰り返し聞こえる粘着音を耳にし、そこで行われている恥ずかしい行為に気付いて顔を真赤に染める――
そんな光景を想像したベルンバッハは生唾を飲み込みながら、チラリとクリフの表情を窺った。
「はてさて、近い将来の話はさておき、彼女がこのあと実際にどうなったのか。君だってこの動画の完全版を見たいだろう? 見たいよねぇ? しかし残念ながらまだ編集が終わってないんだ。なにしろ20人と2匹掛かりで都合30周から40周、朝日が昇るころになるまで一晩中責め立ててやったんだ、見処だけで相当な長さだ。動画編集は私の個人的な知り合いの政府広報担当官に任せているんだが、彼も作業中に思わず興奮してしまって編集がさっぱり進まんらしいのだよ」
そう言って笑顔で立ち上がったベルンバッハは、突き出した腰の前で握った右手を素早く上下に振った。しかしクリフにはその意味すら理解出来ない。
そんなクリフの様子に不満顔を向けたベルンバッハは、小さく舌打ちすると椅子に座り直した。
「もう笑ってしまうよ。その編集の彼もね、『同様の動画を撮影をするにあたってはもう素人には任せておけない。視聴者の心を打つ映像の作成を心掛けるため、今後カメラは自分に持たせて下さい』などと言い出す始末なんだよ。ハハッ! その魂胆、見え見えだよねぇ!」
クリフが憮然とした表情でジロりとベルンバッハを見上げる。彼はようやく反応したクリフに口角を上げた。
「まぁ断る理由も無かった。『次に彼女を使う時には必ず君も同席させる』と約束していたので、実は今回一緒にブリグストウに連れて来ている。しかし彼女が居ないのは残念だ。今夜また皆であの素敵な身体を味わえると思っていたのに」
無言を続けるクリフに、ベルンバッハは再びデスクに両手を突いてクリフの方へ身を乗り出す。
「どうだね? ニナ・バレンツ……、いやマキノ・ヨシオカだったか、まあ名前なんてのはどうだっていい。何も知らない君よりも、私の方があの女をより上手く扱えるんだ。君がこのまま持っていても宝の持ち腐れと言うものだよ。
うん、それで? あんな恥知らずに快楽を貪る彼女の姿を見たあとの感想は? 憎いだろう? 憎いよねぇ? モルガンには要らんだろう、あんなふしだらな女は。君達が国境で命を掛けて戦っている間、あの女は私らとずっとあんな淫らな行為に耽っていてたんだよ。どうだい? 私にくれる気になったかい?」
その問い掛けに、クリフは目を閉じて静かに息を吐いた。
「わかった。ニナの処遇をどうするかは考えさせて欲しい。貴方への連絡はその後になるが構わないだろうか?」
意外と冷静な様子に戻ったクリフに、何かタイミングを逸した気分になったベルンバッハは舌打ちで応じた。
「いいだろう。私はブリグストウ市内のホテルに3日ほど滞在する予定になっている。返答はその間にで良い。しかしね、あの動画の完全版を目にする機会があれば、如何な君と言えど検討の余地など無い事に気付くだろう。一時の判断ミスが後の後悔に繋がらん事を祈るよ」
そう言って椅子から立ち上がったベルンバッハは「見送りは結構」と言うと、クリフの方を一瞥もせず振り返りもせず、別れの挨拶もしないままに応接室を後にした。
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羽山一明
あの時の傷が、彼女が自身に抱く価値になっているのなら、皮肉どころじゃないですね。それを見届けていたルイスが、彼女を受け入れることも手放すことも拒む理由が、なんとなくわかる気がします。その上で受け入れてあげてほしいなあ、と思うばかりですが……。
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羽山一明
2022年2月28日 7時59分
うさみしん
2022年3月1日 5時31分
ルイス自身、過去に虐待を受けた女を口説く事が出来ないのです。あの夜本人に「弱ってる女相手に酷いこと言うんですね」と刺されたのも気になってるみたいです押忍。
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うさみしん
2022年3月1日 5時31分
特攻君
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特攻君
2022年3月25日 11時53分
うさみしん
2022年3月26日 5時47分
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うさみしん
2022年3月26日 5時47分
ノイ
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ノイ
2022年2月25日 22時05分
うさみしん
2022年2月26日 5時34分
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うさみしん
2022年2月26日 5時34分
高橋正臣
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高橋正臣
2020年5月22日 7時34分
うさみしん
2020年5月22日 8時43分
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うさみしん
2020年5月22日 8時43分
未季央
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未季央
2020年12月20日 11時12分
うさみしん
2020年12月20日 18時44分
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うさみしん
2020年12月20日 18時44分
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