イチャイチャ☆百合っ娘ロボ 〜怪獣VS巨大ロボッ娘〜

読了目安時間:9分

エピソード:2 / 42

 自宅にムカデがたくさん現れて怖い、ムカデンダーはあんなにカッコいいのに

「出撃!防衛軍 対 巨大怪獣」

a. 溶けゆく街  ギグァアアアアアアッ!! 唸り声をあげながら、巨大怪獣は暴れる。民家やコンビニを踏み潰し、時には尻尾と一体化した怪蟲が強酸を吐き出して。 怪獣は行く手を阻む鉄塔に酸を浴びせると、まるで綿あめの様に溶け始めた。 その際に滴った酸を浴びただけの自動車すら、熱湯をかけられた氷の如く消えてなくなったのだから、酸の威力は以前にも増して向上していることが分かる。  「なんてヤツなの!今までに発見された怪獣より遥かに大きく、何より強い!!」  聞き慣れないサイレンが鳴る街で怪獣が暴れ、市民たちが必死に逃げ惑う悪夢のような光景を、香燐は地下鉄入口から逃げることもせず必死に撮影する。 「計算してみたよ、寄生したトカゲの胃液と自分の酸を混合させて超強酸を製造してるみたい」  「あのデカムシも、怪獣の尻尾に過ぎなかったの!?」   香燐は蟲をズームしながら、右腕を地下鉄内に突っ込んでいる状態だったのだろうかと考えるが、違うよ、と少女は否定した。 「熱源反応は尻尾に集中してる」 「どういうこと?」 「爬虫類の尻尾以外の肉体には熱源反応ゼロなんだ、胃から蟲の部分にかけては例外だけどさ」 「死んでるってわけか、言われてみれば心無しか虚ろな目をしてるかもね」   今度は怪獣の目にズームしてみる、すると確かに目が虚ろな上に焦点も合っていない。 うげぇ、香燐は思わず不愉快な声を漏らした。 「さしずめ巨大蟲に寄生された怪獣のゾンビってところかしら」 「本当の眠りに誘ってあげなきゃ、放っておけばお姉様の命も危ないもん」 「駄目駄目、十分に撮影したし逃げるわよ。いくら人間じゃなくても、あんな巨大な生物に勝つなんて無理じゃない?」 「いや...あ、飛行機」   轟音と共に飛んできたのは、防衛軍の特殊戦闘機部隊。色合いやデザインは地味に見えるが、昔ながらの武器に加えて最新鋭の兵器も搭載された、数多の怪獣を葬ってきた勇士達である。 陸からは戦車連隊もやってきた、彼らもまた見た目こそ無難でありながら、熱線砲や超高圧雷撃弾等の兵器を備えた頼れる奴らだ。 「防衛軍きた!これで勝ったも同然ね!!」 「地球より遥かに優れた科学力で製造された私から見ても侮れない戦闘力を秘めた機械達だけど、侮れないのは怪獣も同じだよ」 「まあまあ、大人しく見ときなさいよ、防衛軍の勇姿を!!」       防衛軍は数多の怪獣や侵略者を撃退してきた、市民からの信頼も厚く、これまでに幾つか取材をしたことがある香燐もそれは例外ではない。 「駄目です、許可できません!」 「ひゃっ!」   香燐は気迫ある声に驚いて、カメラを落とした。拾い上げる際に、防衛軍の隊員に支給される長靴が目に入る。 声をかけてきたのは一般隊員だ。彼らの仕事は怪獣と戦うだけではない、警察らと共に避難誘導にあたることも立派な任務なのだ。   「あの!よろしければ密着取材を...」 「お断りします、さ、避難を!!」 「ですよねぇ...」   隊員と一緒に、香燐と少女は避難所に指定された大学へ。 今までの経験が活かされたことで避難誘導は迅速に行われ、避難完了時点での犠牲者数は上層部の予想を遥かに下回った。 b. 怪獣アルドムVS防衛軍 「”アルドムと呼称された怪獣の頭上に、焼夷弾を投下せよ“」 「“了解”」   防衛軍は怪獣の焼死を狙い、頭上から焼夷弾を二十ほど投下。5000度に及ぶ高熱火炎が瞬く間にアルドムの全身を包み込み、苦悶の声を上げさせた。 「“油断はするなよ、基本的に怪獣はこの程度じゃ倒せないからな”」 「“ええ、防衛手段を持っている可能性が高いですからね”」 「“それって、あんな風にっすか先輩方”!」  炎に包まれた怪獣のあらゆる箇所から、酸が噴き出し始めた。酸を浴びた炎もまた、蝋燭に灯る火が強風に攫われるが如く、一瞬にして消えてしまった。 「“あの酸には鎮火作用まであるというのか”」  ギグァア...! 火を消したアルドムは、防衛軍の戦闘機を睨みつけ、口を開いた。 攻撃を受けながらの行動であったので、口にミサイルやロケット弾が侵入するも、胃酸により溶かしてしまうので問題はない。 「“畜生ォ、体内への攻撃を物ともしないなんて!”」 「“頭部に攻撃を集中させろ!”」     仲間を攻撃させない! 戦車連隊は超高圧雷撃弾をアルドムの頭部目掛けて発射する。さしものアルドムも雷を内包したも同然の弾丸を頭部に受けては、ただでは済まないはずだと信じて。  ズドンッ、ガガガッ!!     弾は見事に命中し、複数の雷撃に顔面は抉られたアルドムだったが、全く動じない。 「“おい、効いてないぞ!?”」 「“痛がる素振りくらい見せたらどうだ、怪獣たって生物だろ?”」 「“焼夷弾には苦しんでいたが...そうか、わかったぞ、アルドムの本体は...!!”」  ギィイヒッギッギッ、怪蟲が嘲笑うかのような鳴き声を発すると、戦車に向かってお返しだと言わんばかりに尻尾の口から電撃を発射した。 うわぁああああああっ! 従来のモノを遥かに超越する頑丈さを誇る戦車たちも、電撃の前に次々と木っ端微塵になってゆく。 「“酸の攻撃が来るぞ、シールドを展開しろ。これを防いだらあの蟲の様な部位を攻撃だ”」 「“よっしゃ、了解っす!”」     戦車に劣る頑丈さのカバーの為に搭載されたのが、特殊シールドだ。これさえあればミサイルや火山弾だけでなく、怪獣に叩かれても平気だった。 ギグァアアアアア。遂に爬虫類の口から、超強酸光線が発射された。アルドムは超強酸光線を吐きながら頭を左右に振り、空中でシールドを張って停止している戦闘機全てに浴びせる。 「“なに...“」  アルドムの超強酸を浴びた特殊シールドが、悲鳴を上げる。そして次は機体、脱出しようとしても、一滴でも酸を浴びれば終わり、もはや生還は不可能となった。 「“どうやら我々もここまでか”」 「“人間の力を遥かに超えた怪獣たちを相手に、ここまで生き延びたなら、上々っすよね?”」 「“ああ、よくやっ仲間たちよ、あとは任せたぞ“」  ギグアアアアアッ。今まで幾多の戦いを制してきた隊員達が、愛機ごと溶けて亡くなったのを見届けたアルドムは、廃墟と化した街で勝利の雄叫びをあげた。 c. 怪蟲VS怪鳥    今まで数多の怪獣を倒してきた防衛軍も、アルドムの前に壊滅状態へ追い込まれてしまう。想定外の事態を受けた防衛軍は、国際センターにて緊急会議を開いた。   「和水隊長の通信により、蟲の様な部位が本体だと判明したが、そこを狙っても雷撃や強酸を発射してくる」 「焼夷弾も酸の前じゃ無力ときている、どうすれば」 「ううん、アメリカ支部から援軍を送っては貰えないだろうか?」  日本支部の上野目参謀に言われて、アメリカ支部のアダムスキー参謀は、一層渋い顔をした。 「我々も頷きたいのは山々だが、ここのところ、アルドム程ではないにしろ手強い怪獣との戦いが続いている、無駄な死者を出すだけだろうね」 「私たちフランス支部も、いざというとき、国内に現れた怪獣を迎え撃つ者が居なくなると困りますからな」 「しかし、ここで倒さねば、いずれは!」  今も怪獣は暴れている、焦りに苛まれながら会議が続けられるなか、更なる災厄の報せが来た。    「緊急入電!!阿蘇山の噴火口から、巨大な影が飛び立つのが確認されました!!」 「なんだと!?」  「いよいよ神は人類を滅ぼすつもりなのか」 「それで、その、影はエリア389ポイント64、アルドムが出現した街へ向かっています!」      影の飛行速度は尋常ではなく、阿蘇山から現れて三十分もかけずに、アルドムの背後に建っているホテルの残骸に降り立った。   ギグァ。破壊を続けていたアルドムの歩みが止まる。察知したのだ、阿蘇山から現れた巨大怪鳥・アイオロードの気配を。 ギグアアアッ。アルドムは超強酸光線を吐き出しつつ体を半回転させ、アイオロードが降り立っていたホテルを溶かした。 ギピピピピッ。足場を消滅させられたアイオロードの顔面に、怪蟲尻尾が叩き付けられる。尻尾攻撃で吹き飛ばされたアイオロードは、瓦礫の山に頭から突っ込んでいく。 「嘘でしょ、怪獣がもう一匹現れるなんて」 「もう私達は終わりなんだ、親孝行しとけばよかった」   双方巨大故に、怪獣対決の様子は避難場所の大学からでも見えている。 多人数の一般隊員が警護しているとはいえ、怪獣が視認できる場所に避難していて大丈夫なのかという不安が市民を襲う。 「一体どっちが勝つのかしら」 「勝った方と戦わなきゃいけないから、私的には相討ちになってくれたら嬉しいな」 「だから戦うって言っても大きさ的にキツイってば」  香燐と少女は大学の外、街を一望できる丘の上から、怪獣対決を眺めていた。   門ではしっかり隊員が見張っていたが少女は香燐を背負い、足裏からジェット噴射し、空から抜け出したのである。  香燐はより見易い場所で怪獣達を撮影するため、少女は彼女を守る為に。    「あっ!」   ギグァアアア。瓦礫の山に倒れるアイオロードの首に、アルドムは爬虫類の方の頭で噛み付いて、半ば強制的に立ち上がらせた。 「勝負あり、怪獣同士の闘いに決着の瞬間だわ!!」   首に噛み付いた状態のまま、尻尾と一体化した怪蟲がアイオロードの腹部に飛びついて凶悪な口を接触させる。 次に超強酸光線が吐き出された瞬間、勝負は決まった。 ギピピピピッ、ピピピッ。アイオロードは勝利の声をあげながら、仰向けに倒れた巨大爬虫類の尻尾から分離し、そそくさと逃げようとする怪蟲を脚の爪で抑え込んだ。 「なんでデカい鳥の方が勝ったわけ!?」 「アルドムが超強酸光線を発射した瞬間、確かにアイオロードの腹部は溶かされて穴が空いた」  人間の視力では確認できないことも、機械である少女の眼では遠距離まで視認でき、体内を透視することも可能なのだ。 「なら体内に強酸が流れてアルドムの勝ちじゃないの?」 「ヤツも自分の勝利を確認したはずだよ、穴から強風が吹いて酸を押し戻されるまでは」 「体内にあった自分の酸で死ぬの?」 「あの怪鳥は自分の血も一緒に押し戻した。酸を上回る、強力な毒性を持った血を」 「情報提供、感謝。攻撃して出血させれば、それはそれで不味いわけね」  少女の解説に納得しつつ、香燐は甚大な被害を出した怪蟲が鋭い嘴で無残にも捕食されている様を撮影する。 「お姉さま、怪蟲の次にあいつが食べるのは人間だよ、だから押して欲しいの」  そう言って少女は背を向けた。  「なにを押せって?」 「これ!」  小さな背中が、パカッと開いた。今更驚くことはないにしろ、そこには巨大なボタンがあるだけなのは意外だった。 コードが絡みあい、ギッシリと精密機器が詰まっているのを想像していたから、香燐はすっかり拍子抜けしてしまう。 「思ってたよりシンプルね、これ押したらどうなるのよ、爆発したりする?」 「怪獣がいなくなるよ」   防衛軍も歯が立たない怪獣を倒す程の怪獣、放っておけば人類を滅ぶすのは間違いない、こうなれば彼女の言葉を信じるしかない。 「骨...じゃないか、ネジは拾ってあげるから」 「あれ〜? お姉さま、私が怪獣を倒してくれるって信じてたから、呑気に写真撮影してたんじゃないの?」 「いやはやお恥ずかしいッ!!」  ぽちっ。香燐は躊躇い混じりにボタンを押したが、これでいったい何が起こると言うのだろうか... ... ...? つづく

怪獣が暴れるシーンや戦闘シーンは特撮作品のBGM聴きながら書くと楽しいです

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