シブヤのサンゾク

読了目安時間:10分

代筆屋の恋愛論

 チハヤとシカはタクシーを乗り込み、ドウゲン坂を下った。109の前で停まると邪魔になりそうだったので、少し手間で停車した。シブヤのスクランブル交差点は、多く人が行き交っている。 「シブヤはニホン有数の都市といわれているのは本当か?」 「そうだね。地方の学生が都会で遊びたいと思ったら、真っ先に思い浮かぶのがシブヤなんじゃない?」 「そうか。ワシが生きていた頃は、坂の多い田舎道と言われていたからな」  そうして、目の前にあるピンクの看板のビルを見上げた。チハヤの表情はこわばっている。 「……本当にマルキューの()に突っ込むわけ?」 「そうだ、間違いない。その昔な、ここに『代筆屋』があった。そやつがアメリカ兵とニホン人を繋ぐ役割をしていた。そこの店主はとうに現世では息を引き取っているのだが、『LEO』と同じように幽世(かくりよ)として存在している」 「それで、その『代筆屋』の入り口が、マルキュー入り口の壁だって? シカが一回入ってるところ確認させてよ」 「それはできない。ワシがその境界を開けているときに間髪入れずに飛び込まないと間に合わん。それこそ壁に激突だ」 「いや、マジで嫌だ。じゃあシカ一人で行ってきてよ」  チハヤは痛みによる恐怖というより、周りに馬鹿な姿をみられることが嫌だった。チハヤの気乗りしない様子に、シカは駄々をこねる子供をあやすかのようにチハヤの頭を撫でる。そして目線を合わせるように屈んだ。 「ワシはここで聴く情報が、大きく状況を動かすと思っている。大事なことだから、チハヤ嬢ちゃんと一緒に行きたい。そんなに怖いかい、チハヤ嬢ちゃん。うん?」  チハヤはシカの大きな手を、振り払う。その顔は、恥ずかしさで真っ赤になっていた。 「行けばいいんでしょ、行けば!」 「そうだ、それでこそ山賊の娘! 壁ひとつくらい大したものではない。勇猛果敢に前進あるのみだ! ワシは嬢ちゃんを誇りに思うぞ!」 「うるさい! さっさと行きなよ!」  チハヤが喚いていた時には、シカは周りに誰もいないことを確認していたようだ。チハヤの腕を掴む。そしてビルの壁、もとい『代筆屋』の入り口へ勢いよく飛びこんだ。 「うっ……あ!」  景色は一変する。  ざりっと小石を擦る音が鳴る。目の前には木材を立てかけたような、ボロ屋があった。日で焼け雨風で錆びたのだろう、くすんだ青いトタンの屋根がある。店頭には、軍服や豪奢なワンピースとビニールに包まれたスーツが並んでいる。  どうやら、ここが『代筆屋』のようだ。  チハヤは今までビル群とは、全く異なる風景に立ち尽くしていた。  そして店の奥に、小柄な老婆が座っている。猫背で座っているので、猫というよりアルマジロのようだ。足元には、くたびれた茶色の毛布がかけられていた。顔色は黄色がかっているというのか、体調が良さそうにはみえない。糸目で、開いているのか怪しい。  木彫りのアルマジロ。そう印象をまとめてしまい、チハヤは失礼にも吹きだしそうになった。だが、シカが好きではないと言うくらいだ。注意をしたほうがいいのかもしれないと気を引き締める。 「アソウのおばちゃん、どうも。今日はおばちゃんがずっと欲しがっていたハナショウブ最中(もなか)を買ってきたぞ。猫又の情報を教えてくれ」 「おやおや、シカちゃん! 見せておくれ」  シカはアソウに最中を手渡した。シカの姿はチハヤが『LEO』で出会った鹿頭の姿だ。鹿の角が天井に引っかかりそうになる。アソウはシカから受け取った箱を開けた。そして美しく並んだ最中の小包装を手に取る。震える手で小包装を剥がしていく。 「アァ。そうだ。これですね。当時よりも彫りが荒いような気はしますが、高橋さんが一生懸命作っていたことを思い出します。今は子孫達が店を守っているんですね」  感慨深い様子でそう呟き、最中を小包装の中に戻した。 「シカちゃん、ありがとう。今日は、可愛い子を連れているね。透き通るような綺麗な肌だ。アタシにもそんな時代があったのだけども。──私は彼のことをシカちゃんと呼んでいるのね。鹿頭の大男の割に愛嬌があるからね。どうぞ、あがって座ってください」  全体的に老婆の声が小さく、チハヤも聞いているうちに前のめりになり、聞き終わる頃には猫背になっていった。チハヤはおずおずと靴を脱いで、アソウと対面になるように正座で座った。 「初めまして、円山 チハヤです」 「チハヤちゃんかい。チハヤと聴くと百人一首で遊んだことを思い出すねぇ」  そう言って老婆はぶつぶつと口元を動かし始める。おそらくチハヤから始まる一首を懸命に思い出しているのだろう。アソウが自分の世界に入る前に、チハヤは慌てて話しかけた。 「あの、おばあちゃんは代筆屋の店主だったんですか?」  チハヤはそう尋ねたのだ。しばらく老婆は沈黙する。というよりも固まったという方が正しい。チハヤは思わぬ反応に、改めて声をかけようとする。それをシカが静止した。 「嬢ちゃん、ここから聞き流していいぞ」  老婆、アソウは口を開く。 「懐かしい話をしてくれます。代筆屋の話をします前に、説明することがありますね。アタシが生きていたことの話ね」  チハヤは相槌を打とうと声をかけようした時には、アソウはすでに話し続けていた。 「それは戦争をしていた時でしてね。生きる為に、着ていた服を並べたわけです。軍服などもありましたね。やっているうちに、近隣のかたが物を持ちこんで、アタシのところで売ってくれないかとなりまして」  アソウの話し方に熱が帯びてくる。チハヤの前で、アソウの唾が飛んだ。チハヤは傷んだ畳のシミになっていくところを目で追ってしまう。一方的に話し続ける。 「すると今度は、アメリカの方が集まってね。彼女らは貴金属は大好きで物々交換をしました。クローゼットの肥やしを貴金属に換えるわけですね。こうして、アメリカの品が集まるようになります。当時これを買えるのはビッグモニーな人で。そこで、アメリカ人とつき合っている女性たちが集まってくる」  アソウの声は徐々に声が大きくなってきた。 「その方々は大体、アメリカ兵から手紙をもらっていてね。私の店に外国人が出入りするのを見て、英語が読めるかと聞かれました。アタシはできる範囲で訳したんですね。そうしましたら返事も書いてくれないかとなりまして。次第に、評判を呼んだらしく、恋文業が本職になった」  チハヤはふとシカの動向が気になり、振り返る。シカは、店にある酢イカの入った透明ケースを持ち上げて、傾けながら中身を見つめていた。アソウの話は全く聞いていない。手が大きいだろうから、入れ物の蓋を開けても中身を取り出せるのだろうかとチハヤは考えていた。 「チハヤちゃんは恋愛って聞くと、どんな気持ちがするかね」 「あっ、え、はい?」  アソウは突然、チハヤに声をかける。チハヤは適当に一般的な恋愛の印象を伝えておけばいいだろうと、チハヤはアソウに視線を戻す。アソウは先程の糸目ではなかった。初対面の子供に語って聞かせる好々爺(こうこうや)という感じではない。シワに囲まれているが、人を萎縮させるような獣の目だ。チハヤはその目線に、中途半端な答えを出してはいけないと直感的に思った。  そして改めて『恋愛』という言葉を思考に置いた途端に、気持ちが悪くなった。チハヤにとってそれは、簡単に言葉で表せるものではなかったからだ。 「恋は駆け引きなんてもんじゃない。ケダモノの化かし合いですよ」  アソウはチハヤの答えを待たず、言う。両手を膝の上で組む。そして自分の指を絡ませる。陶酔するかのように目を細める。瞳が潤んでいるからか糸目とは違う印象だ。 「手紙を書きますときにね、意志をはっきりさせるんですよ。そして成就できるように全力をあげる。時には色んな指示を出しながら、ね。それがひどく、アタシのことをかきたてるのさ」  そして、ニンマリと笑った。 「チハヤちゃん。あなたは随分、その手の話で(こじ)らせたでしょう?」 「え……?」  這いずるような甘い声。それは身体の芯まで侵されていくような、そんな不快感があった。まるで土砂降りの前に吹く、生暖かい風のようだ。 「さぁ。アソウのおばちゃん。盛ってきたところ悪いのだけどね。その恋文のお客さんに『猫又』がいたのだろう? そろそろ教えてもらえんかね」  その時、助け舟のようにシカの声が遮った。シカの身体でチハヤの視界が陰る。ツンとした酸っぱいような臭いがする。恐らく酢イカを食べたのだろう。アソウはチハヤの背後にいる、シカのことを見上げていた。背中が曲がっているものを無理やり伸ばしているものだから、ひっくり返ってしまいそうだ。眩しそうに、アソウは糸目に戻った。 「シカちゃん、その子の尻を追っかけようって魂胆かね」 「ワシは女の尻を追っかけたことはない。女は願わなくても寄ってくるものだ」 「そうだったね。野暮なことを聞いたものです」  シカの毅然とした態度で答える姿、またアソウの涼しい顔で肯定をする姿に、チハヤは口を挟みたい気持ちと、アソウと話す対象から外れたことに安堵した。だが、まだ胸の動悸(どうき)が激しい。 「その子は確かに、アタシのお客さんだったね。はじめに断っておきますが、正確にはアタシが接点を取っていたのは『猫又の相棒』の方ですからね。アタシは猫に恋の指南はしませんから」 「『相棒』というのは、ワシが猫又であるならば、嬢ちゃんのような存在のことを『相棒』と呼ぶのだ。その人間が恋文業にお世話になっていたということだな」  シカはチハヤに理解が追いつくよう補足していた。チハヤは黙って頷いた。 「しかしながら、あの子はやっぱり毛色が違ってまして。最初こそ、アタシに代筆を頼んだけれども。二、三通の往来をしたら、ぱたりと来なくなりました」 「それは、奴が想い人を諦めたということか?」 「まさか、その反対ですよ。彼女はアタシを仲介するのを嫌がった。自分で語学を勉強をして、自分の言葉で彼と結ばれたいと思ったようで」 「その『相棒』が成仏できずに、『猫又』を利用しながら現世で外国人を食い荒らしているようなのさ。ワシはそれを許すわけにはいかない」 「そうでしたか。それは、知らなかったですね。あれだけの情熱でも彼を振り向かせることができなかったのでしょう。愛は、心で勝ち取れない。頭で勝ち取らなければいけないという箴言(しんげん)です」  シカはそこまで聞いてから靴を脱ぎ、チハヤの隣に正座で座る。 「アソウのおばちゃん。ワシは猫又を成仏させる。文の内容まで言わなくてもいい。心当たりのある場所があったら、教えてくれないか。このドウゲン坂を守るためにも。おばちゃんの情報が頼りなんだ」 「……シカちゃんがこの場所を愛してくれているのはよくわかりますよ。行き場を失ったアタシを救ってくれたのも、このトタン板を打ち付けてくれたのも、アナタだったでしょう。わかりました。どうぞ、口外せずにお願いいたしますよ。もし、()()に会えてもアタシの名前は出さぬよう」 「恩に着る。アソウのおばちゃん」 「いいえ、そんなアナタのような方が容易に頭を下げないでくださいな。──ランブリングストリートの『ジャコモ』です。そこで彼女は意中の相手と待ち合わせをしていました。思い入れがあるんじゃないかと思います」 「そうか。『ジャコモ』か。そこに行けば、もしかしたら、『猫又の相棒』に会えるかもしれないということだな」  シカは、確認するようにそう呟き、正座の状態からスッと立ち上がった。また鹿の角が天井に当たりそうになるが、刺さらずにすんだようだ。 「チハヤ嬢ちゃん、ジャコモに行くぞ。アソウのおばちゃん、進展したらまた報告をする。楽しみにしておいてくれ」 「わ、わかったけど、ちょっと待って……」  チハヤはシカの言葉に合わせて立ち上がろうとしたが、正座をしていて、足が痺れてしまったようだ。四つん這いに体勢を直し、足首に少しずつ体重をかけていく。 「ふむ、武者震いか。どれどれ」  シカはチハヤのことを見下ろす形で、低く喉を絞るように笑っていた。 「くそ、馬鹿にして」  チハヤは悪態をつきながら、なんとか立ち上がる。靴を履き直しアソウの方へ向き直った。 「時間をとってしまって、すみません。ありがとうございました」 「いいえ。ハナショウブ最中、ありがたくちょうだいしますね。チハヤちゃんは行儀がいいねぇ。きっと良いお嫁さんになるでしょう」 「……そうですか、ね」  先ほどの汚い言葉遣いは、果たして聞いていたのだろうか。チハヤは歯切れの悪い返事で、会釈した。  そして、シカとチハヤは『代筆屋』を後にして次なる目的地へ向かう。 >to be continued……

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  • そば

    八番出口

    ♡1,000pt 〇30pt 2020年6月2日 6時04分

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    いつも見てますよ

    八番出口

    2020年6月2日 6時04分

    そば
  • れびゅにゃ~(シャム)

    革波 マク

    2020年6月2日 6時22分

    八番出口さん、二色のポイント恐れ多くも、ありがとうございます!コメディの鬼に……見られている?笑 なかなか人を選ぶ作品かと思いますが、手が進むようでしたら、どうぞ今後もよろしくお願いいたしますー!

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    革波 マク

    2020年6月2日 6時22分

    れびゅにゃ~(シャム)
  • ひよこ剣士

    misop

    ♡1,000pt 2020年10月30日 11時06分

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    楽しませていただきました

    misop

    2020年10月30日 11時06分

    ひよこ剣士
  • れびゅにゃ~(シャム)

    革波 マク

    2020年10月31日 10時25分

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    ありがとうございます!

    革波 マク

    2020年10月31日 10時25分

    れびゅにゃ~(シャム)
  • 黒猫ステラ

    千楓

    ♡1,000pt 2020年8月13日 20時53分

    凄まじいストーリーテイリングの力に、ぐいぐい飲み込まれました。シカとチハヤのやり取りにニヤニヤしつつ「恋は駆け引きなんて~」のセリフ、チハヤの反応……まさに、大人のためのダークファンタジーの深淵に足を踏み入れつつあるのだな、とチハヤと自分の状況を重ね合わせてます。I💓シブヤ。

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    千楓

    2020年8月13日 20時53分

    黒猫ステラ
  • れびゅにゃ~(シャム)

    革波 マク

    2020年8月15日 8時46分

    千楓先生!ありがとうございます。ストーリーテリング!意味を知らず、調べてしまいました。笑 そう言ってくださると嬉しいです。テーマや描写など、若干大人向け?な物語になってますので、怖いもの見たさにチラッと覗いていただけたら幸いです。

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    革波 マク

    2020年8月15日 8時46分

    れびゅにゃ~(シャム)
  • ひよこ剣士

    もちもち

    ♡1,000pt 2020年5月18日 8時53分

    可愛いおばあちゃん…!! おばあちゃんの話の最中に持て余す2人の様子が可愛かったです笑 チハヤちゃんは恋愛関係で複雑なことがあったんですね… これから出てくるのかな? 続き楽しみにしてます!

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    もちもち

    2020年5月18日 8時53分

    ひよこ剣士
  • れびゅにゃ~(シャム)

    革波 マク

    2020年5月18日 19時03分

    コメントありがとうございます!色んなおばあちゃんタイプがありますが、今回は多弁おばあちゃんで攻めることにしました!笑 チハヤ氏の恋愛に関して、割とキーワードなので、今後どう繋がるか楽しみにいてくださると幸いです!

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    革波 マク

    2020年5月18日 19時03分

    れびゅにゃ~(シャム)
  • かえるさん

    はりのねずみ

    ♡1,000pt 2020年5月17日 21時35分

    代筆屋のおばあちゃん、放っておくと1人でずっと喋ってそうな人ですね😃💦 チハヤちゃんと同じように猫又と相棒になった子が幽霊になって復讐しているのでしょうか?猫又が操っているのでしょうか?続きが気になります!

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    はりのねずみ

    2020年5月17日 21時35分

    かえるさん
  • れびゅにゃ~(シャム)

    革波 マク

    2020年5月18日 6時28分

    コメントありがとうございます!!マイワールドおばあちゃんですね!笑 猫又の相棒というのが今回キーワードになってきますね。恐らく姿を表すときがくるかと思いますので、お楽しみしてくださいませ✨

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    革波 マク

    2020年5月18日 6時28分

    れびゅにゃ~(シャム)

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