初チョコ・初レター・初尻

 これは僕が実際に体験したBL話です。  タイトルでエッ!?と思った方もいるかもしれませんが、僕自身はノーマルであるため露骨なエロに発展することはありません。そして、実話を淡々と書いていくだけなので、話としては面白くないかもしれません。その点ご容赦ください。また、登場人物の名前は仮名です。 *****  僕は昔から男に好かれました。  3歳の頃、家族で行ったキャンプ地で男に連れ去られそうになりました。小6の頃、またもキャンプ地で男に執拗についてくるように言われ断ったら頭を殴られました。いわゆる変質者です。子どもの頃の変質者体験は誰でもあると思うのでこれらは割愛します。  小学校、中学校、どの学年、クラスになっても最低1人は僕に異様に執着してくる男子がいました。いつも僕の傍にいようとする、僕が別の誰かと話していると嫉妬する、僕と同じ物を揃えようとする、僕の匂いを嗅ぎたがる,etc.  しかし、これらは「思い返せば」です。僕が後にBL体験を本格的にしていって、そういえばあの頃もそうだったのかもと過去の思い出を色眼鏡で見てしまっているだけで実際は微笑ましい友情だったのかもしれません。    僕の初チョコ、つまりバレンタインデーにもらう特別な初めてのチョコレートは小学校の頃です。  相手は確か、近所の20代から30代の男性でした。曖昧なのは彼と面識がなかったからです。家族によれば、彼が訪ねてきて僕宛てに、と包みを置いていったそうです。開けてみるとチョコレート。そして「I love you」の文字。しかし、そのメッセージはパッケージに元々あったものなのか、彼が意図的に残したメッセージなのか分かりません。  家族がそれを処分して僕は現物を見ることもありませんでした。色恋話に抵抗があった当時、たとえ相手が男性であったとしても家族とそんな話をすることはできませんでした。彼の詳細も彼の意図も闇の中です。 *****  高校の頃は小中のように特定の男子に執着されることはありませんでした。でも僕がBL疑惑を持っているこんなエピソードがあります。  僕は普段は高校に自転車で登下校しているのですが、冬の間は、登校は車、下校は歩きでした。歩くと1時間半はかかる長い道のりですが運動不足解消のため歩いていました。  僕がいつものように帰ろうとすると、野球部の小田が話しかけてきました。 「お前、家遠いのに歩いて帰ってるの? 俺も歩いて帰ろうかな」  彼はバリバリの運動部でしたが、冬季は思うように身体が動かせず運動不足に悩んでいたようです。  そして、おもむろに僕の尻を触ってきました。 「結構硬いな。やっぱ歩いてるからか」  ちょっと触る時間が長くて丁寧だなと思いました。それで記憶に残っています。  しかし、これも「思い返せば」です。純粋に私の筋肉の付き方を調べたかっただけなのかもしれません。もしくは、男子のそういうノリだったのかもしれません。  高校まではBL、そして男が男を好きになるという文化、習慣、性癖の存在を知ってはいてもそれが我が身に関わってくるとは夢にも思いませんでした。 *****  大学入学を機に僕は親元を離れて1人暮らしを始めました。  入学早々、まだ十代の僕の前に現れたのがシンタさんです。シンタさんとの出会いと別れは「最悪な一言から始まる恋」に詳しく書いています。  僕の中で、シンタさんの前にBLなし、シンタさんの後にBLなしと言われています。それだけ彼の存在は僕のBL観に大きな影響を与えました。ちなみに初レター、つまり初ラブレターはシンタさんから貰いました。紙ではなく電子でしたが。というか、ラブレターを貰ったのはこれっきりです。  シンタさんによってBLの存在を深く刻み込まれた僕は、BLに目ざとく気づくようになりました。  あの人はそう、あの人は違う、あの人はそう見えて違う、あの人はそう見えてそのままそうというのがちょっと話しただけで分かるようになりました。そして、それは結構当たるのです。 *****  大学であるキャンプに参加した時のこと。そこには学生の他、社会人も参加していました。また、キャンプ……。  ある笛好きな40代くらいの男性、柴田さんがいました。笛好きはそのままの意味です。趣味で笛を作っていてキャンプにも自作の笛を持って来ていました。性格がちょっと変わっていて他の参加者からは距離を置かれていた気がします。  僕は昔も今も変人が好きなので、積極的に近づいていき柴田さんの仕事の話や笛話を聞いていました。最初は気づきませんでしたが、少し話して彼はそうだと僕の直感が言っています。  僕はシンタさんによってBL耐性を付けられていたので動じません。それどころか話のネタになるかもとウキウキでした。  キャンプも大詰め。ロマンティックなキャンプファイヤー。恋する者たちにとって愛を伝える瞬間。柴田さんも同じように考えたようです。  気持ちに応えることはできませんが、乙女のように頬を染め、目を潤ませる柴田さんを優しく抱きしめてあげるくらいの包容力は僕にもありました。 *****  アメリカに留学していた時のこと。アイスクリーム屋で、同じく日本からの留学生、西君にトイレに着いてきてほしいと言われました。  僕の直感では西君は、そう見えて違うタイプ、つまり、誤解されやすいもののノーマルタイプ、BLとは縁のないタイプ。  安心してついて行くと、独特なアメリカントイレの使い方がわからないと。西君はそんなうっかりさんな一面を持っている子だったのです。僕が説明していると、西君は留学あるあるの悩みを吐露(とろ)してきました。もしかすると、トイレの使い方が分からないは方便だったのかもしれません。  まあよくある悩みを聞くだけ聞いて他の学生たちの元に戻ると――。  僕たちはトイレで2人きりのムフフな時間を過ごしていたことにされていました。彼がそう見えて違うタイプだということは、つまり一般人にはそう見えるということ。盲点でした。  とはいえ、BLが~というよりはピエロのようにからかわれる感じでした。アメリカにはBLを愛でる文化って育ってないんだなと学んだ瞬間です。   *****  そろそろ初尻の話をしなければいけませんね。  初尻と言っても、冒頭で断ったように濃厚な話ではありません。  あれは社会人になってからです。    ある年のお正月。僕はある神社に友人と初詣に来ていました。人は多く行列ができていました。友人が前、僕が後ろで列に並びます。  しばらく経つと、後ろから圧がかけられていることに気づきました。押されてはないんですがやけに距離が近いというか。正月からトラブルになるのは嫌なのでスルーです。  しばらくすると、ちょいちょい体に当たってきます。ちらっと見ると自分たちと同年代くらいの男性。僕の直感は……そう見えてそのままそう。  ぶつかってくるような感じで尻を触ってきます。ただとても微妙な感じなので注意するまでもない、正月の僕は寛容でした。  まあ尻はよく触られるのですが、高校の小田君、そして大学の時の長嶋先輩。長嶋先輩は会うたびに僕の尻を長時間揉んでくる人でした。もちろん、男です。  なので、別に僕の尻はそんなに初心(うぶ)じゃなかったんですが、痴漢は初めてでした。それに正月。ダブルの意味で初尻というわけです。 *****  他にもエピソードはたくさんあります。オランダで男が僕の彼女をナンパしに来たかと思えば僕を口説いていた、タイでお坊さんに口説かれ個室について行ったら仏像の前でエロいことをしようとしてきた、夜道を歩いていたら車が停まって男がナンパしてきた、飲みの席の罰ゲームで軽いキスでいいのに先輩が舌を入れてきた,etc.  銭湯や温泉で覗き込まれたり話しかけられたりは日常茶飯事。キリがないのでこの辺にしておきましょう。全部書いていたら年が明けてしまいます。  僕の自意識過剰もあるかもしれません。しかし、これだけのエピソードがあれば僕はリアルBL神を自称しても差し支えないのではないでしょうか。   どんだけお前はイケメンなんだよと思われるかもしれません。もしくはゴリゴリな感じなのかと。客観的に見て僕は普通の容姿。中肉中背。ザ・普通。よく知り合いにいる、あのグループにいそうと言われるタイプ。  僕のBLレーダーで自分自身を判断すると、見る人によってはそう見えるかもしれないがそうではない、という結果。  なんでしょうね。そういう星の下に生まれてきたと思うしかありません。来年はBLに縁がありませんようにとBL界王神にお願いしておきます。 

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  • 猫

    みどり茶緑ちゃ

    ♡1,000pt 2021年1月5日 12時31分

    彼女じゃなくて自分がナンパされるとか!もう、笑う、笑うしかない。期待通り!割愛された話を詳しく、是非っ!気が向かれたら、お願いします~ぅ(笑)因みに自分は現役を離れてしまい、レーダーが鈍くなりましたが、同人活動しているときは仲間を見分けることができました。不思議。

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    みどり茶緑ちゃ

    2021年1月5日 12時31分

    猫
  • くのいち

    爪毛

    2021年1月5日 18時13分

    彼女は現地人かつ僕はオランダ語を知らなかったので、彼女に積極的に話しかけていたのでそのように解釈してしまいました。男性と別れた後にそのことを聞かされて……。もしまた機会があれば割愛したエピソードはBL供養としてお披露目するかもしれません(笑)

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    爪毛

    2021年1月5日 18時13分

    くのいち
  • ノベラひよこ

    紫雀

    ♡500pt 2021年1月20日 9時08分

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    これは興味深い

    紫雀

    2021年1月20日 9時08分

    ノベラひよこ
  • くのいち

    爪毛

    2021年1月20日 12時22分

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    ありがとうです

    爪毛

    2021年1月20日 12時22分

    くのいち
  • くのいち

    ノア・レザン

    ♡500pt 2021年1月1日 20時44分

    尻を揉ませ続け、抱擁する包容力。激しく拒絶して蔑みの目で見る事をしない貴方に一抹の期待を抱くのでしょう、か?同級生の執着のリアルエピ知りてー。他のBL風な実体験の数々を今度BLフェアが有る時は是非書いて下さい。どんな風に感じたかも知りたい。BLネタの宝庫。ある意味貴方はBL神!

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    ノア・レザン

    2021年1月1日 20時44分

    くのいち
  • くのいち

    爪毛

    2021年1月2日 0時00分

    僕の人生のテーマが人類讃歌だからでしょうか(大嘘)。自分が弱い人間なので少数派に共感しているのかもしれません。駆け足で思いつく限りのエピソードを羅列しましたが、それぞれ含ませることはできますね(笑)。でもこれ以上BL書くと鼻血が出てきそう。

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    爪毛

    2021年1月2日 0時00分

    くのいち
  • ひよこ剣士

    品田回昌

    ♡500pt 2021年1月1日 10時25分

    私はBLと無縁の人生を歩んで来たので、やはり爪毛さんには普通の男には無い魅力があるのではないでしょうか。あちらの趣味の方は同類を見抜く嗅覚が鋭く、ノンケに無理強いすることはほぼ無いらしいですが、それだけにノンケに対して多くを望まないソフト(?)な愛情表現が微笑ましく映ります。

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    品田回昌

    2021年1月1日 10時25分

    ひよこ剣士
  • くのいち

    爪毛

    2021年1月1日 13時40分

    中村中の「友達の詩」をBGMに聞こえてくるようなコメント、ありがとうございます。応えてあげることはできなくても抱きしめてあげたくなります。

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    爪毛

    2021年1月1日 13時40分

    くのいち
  • ステラ

    海産物こと東雲いづる

    ♡100pt 2021年1月4日 21時27分

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    海産物こと東雲いづる

    2021年1月4日 21時27分

    ステラ
  • くのいち

    爪毛

    2021年1月4日 23時44分

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    2021年1月4日 23時44分

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