俺がゲイだってことは絶対に秘密にしておいて

読了目安時間:3分

エピソード:30 / 51

自分の気持ちが分からない

 二週間の入院期間が終わり、ようやく自分の家に帰って来れた。部屋のドアを開けると、そこはシンとしていて、いつもなら「おかえり!」って飛びついてきた圭の姿はどこにもない。  リビングに入ると、圭が持ち込んだゲームもスーツケースも全部なくなっていて、クローゼットをのぞくと圭が使っていた段が綺麗になくなっていた。  圭が出て行ったんだと察し、小さくため息をつく。  あれから連絡もしていないし、なんとなく出ていったんじゃないかとは思ってたけど、それでも家に帰ったら圭がいるんじゃないかって心のどこかでは期待してたんだ。  一人には慣れていたはずなのに、久しぶりに一人で過ごす自宅は静かすぎて居心地が悪い。  とりあえず軽くメシでも食べようかと思ってキッチンに立つけど、無意識のうちに圭の分まで作っている自分に気がつく。  そういえばあいつ、ちゃんと食べてるのかな。また炊飯器のスイッチ押すのがめんどくさいとか言って、コンビニばっかりなんだろうなどうせ。  圭だって大人なんだから自分でどうにかするだろうに、気がつくと圭がちゃんとやってるかとかまともなメシ食ってるかとか、圭の心配ばかりしてしまう。……主夫かよ俺は。  なんか食欲が失せたな。  今日はもうこのまま寝よう。  色々考えていたら食べる気分でもなくなったので、メシ作りを中断してベッドに横になる。  このベッド、こんなに広かったか?  シングルベッドだから決して大きくはないはずだが、いつも圭と一緒に寝てたからかやけに広く感じる。  ダメだな、圭のことばかり思い出してしまう。いつのまにか俺の中で圭と一緒にいることが当たり前になっていたみたいだ。  全然眠れなくて何度も寝返りをうつけど、広々と寝返りがうてる広さに圭がいないことを実感し、さらに寂しく感じてしまう。  あいつも喧嘩したからって何も出て行かなくてもいいのに。話し合いとかさ、そういうのはないのかよ。  ……いや、あいつの話を最初に聞かなかったのは俺か。だからって、速攻で出ていくか?  何を考えてもいきつくところは圭のことで、思考が堂々巡りになってしまう。  耐えきれなくなって圭に電話しようとしたけど、何を言えばいいのか分からなかったので、結局やめておくことに。  だってさ、何て言えばいいんだよ。  俺が悪かったから戻ってきてくれ?  仲直りしよう?  一回話し合おう?  どれも違う気がするし、あいつに戻ってきてもらうにはもっと何か決定的なことを言わなければいけない気もする。  そこまで考えて、圭に戻ってきてもらう方法ばかりを自分が考えていることに気がつく。  そうか。俺、圭に戻ってきてほしいんだな……。    一番に頼りたくなるのは広輝で、今も広輝が好きだ。それなのに圭とも一緒にいたいし、圭を失いたくない。  俺は、どっちが好きなんだろう。  二股男なんて最低だと今まで思ってたけど、同時に二人を愛せる人の気持ちが少し分かったような気がする。  同じグループのメンバーを好きになるだけでもどうかと思うのに、グループ内に二人も好きな人がいるなんて本気でどうかしてるよな。  明日からダンス以外の仕事に復帰だというのに、色々考えていたら、結局朝までほとんど眠れなかった。

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