今話登場怪獣
a.
ギギギィカカカ... !!猫鈴猫の身体的特徴を取り入れた銀色の怪獣メカフカは、両腕に開いた真っ黒な穴から、自身の肉体と同色のミサイルを連射する。
「させない!!」
基地の前に降り立ってすぐに、猫鈴猫は指先からミサイルを連射。蛇のようににょろにょろと曲がりくねった軌道を描きながら、両者の間でミサイル同士が激突。
周囲の木々や石などが吹き飛ぶ程度の爆発を起こした。
「やっぱり、両者の力は互角なの...?」
爆風の余波に耐えながら香燐が疑問を口にすると、背後から答えが返ってきた、“猫鈴猫くんが勝っているぞ“と。
「みなさん!」
香燐が振り向けばそこには、武器を手にした隊員とそれを率いるふたりの参謀が立っていた。
「この状態なら彼女が苦戦した時に直ぐに援護できる、本当は今すぐにしたいが約束も守らないといけないからな...と思って来てみれば、余計なお世話だったようだ」
巨大で頑強な腕を突き出し、ミサイルや銀色の破壊光線をこれでもかと放ちながら突進攻撃を仕掛けてくるメカフカ。
武器を短時間で使いすぎて弾切れを起こしたメカフカが間近まで迫ってくると、猫鈴猫は基地と自分を守るために展開していたシールドを解除して、ジェット噴射で宙へ浮く。
「やはり圧倒的だ、我々の出番はないな」
「どうしてあんなに強い子に、私を守る使命があるんだろ...」
ギギギギィカカカカッ!? がっしり、メカフカは頭上から腕を伸ばしてきた猫鈴猫に、銀色のミミズが密集しているかのような頭部を鷲掴みにされてしまった。
「このまま地獄に連れてってあげるから!」
猫鈴猫は頭を掴んだまま、高圧電流を流しながらメカフカを葬るための長距離飛行をスタートした。
「やはり彼女が圧倒している!」
「猫鈴猫のデータを模して怪獣になったようだけど、それは数十、数百秒も前のデータに過ぎないのよ!!」
“だけど私はこの瞬間もデータを更新中だもん“ 既に太陽の近くまでメカフカを運んできた猫鈴猫だが、香燐の声なら聞こえるお姉さまの声にならちゃんと答えられる。
「火葬直送だよっ!!」
メカフカは電流により衰弱しきって動けないが、まだ生命活動を停止しているわけでもない、猫鈴猫は太陽の引力圏内にメカフカを投げ入れる。
数十メートルもある物体ですら、太陽の凄まじい引力は離さない、逃さない、メカフカはあっという間に灼熱地獄へ引きずり込まれていった。
b.
「メカフカが倒された瞬間に、暴走していた機械が一斉に止まったとの報告があった」
「これから隊員が各地に飛んで機械を回収するが、おそらく死んだ虫たちが採取されるだろうね」
「ありがとう、山音長官にもやはり君が信頼の置ける存在だと伝えられるよ」
地球に帰還した猫鈴猫は、香燐ときゅっと手を繋いだ状態で参謀二名から感謝と報告を受ける。
「ありがとうは私のセリフだよ、防衛力強化のために私のデータを使っていいよ!お礼にさ!!」
「わかった。人類のみならず、君の助けになれるものを作り上げてみせよう」
固い握手を交わす猫鈴猫と新鷹参謀。真に地球外の友好的な仲間と地球防衛軍が絆を結んだ歴史的瞬間、にも関わらず、香燐はニヤニヤ、俗っぽい笑みを浮かべる。
「その代わりと言っては何ですけども〜」
「お姉さまったら、スカートめくりしたときの思春期学生みたいにニヤついて」
「もっとマシな例えないわけ?」
「あははは、取材くらい受けよう、寧ろ安い報酬な気もするがね」
上野目参謀と違ってずっと堅い表情だった、新鷹参謀が柔らかい顔をした。それに釣られたのか、オペレーターや隊員たちも明るい笑顔を浮かべる。
「やった!ありがとうございます!!さっそくスケジュールをですね...お暇な時間があれば...」
怪獣は倒れ、防衛軍は強化され、香燐は大きな仕事にありつけた。取り返しのつかない大きな不幸の先に待っていた幸せも、決して小さいものではないのだろう。
c.
寄生されたのは銀色の雨を浴びた機械だけで、室内の機械には何の異常も起こらなかった。
なので未だに正常に動く室内の扇風機の風を浴びていた香燐だが、突然あることを思い出して猫鈴猫を睨んだ。
「猫鈴猫、誰の口と酒癖が悪いですって?」
「いまさら〜? 誰だろ〜ね、私の大切な人とか、かな?」
「悪女になりそうな予感!」
キリッとキメ顔はかわいいし今回も頑張ってくれた、しかも仕事も手に入れられた。
なにより居なくならないでくれた、今もここに居てくれることが嬉しくて、香燐のしょうもない怒りはすぐにおさまった。
「ご褒美になるかわからないけどね」
そう言って香燐は顔を赤らめつつも、自分の膝をポンポンと叩く。
「お姉さま〜〜!!」
香燐の意図に気づくと、とてもご機嫌な様子で彼女の膝にダイブ。それこそ猫のように撫で回され続ける時間を過ごす猫鈴猫であった。
つづく
怪獣図鑑
5.機生ミクロ怪獣 アメカーバ
身長:0.05〜3センチ
体重:0.0056グラム
武器:機械に寄生して操る
殆どが金属で構成された体を持ち、銀色の雨と共に降ってくる、その姿はアシドムに似ている。
6.合体機獣マキマイラ
身長:65メートル
体重:7万トン
武器:頑強な体で物理攻撃
アメカーバが寄生した機械が合体して誕生した怪獣、本領を発揮する前に倒されてしまった。
7.救世機械模倣怪獣メカフカ
身長:52メートル
体重:7万トン
武器:銀色破壊光線、銀色ミサイル
猫鈴猫に寄生してデータを取得したアメカーバが、彼女の情報を元に変身した姿。見た目と能力は猫鈴猫の特徴をとらえ、怪獣らしくしたものだ。
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ワタル
ミサイル弾幕戦に、掴みながら電流でシャイニングフィンガーと、ロボアニメファンにはたまらない戦闘でしたね!防衛軍も戦後処理でいぶし銀の活躍が良いですし、ネリネちゃんとも同盟を結べて良かった!お姉様とのイチャイチャも、甘いだけでなく腐れ縁的な渋みがちょっとあるのもいいですね。
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ワタル
2021年7月8日 20時46分
百合豚怪獣キマシラス
2021年7月10日 1時20分
ポイントコメありがとうございます! マジか...そんなシーンあるんんですねえ、あまりロボアニメ分からないので無意識でした! 防衛軍にも活躍欲しいですからね 同盟を結ぼうか 出会ったばかりなのに、もう腐れ縁感出してますなあ〜
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百合豚怪獣キマシラス
2021年7月10日 1時20分
方舟みちる
ラストの香燐さんが猫鈴猫ちゃんを自分の膝に呼ぶシーン、尊みが溢れまくりでした…。今回の怪獣達は合体や寄生能力などを持つ厄介な相手でしたが、戦いを通して二人の絆が一気に深まった感じがしますね
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方舟みちる
2021年6月24日 21時06分
百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時30分
コメントポイントありがとうございます! 膝...百合的な意味でも聖域なのかもしれません。 怪獣にも注目していただきありがとうございます!強敵相手だとより結束も固くなるのかも
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百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時30分
方舟みちる
ビビッと
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2021年6月24日 20時46分
《“だけど私はこの瞬間もデータを更新中だもん“ 既に太陽の近くまでメカフカを運んできた猫鈴猫だが、香燐の声なら聞こえるお姉さまの声にならちゃんと答えられる。》にビビッとしました!
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方舟みちる
2021年6月24日 20時46分
百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時29分
※ 注意!この返信には
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百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時29分
方舟みちる
ビビッと
200pt
2021年6月24日 20時49分
《なにより居なくならないでくれた、今もここに居てくれることが嬉しくて、香燐のしょうもない怒りはすぐにおさまった。》にビビッとしました!
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方舟みちる
2021年6月24日 20時49分
百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時29分
※ 注意!この返信には
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百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時29分
方舟みちる
ビビッと
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2021年6月24日 20時47分
《固い握手を交わす猫鈴猫と新鷹参謀。真に地球外の友好的な仲間と地球防衛軍が絆を結んだ歴史的瞬間、にも関わらず、香燐はニヤニヤ、俗っぽい笑みを浮かべる。》にビビッとしました!
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方舟みちる
2021年6月24日 20時47分
百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時29分
また下品に笑っている!
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百合豚怪獣キマシラス
2021年6月24日 22時29分
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