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【禍神】

読了目安時間:2分

禍神

01

彼は(かわ)誰時(たれどき)濃霧(のうむ)の中を歩いていた。 細かい霧が息を吸うたび雨の匂いを口に(ふく)ませる。 いつから歩いているのか、 いつから自分がここに存在するのか、 何も思い出せない。 何もわからないが本能に誘われるように、 ただただその濃霧(のうむ)の中を歩き進んでいた。 ただ夢浮橋(ゆめうきはし)(夢の中のあやうい通い路)の中を、 さ迷っている(よう)な奇妙な浮遊感(ふゆうかん)に包まれていた。 そんななか唐突(とうとつ)に、 遠い昔どこかで聞いた童歌(わらべうた)が聴こえてきた。 (かご)の中の鳥を(もてあそぶ)童歌(わらべうた)が。 「か~ご~め か~ご~め」 「か~ご~の な~か~の と~りぃ~わ~」 「い~つ い~つ でやぁ~う」 「夜明けの晩に、  つ~ると か~めが す~べった  うしろのしょうめん だぁ~れ 」 連綿(れんめん)()がれる童歌は、 どこか不思議で(なつ)かしく、もの悲しかった。 そして不可解で不気味だった。 童歌(わらべうた)とは言葉だけで伝承され、 原文が存在しない。 存在しないからこそ、その意味は広い。 そして古来には、現代では失われた発音があった。 例えば歌詞のいついつの部分のい。 古来にはゐと言う発音があり、 現代とは明確に発音が違っていた。 ゐは、いで習う古語だが、厳密(げんみつ)には(い)ではない。 ゐ=うぃである。 同じように(ゆぇ)と言う発音などがあるが、 現代化と共にこうした統一された言葉は多い。 (やしろ)は元々は、うぃやしろであり、 屋代(やしろ)とは明確に発音が違う。 こうした言語の統一は、 それまで別の発音だった言葉の多くを混合させ、 日常会話を混乱させる要因になった。 (たと)えばかんしょうと言う言葉を例にあげると。 感傷、干渉、鑑賞、観賞、完勝、環礁、感賞 などがある。 まだあるがそういった同じ発音も、 昔は別々の発音で話されていた。 そういった意味でこのかごめ唄を聞くとき、 その意味の(はば)は広がる。 いついつでやぁうは、うぃつ、うぃつ でやぁうかも知れない。 もしこう歌っていたとしても、 現代の子供は、いついつに置き換えるだろう。 なぜならウィと言う発音を習ってないからだ。 仮に手主(てっしゅ)と言う言葉があるとして、 それを聞いたとしても、 ティッシュと混合する事は無いだろう。 だがある日、 日本政府がティをてに統一すると決めたとする。 途端(とたん)にティッシュはテッシュになり、 手主(てっしゅ)と言う言葉と区別出来なくなる。 現に古来日本では、 てぃと言う発音もあったような痕跡(こんせき)があるが、 現代の日本語からは除外されている。 そう言った事を考慮すれば、 いついつであうは、何時(いつ)かも知れないし、 うぃつかも知れない。 そう言った意味でこのかごめ唄をとらえる時、 何か歌詞に秘められた、 メッセージのようなものを感じる。 例えばかごめのかごだけでも、 いくつかの意味が考えられる。 籠? 加護? 過後? 加護女(かごめ)籠女(かごめ)籠目(かごめ)(★六つ目()み)? 六芒星? そんな事を考えながら歩いていると、 前方から(ふたた)びかごめ唄が聴こえてきた。

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