a.
口から菌糸を伸ばし地面から地球と同化しようと企む、オニラドロン。胞子攻撃等により苦戦を強いられる防衛軍...そこへ猫鈴猫とイキシア二号、三号機が駆け付けた!
「“おっ...同じタイミングか”」
「“皆さん、怪獣の対処感謝します“」
「“いえ、MINTの方々が居てくださると心強い“」
MINT、防衛軍機、猫鈴猫の共闘だ、早速猛攻撃がオニラドロンに仕掛けられたぞ。
カサを防衛軍機のミサイルが狙い、それを撃墜する為に伸ばされた菌糸をイキシア三号がレーザーで焼き切り、二号が焼夷弾を命中させた。
「この調子なら猫鈴猫さんを助けに出る必要はないかもしれないわ」
「みんな強いよ〜!」
オニラドロンは燃え盛るカサを慌てて投げ捨てる、このままでは、森林火災を引き起こしてしまうので、消化液により炎の傘を鎮火する。
「よーし、私もがんばっ...うわっ...!」
右手をドリルに変形させ突進する猫鈴猫に対し、オニラドロンは全身から胞子を噴射、彼女の全身を包み込んだ。
「なにこ...れ...」
胞子に包まれた猫鈴猫の全身から、キノコが生えてきた、もう身動きを取れない。
「あっ、猫鈴猫ちゃん!」
「あんな機能停止の仕方は絶対嫌ですわ...」
「まだ死んだわけじゃないって」
外からは分からないが、恐ろしいことに、生えてきたキノコから菌糸が猫猫猫の人工知能を目指して伸びている、このままでは同化され操られてしまう。
「ストック、あんず、頼んだよ!」
「はい!」
「よしわさっさと倒し...ん?」
ストックとあんずが出撃しようとした時...猫鈴猫の全身に生えるキノコがジュウジュウと音を鳴らしながら、萎れ始めた。
「くそっ...やられて、たまるかぁああああああッ!!」
ウイルスに感染したとき人体が発熱するように、侵入した菌糸を排除するためのプログラムが動き、猫鈴猫の全身が発熱したのだ。
その熱に耐えきれず、菌糸は焼き切れ、キノコごと炎上し始めた、やがて猫鈴猫の全身が真っ赤な炎に包まれる。
「!!」
全身が燃えながらも突進してくる猫鈴猫に慄き、胞子や菌糸攻撃を試すも炎の前には灰と化すのみ、そして遂にはオニラドロン本体も焼き尽くされた。
「はぁ〜危ないところだった!」
消化液が投下されたことで森林火災は防がれ、地球との同化を目論んだオニラドロンも倒された、これにて一件落着である。
b.
「さあ、ご褒美に松茸のお吸い物よ」
お吸い物の入った茶碗が、ボロボロの卓袱台の上に並べられる。香ばしさと、ほわほわの湯気が、安モノながらも食欲を唆られる。
これが三百円で味わえるんだと喜ぶ香燐だったが、一方で猫鈴猫のテンションは低い。
「うぅ...キノコは懲り懲りだ...わたし別に食べなくて大丈夫だし!生憎メカなんで!!」
全身をキノコに蝕まれ、体内に菌糸を伸ばされるあの不快感は思い出したくない...猫鈴猫はキノコがトラウマになってしまったようだ。
「味覚の機能ついてるんでだから、食べないと勿体無いわよ」
「お姉様はあの怪獣と戦ってないから分かんないんだよ〜!」
「それはお疲れ様、ありがとね、はい飲む」
幸い猫鈴猫は口を開けている! この隙を突いて、香燐は半ば強引に、お吸い物を飲ませた。
「ちょっ...おねっ、さ...おいしい!」
「でしょ!毒キノコなんかじゃないから安心しなさい」
「は〜い」
秋の夜に、ちっさな秋の味覚を堪能する猫鈴猫と香燐であった。
「なんか面白いテレビ番組やってないかしら」
「あっ...!」
お風呂入る前に、香燐が食後にテレビをつけてみると...
「“熱愛発覚!樋見 愛知さんが一般人の女性とホテルに入っていくところをカメラに収めました!」
「あ...え...ええ...」
なんともいえない表情を浮かべ、リモコンを思わず落とす香燐の肩に、猫鈴猫はそっと右手を添えるのだった。
c.
「隊長...風邪ひきますよ」
凛憧隊員が、温かい缶コーヒーを、雪片隊長の頬に軽く当てる。ひゃっ...雪片は、思わず可愛らしい声をあげた。
「もう、凛憧隊員ったら、驚くじゃない」
「すみません、心配で...」
雪片はベランダでひとり、寒い風が吹くなか、夜空を見上げていた。このままでは風邪を引いてしまいそうだから、凛憧隊員は声をかけたのだ。
「いいえ、ありがとう凛憧さん」
「あのっ、そのっ、はい...」
「保篠隊員のことを思い出していたの、流石に今回は堪えたわ」
「私はどうしたら、隊長の心を癒せますか?」
ストレートな問いにも、雪片は缶コーヒーを飲みながら、返答を考える。凛憧は顔を真っ赤にして俯き、もじもじ、落ち着かない様子。
「なあんか、こんなシチュエーションが前にもあったような?」
「猫鈴猫さんと香燐さん、あのふたりね」
「つまり隊長と凛憧隊員も...」
いじらしい凛憧の姿に、実はこっそり陰から二人の様子を見ていたストックと葵隊員は思わずニヤニヤしてしまう。
「そうねぇ、私と一緒にお掃除してくれる?」
「はいっ!」
「缶コーヒーといい、ありがとう...その前に、覗き見してる悪い子たちに説教させてね」
「仕方ない人達です...」
「あはは、ごめんなさい〜!」
満面の笑みに恐怖し、震えながら出てくるストックと葵隊員と凛憧隊員の横顔を見て雪片は思った。
頼もしく、賑やかで、優しく勇敢、こんなに素敵な仲間達がいる限り、どんなに辛い任務も乗り越え、隊長でいられると。
つづく
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方舟みちる
今回10話はMINTの皆にスポットを当てたエピソードでしたね。怪獣のキノコに寄生される猫鈴猫ちゃん想像したらちょっとえっ…ではなく、バーニング猫鈴猫ちゃん強すぎる…。最後の雪片隊長と凛憧隊員のやり取り、ストックちゃんと葵隊員のように見守っていたくなりますね。
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方舟みちる
2022年1月26日 14時27分
百合豚怪獣キマシラス
2022年1月26日 16時47分
そうなんですよ、そういう回もないと今後に色々影響ありそうですからね! いいすよ、もっと想像してくださいな〜 バーニング猫は炎属性ですね、間違いなく 百合百合しているのでした
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百合豚怪獣キマシラス
2022年1月26日 16時47分
ワタル
コメント途中送信しちゃったんで続きです。バトルが熱血だろうと森林保護で火事を防ぐのは流石ですわ。キノコでトラウマ背負っちゃったネリネちゃんのイラスト可愛い!けどお姉様はちゃんと食べさせてあげるのに愛を感じます。ラストでカップル成立しつつMINT全体の結束もつよまってるのいいですね
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ワタル
2022年2月2日 2時05分
百合豚怪獣キマシラス
2022年2月2日 2時59分
わざわざありがとうございます〜(T_T) バトルは熱く。森を焼いたら色々まずいのです ありがとうございます〜キノコは怖いですからね 好き嫌いは良くないですからね!! 百合度ましましいたけです!!
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百合豚怪獣キマシラス
2022年2月2日 2時59分
ワタル
ロボものといえば熱血!胞子も粘菌も熱さがあれば打ち勝てるのだ!!
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ワタル
2022年2月2日 2時01分
百合豚怪獣キマシラス
2022年2月2日 2時57分
となると主題歌に必殺技名やキャラの名前が!? そんなものない
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百合豚怪獣キマシラス
2022年2月2日 2時57分
ワタル
ビビッと
500pt
2022年2月2日 2時00分
《頼もしく、賑やかで、優しく勇敢、こんなに素敵な仲間達がいる限り、どんなに辛い任務も乗り越え、隊長でいられると。》にビビッとしました!
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ワタル
2022年2月2日 2時00分
百合豚怪獣キマシラス
2022年2月2日 2時57分
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百合豚怪獣キマシラス
2022年2月2日 2時57分
方舟みちる
ビビッと
200pt
2022年1月26日 14時19分
《ストレートな問いにも、雪片は缶コーヒーを飲みながら、返答を考える。凛憧は顔を真っ赤にして俯き、もじもじ、落ち着かない様子。》にビビッとしました!
※ 注意!このコメントには
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方舟みちる
2022年1月26日 14時19分
百合豚怪獣キマシラス
2022年1月26日 16時45分
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百合豚怪獣キマシラス
2022年1月26日 16時45分
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